ここ数年ですっかりなじみの言葉となりつつあるHR Tech。「言葉は知っているけれど、その本質は今いち、よく分かっていない…」「日々登場し続けるさまざまなサービスを把握するのは一苦労…」 この記事ではそんな人に向けて、今話題のHR Techサービスを掘り下げてご紹介します!
株式会社ゼクウ
クラウドソフトウェア事業部 システムコンサルタント
三宅 傑氏
みやけ・すぐる/上智大学経済学部を卒業後、プロベーシストとして音楽活動に。その後、失恋を機に人材業界に特化したシステム開発を手掛ける株式会社ゼクウに入社。現在、人材派遣業界を中心に人材採用に多くの時間を費やす企業に対してATS(採用管理システム)導入から運用までのワンストップコンサルタントとして活躍している。
HRogの特集でも取り上げている「HR Tech」。注目を集めているサービスも多いが、どう選ぶべきなのか。クラウドによる採用管理システム「RPM」を手がけるゼクウの三宅氏に話を聞いた。
流行りの「HR Tech」って最近のもの?
最近よく耳にすることが多い「HR Tech」という言葉。実はずいぶん前から、HR領域とテクノロジーの掛け合わせは存在していたという。
「手作業のジョブをロボットにやらせるという発想自体は2000年代から存在していました。私達のサービスであるRPM(アールピーエム)も2009年には商品化していました。かなり先駆けたサービスだったと思います」
ATS(Applicant Tracking System:採用管理システム)という言葉自体が日本にまだ認知されていなかった時代から、ゼクウは既にHRテクノロジーを活用したサービスを生み出していたという。
「元々ゼクウは、企業の採用業務を代行していました。その中で手間のかかる部分を自社で自動化したところ、これはとても便利だということで、そこからRPMという採用管理システムが生まれました」
このように、ゼクウのRPMは時代のニーズに応えるかたちで生まれたシステムだが、一方でそうしたサービスはその後の時代の変化に適応できずに廃れていくことも多い。RPMが過去から今現在にいたるまで、顧客から高い評価をとり続けているのはなぜなのか。
「たしかに私達が事業領域とする『採用』も、手法やトレンドは時代とともに変化していると思います。さらに会社の社員規模や事業フェーズによっても変わるのが採用領域の特徴です。そうした特徴を理解し、私達は以前より“クラウド”に着目し、システムが進化し続ける状態を保ってきました」
知っているようで知らない”クラウドサービス”
ゼクウでは、HRテクノロジーが時代をこえて成功を収めるには”クラウド”であることが重要だと考えているという。
「“今”この瞬間必要だと考えているシステムは、事業フェーズの変化やテクノロジーの進化によって2~3年で現状に合わないものになってしまうケースがとても多いです。加えてHR領域は、法改正や採用市況の変化など、業務自体が戦略に合わせて変化することがしばしば起きます。
そこを自社専用システムで開発したりすると、あっという間に時代遅れになって使えなくなる。しかも使いやすく改修しようにも莫大な改修コストがかかってしまうのです」
HR領域でクラウドを活用することで得られるメリットは大きいということだ。三宅氏はクラウドを選ぶべき理由を3つ挙げる。
- 定期的なバージョンアップが行われ、常に最先端のサービスを享受できる
- 自社のビジネス規模の変化に合わせて柔軟に機能や費用を変更できる
- 全社でサービスを共有し、必要なKPIをリアルタイムに得られる
「会社の規模によって業務は変化しますので、その変化に対応できるかどうかはとても重要。近年では採用にindeedやLINEといったツールの活用をされる企業も増えていますので、そうした連携にも対応できるか見極めていく必要もあると思います。
そして、HR領域ではKPIによる数値管理も重要な役割。全社員が利用しやすいクラウドシステムを導入することでKPIを可視化し、社内に変化を起こす武器として活用いただくことができます」
実際にはどのような成果がだせるのか
時代や業務実態の変化に対応できることは理解できた。では実際に導入によって得られる成果はなにか。
「例えば、私が担当している製造系派遣会社では、RPMによって応募から面接までの予約数が15%~18%アップしたという事例があります。従来の応募者への面談予約の電話連絡に加え、システムから自動的に、かつ到達率の高いSMS(ショートメッセージサービス)を利用して面談予約ページ配信を行うフローを構築しました」
現在はSMS配信による予約受付が業界に定着しつつあるそうだが、同社が先駆けで行っていたという。
「他にも、全国に拠点展開をしている派遣会社様での事例なのですが、導入前は各求人媒体を管理画面に入って都度管理する、しかもそれを全国のコーディネーターが各自対応をしており、効率がよろしくないばかりか対応の漏れなども頻繁に発生していました。
その作業をRPMで自動化し、全国の業務を一元化しました。拠点の作業が減り、ミスもほとんどなくなり、劇的な効果をあげることができました」
既存の延長線上での改善ではなく、業務の前提から変えるイメージ
「私達が考えるサービスのゴールはただ単にテクノロジーで代替することではなく、導入後にお手伝いした企業の事業のあり方自体を大きく変えることだと思っています」
着実に実績を積み上げることで、最近ゼクウには企業から採用管理以外にも契約書や請求書、スタッフのシフト管理などの採用に隣接するさまざまな業務をクラウド化していきたいという問い合わせも増えているという。
「テクノロジーには人材ビジネスの戦略を大きく変える力があります。テクノロジー導入によって人の手が空いた結果、何をすべきなのかが大切で、ここに新たな価値を生み出す力が眠っています。
システム導入のハードルは決して低くないですが、私自身これまで 120社以上の導入支援を行う上で、クライアントと共に課題解決を進めるパートナーとしてのスタンスを大切にしてきました」
今回、HRテクノロジーのパイオニアである三宅氏に話を聞くことができた。クラウドの特性を理解し、自社の事業や組織を、テクノロジーによって変革することが、HR Tech活用のポイントのようだ。
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(HRog編集部)