ヒューマンソリシア株式会社は、国勢調査結果や経済予測・雇用関連データ等をもとに2040年までの建設技能工の人材需給ギャップを試算した。本調査における建設技能工は、建設・採掘従事者を指している。
調査結果は以下の通り。
内閣府による経済成長予測「ベースラインケース」(実質GDP成長率0.4%~0.8%)に基づくと、人材需要数に大きい変動はみられないものの、技能工として就業する人数が大幅に減少するという試算結果となった。2030年には31.8万人、2040年には53.3万人の人材不足が起こると推計される。
内閣府による「成長実現ケース」(実質GDPの成長率1.3%~1.9%)をもとに試算すると、技能工として就業する人数に変化はないものの人材需要数が約20万人ほど増え、人材需給ギャップは87.4万人に上る結果となった。
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一方で土木・測量技術者を対象とした建設技術者については、「ベースラインケース」に基づくと2033年には需給ギャップが解消される試算結果となった。
しかし成長実現ケースをもとに試算すると需要数に対して就業者数の増加が追いつかず、2040年には4.7万人が不足すると推測される。
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経済が成長していくほど人手不足が深刻化していきますね。また国土交通省によれば、建設業に従事する60歳以上の大半が10年後には引退すると見込まれているといいます。
人材獲得競争の激化や少子高齢化といった問題が重なるなか、人材の採用・育成・定着のためさらなる対策を考えていく必要がありそうです。
①人材供給数の試算について:2020年の国勢調査の結果をもとに試算。また、就業者数の増加・減少については下記画像をもとに独自試算している。
②人材需要数の試算について:建設投資額に比例して増減すると仮定し、「Ⅰ.ベースラインケース」「Ⅱ.成長実現ケース」の2つのケースで試算。いずれも、内閣府「中長期の経済財政に関する試算」および国土交通省の「令和5年度 建設投資見通し」、株式会社野村総合研究所「2040年の住宅市場と課題」等を用い、経済成長率・消費者物価上昇率を加味し独自に試算している。
③出典について:総務省「2020年国勢調査」抽出詳細集計、「労働力調査」、内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(令和6年1月 22 日 経済財政諮問会議提出)、文部科学省「学校基本調査」、厚生労働省「雇用動向調査」、「外国人雇用状況」の届け出状況まとめ、「一般職業紹介状況」、国土交通省「令和5年度 建設投資見通し」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」等。
【参考URL】
~建設技能工編:2040年の人材需給ギャップを独自試算~ 建設技能工、2040年に最大87.4万人が不足と推計、就業者数は20年間で2割以上減少する試算結果に
~建設技術者編:2040年の人材需給ギャップを独自試算~ 建設技術者は2040年に最大4.7万人が不足と推計、人材不足解消には生産性向上が一層重要に