2023年の転職市場では、新型コロナウイルスの影響で一時採用活動をひかえていた企業が採用を再開し、多くの業界で過去最高水準の求人数を記録した。さらに物価高の影響を受け、賃上げに踏み切る企業も増えた。そんな1年が終わり新年が始まったが、2024年の転職市場はどのようなトレンドとなるのだろうか。
パーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「doda」は2024年1月4日、「転職市場予測2024上半期」を発表した。
同レポートでは、同社が規定する15の分野 のうち「事務・アシスタント」を除く14の分野で求人が「増加」または「好調を維持」と予測。企業間での人材獲得競争が激化するとしたうえで、2024年上半期の転職市場で押さえておきたいトレンドを3つ紹介している。
概要は以下の通り。
転勤を無くし、働くエリアを限定した「地域限定社員」制度を導入する企業が増加すると予想。売り手市場に伴い企業間での人材獲得競争が激化しており、採用に力を入れるだけでなく、社員満足度を高め、定着率向上を図る動きが企業で活発化していることを要因として挙げている。
あらゆる業界でDX化が進み、企業が求める人物像に変化が見られている。同社は戦略立案やマネジメント、業務効率化を担える人材の採用ニーズが今後さらに高まっていくと予想している。またChat GPTなどの生成AIの発達により、クリエイティブ職では制作スキルだけでなくデザインやマーケティングの知見も備えた人物が求められる傾向が強まっていることを指摘。
2023年に引き続き、2024年上半期も賃上げの動きが継続すると予想。少子高齢化に伴い、企業の人材確保は喫緊の課題であり2023年は賃上げを見送った企業も、他社への人材流出を防ごうと、賃上げに踏み切る企業が増加するとしている。
レポート詳細はコチラ
2024年も引き続き人材獲得競争は激化し、多くの企業で労働環境や待遇の改善が進むと予想されているようだ。賃上げに関しては、企業規模によって意向に大きく差が見られるという側面もある。東京商工リサーチが2023年12月に4581社を対象に行った調査では82.9%の企業が賃上げ意向を示したものの、「賃上げできそうにない」の割合が資本金1億円未満の企業では17.9%と、1億円以上の企業の9.2%を大きく上回った。中小企業で賃上げが浸透するか否かで全体の動向も左右されそうだ。今後の動向に注目だ。