近年ビッグデータという言葉が広く普及するとともに、その大規模データを扱うスペシャリストとして「データサイエンティスト」を始めとしたビッグデータ分析人材に注目が集まっていることを、皆さんはご存知でしょうか。
IT技術の発展により、以前と比較して容易に大規模データを蓄積することが可能になっており、現在ではそのビッグデータをいかに活用するかが多くの企業において課題になっています。
ビッグデータ分析のニーズの高まりとともに、データサイエンティストだけでなく、分析官やデータアナリストと呼ばれる職種がIT業界を中心に、金融業界やメーカーなど幅広い分野で活躍しています。
この記事では上記の様なニーズを求人マーケット分析サービス3Chartを用いて、求人情報から調査してみました!
データサイエンティストを始めとしたデータ分析業務の目的は、膨大なデータを分析し、会社そのもの事業戦略や、新商品の販売戦略、サービスの改善といった事業課題の解決のための判断材料を事業責任者に提供することが主な業務です。
分析業務担当者でも特に高い能力が求められるデータサイエンティストには、
が高レベルで必要とされています。
ただ上記3つすべてを高いレベルで兼ね備えることはかなり難しく、複数の担当者が互いの強みを活かしてチームを組んで業務にあたることも多いです。
上記のような実情も踏まえて、幅広く「データ分析担当者」を対象とするため、当記事ではIT職種の求人に強い正社員系媒体の中から下記の5媒体について、求人マーケット分析サービス3Chartを使って下記条件で集計を行いました。
対象媒体: type、doda、エン転職、マイナビ転職、リクナビNEXT(順不同)調査日: 2015年8月3日-2016年10月31日(15ヶ月間)
調査対象求人掲載件数:2,768,580件(全職種)
調査方法:原稿内に「データ分析」が含まれており、かつ「データサイエンティスト」または、「アナリスト」または「分析官」が含まれている求人掲載件数(件数は延べ)
※他媒体で同一企業が募集している求人は重複として除く処理を加えました。
給与金額:掲載されている給与金額の下限値の平均(月給表記は14倍で年俸に換算)
全体の求人掲載件数
約4000件のデータ分析者の求人(15ヶ月:2015年8月~2016年10月)がありました。
昨年(2015年)と比較して、1年を通して徐々にデータ分析者の求人件数が伸び始めてきました。
昨年8月の求人件数は、平均50件前後でしたが、最近の10月では、求人件数が約25件近くも増加し、平均75件となりました。
データ分析を担当できる人材へのニーズの高まりが表れているのではないでしょうか。
どんな職種でニーズがあるの?
順位 | 職種大分類 | 件数 |
---|---|---|
1位 | ITエンジニア/IT系専門職 | 1,743 |
2位 | 営業/事務/企画/管理 | 889 |
3位 | 運輸/物流/配送/警備/作業/調査 | 375 |
4位 | 専門職 | 350 |
5位 | クリエイティブ(Web系) | 232 |
6位 | ホテル/旅館/ブライダル | 99 |
7位 | 映像/イベント/芸能/キャンペーン | 90 |
8位 | クリエイティブ(Web以外) | 86 |
9位 | 販売/接客/サービス | 43 |
10位 | 製造/工場/化学/食品 | 13 |
10位 | 電気/電子/機械/自動車 | 13 |
12位 | 医療/医薬/福祉 | 1 |
データ分析者の募集職種を見ると、ITエンジニア/IT専門職が求人件数の半数以上占めていますが、ほかにも、運輸/物流/配送/警備/作業/調査、ホテル/旅館/ブライダル、映像/イベント/芸能/キャンペーン、クリエイティブ(Web以外)などがあり、幅広い分野でビッグデータ分析のニーズが高まっていることがうかがえます。
給与はどうなっている?
続いては求人情報に含まれる給与情報の集計結果です。
下限年収の中央値は400万円付近で、ここ1年間は、ほぼ横ばいですが、より高額の求人が増えてきていることも見てとれます。
いわゆる集計/分析業務だけでなく、分析基盤の構築から事業課題に対する解決策の提案や実行といったより高度なスキルを持つ人材を各企業が求め始めているのではないでしょうか。
ひとつひとつの求人内容を見ていくと、応募条件は、学歴は、大学院、大学卒以上が半数以上ですが、学歴不問も30%以上あります。むしろ傾向として、データ分析経験が必須であることが、求められています。
また、データ分析の未経験者を募集している求人もありますが、統計に関する知識・経験が必須であったり、SQLなどのIT系スキルの知識や経験があることが必要とされているようです。
データ分析者の求人には様々なものがありますが、募集内容に共通していえることは、データ分析が好きでかつ色々なことに興味を持ち、好奇心旺盛であり、コミュケーション能力のある人材が求められているようです。
いわゆる集計/分析業務の枠を超えて、データにもとづいた新しい解決策の提案や事業戦略を始めとした事業そのものへの積極的な関与などが期待されているとともに、そのような人材が、データサイエンティストやデータアナリストとして、世に活躍していくのではないでしょうか。
まとめ
当記事では、データ分析者の最近の求人・給与動向を調査しました。
傾向として、他の職種と比較して求人件数がまだまだ少ない印象も受けますが、どのような事業でもデータにもとづいて判断を行うことは日常的に行われており、またデータの蓄積量も加速度的に増加している現在、これからもデータ分析人材への需要の増加は期待できそうです。
今後、どの業界においてもあらゆるデータが蓄積されていくでしょうが、その活用に目を向けると、まだまだそれを扱える人材は十分ではないようです。
価値あるデータを無駄にしないためにも、データ分析、統計学など思い当たる人はぜひデータサイエンティストへのキャリアチェンジにチャレンジしてみては、いかがでしょうか?!