株式会社ゴーリストがマサチューセッツ工科大学(MIT)と共同研究開始、コロナ禍での労働市場の変化を分析

新型コロナウイルスの感染拡大は、世界中の労働市場に大きな影響を与えています。それは日本も例外ではなく、2020年2月第4週以降求人件数は減少を続けているなど新型コロナウイルスの影響が顕著に表れています。

今回HRog運営会社の株式会社ゴーリストは、マサチューセッツ工科大学とコロナ禍における企業の求人行動の変化について共同研究を実施しました。本共同研究は「HRogリスト for アカデミア」を用いて分析をしています。論文・研究結果は以下の通りです。

論文について

タイトル

A Note on Responses of Vacancy Posting to COVID-19 shock in Japan
(邦題:「新型コロナ(COVID-19)危機下における、企業の求人行動の変化についての考察」)

著者

福井真夫氏(マサチューセッツ工科大学)
菊池信之介氏(マサチューセッツ工科大学)
株式会社ゴーリスト

共同研究について

目的

インターネット上の求人データを用いて、日本における採用企業の求人情報の変化を明確にし、コロナ禍が日本の求人情報にどのような影響を及ぼしているのか明らかにしました。

研究方法

本論文では、弊社が提供する求人データの補足をするため、政府が集計する公共職業安定所(ハローワーク)における求人・求職・就職の状況を取りまとめた「一般職業紹介状況」のデータも扱っています。2つのデータの整合性を確認するため論文内で検証も行っています。

以下図(a)は、ハローワークへ報告された求人数と弊社が収集した求人数を比較したグラフです。2つのデータ間で数値の動きに大きな乖離はないと言えます。また(b)の図では、各データの前年比を比較しており、こちらもほぼ同様の傾向を示していることが分かります。

上記の検証結果から、2つのデータは整合性があるとし、弊社のデータからは主に「募集対象の学歴」「雇用形態」「求人媒体上の掲載賃金」の項目を重点的に活用しています。

研究結果

雇用形態では「パートタイム」、産業では「サービス業・製造業」、職種では「生産従事者や対人サービス」、学歴では「大卒未満」において、特に「新規求人件数」の減少が顕著であることが判明しました。

また、「新規求人数」は、2020年4月で前年同月比30%以上減少しているにもかかわらず、「掲載賃金」は、コロナショックに対してほとんど反応していないことがわかりました。

現在進行中の共同研究では、コロナ危機が企業に与えた影響を今後も継続的に観測を行う予定です。

新卒者や転職者を含む母集団を広げた求人ビッグデータを用いて研究することで、さらに網羅性の高い分析を行うとともに、設立規模・地理・労働者の能力などを踏まえ多角的に「賃金」の分析をすることで、さらに実証的・理論的な求人情報の変化を調査してまいります。

【参考URL】株式会社ゴーリスト、マサチューセッツ工科大学(MIT)と共同研究を開始。コロナ禍における労働市場の変化を分析、新規求人数が減少した求人特徴が明らかに。