非正規雇用の求職者は18.7%で過去最高、株式会社マイナビ調査

株式会社マイナビは、全国の企業、個人それぞれを対象に調査した「非正規雇用市場における採用・求職動向レポート(2023年9-10月)」を発表した。

調査結果は以下の通り。

非正規雇用の求職者は18.7%で調査開始以来、過去最高

23〜10月に非正規雇用者の採用活動を行った企業の割合は24.9%、同時期に非正規雇用の求職活動を行った個人の割合は18.7%となった。個人の求職ニーズは、2020年7〜8月の調査開始以来、過去最高となった。最低賃金が過去最高の上げ幅で改定され、非正規雇用の時給がベースアップされたことが求職活動の活発化の一因と考えられる。

求職者が求めるのは「通いやすさ」と「働く時間の柔軟さ」

23年9~10月に非正規雇用の仕事を探した人に、仕事選びでこだわった希望条件を尋ねたところ、「通いやすい勤務地の仕事」が89.3%で最多であった。次いで「時短勤務など、働く時間が柔軟な仕事」が82.3%と続く。

56.8%が勤務時間などを限定して働く「限定正社員」に興味あり

勤務先において「限定正社員制度」を設けている場合、その制度を利用して正社員になりたいと思うかを尋ねた。「限定正社員」とは、地域や時間、職務を限定して働く正社員のこと。子育てや介護などにより、フルタイム勤務や転勤などが難しい労働者でも正社員勤務が可能となる。結果、「そう思う」「ややそう思う」が56.3%と半数を超えた。年代別にみると「30代」が71.0%と最も高く、次いで「20代」が63.3%となり、20代・30代を中心に限定正社員の意向が高くなった。

限定正社員制度の必要性を感じる企業は59.1%

非正規雇用の採用を行っている企業に、限定正社員制度の必要性と実施状況を尋ねたところ、59.1%が「必要性を感じている」と答えたものの、実際に制度を設けている割合は30.8%にとどまった。

業種別で制度導入が一番多かったのは、「建設」で44.0%。次いで「ソフトウェア・通信」で32.6%と続く。2024年問題やIT技術者不足が叫ばれる中、幅広い人材を獲得すべく制度の導入が進んでいると推察される。一方で、制度の必要性を感じている業種で最も高かったのは「飲食・宿泊」で63.3%であった。次いで「小売」が62.9%。これらの業種では、慢性的な人手不足も影響し、今後制度導入の検討が進められていくとみられる。

詳細結果はコチラ

今回の調査では、非正規雇用の仕事探しでは働く場所や時間が重視される傾向にあり、労働時間や勤務地が限定される「限定正社員」制度を通じて正社員になりたいと考える人が多いことがわかった。限定正社員制度を設けている企業は3割にとどまったものの、限定正社員制度の必要性を感じている企業は多いことから、人手不足が顕著な業種を中心に導入が広がっていくと見込まれる。

調査概要

調査期間:企業【2023年11月1日~2023年11月3日】 個人【2023年11月1日~2023年11月6日】
調査方法:WEB上のアンケートフォームより入力
調査対象:
<企業>
スクリーニング調査【従業員数10名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員で、自社の採用方針を把握している人】
本調査対象【上記のうち、自社の非正規雇用労働者の採用方針について把握しており、直近2カ月以内に採用活動を行った又は新規採用を行った人】
<個人>
スクリーニング調査【全国の15-69歳の男女(中学生を除く)】
本調査【全国の15-69歳の男女(中学生を除く)のうち、直近2カ月以内に非正規雇用の仕事探しをした人】
調査機関:自社調べ
有効回答数:企業【スクリーニング調査:17,000名 本調査:973名】 個人【スクリーニング調査:16,475名 本調査:1,602名】

【参考URL】「非正規雇用市場における採用・求職動向レポート(2023年9-10月)」を発表