2024年8月、シェアフル株式会社はスキマバイトアプリ「シェアフル」事業戦略発表会を開催した。今回は同社が開催した事業戦略発表会のレポートとして、現在のスキマバイト市場や今後の求人市場の動向の解説、実際にシェアフルを活用している企業の活用事例をお届けする。(以下、発言は要約)
パーソルテンプスタッフ内の新規事業構想からスタートした「シェアフル」
まず初めに、代表取締役社長 横井氏がスキマバイトアプリ「シェアフル」を立ち上げた経緯やサービスの現状について語った。
「シェアフル株式会社は『誰もの「はたらく」をひろげ 新しい「はたらく」をつくる』をミッションに掲げ、2019年1月に設立しました。元々は就業中派遣スタッフからも短期間・短時間の仕事をしたいという声もあり、2018年頃から本事業の構想がスタートし、現在に至ります。
『シェアフル』の2024年8月時点での法人登録数は約5.5万、DL数は700万人を突破しており、年内に1000万DL到達を目標に掲げています。利用者の特徴として、ミドル〜シニアの利用者が多い他社と比較すると20代の利用者が53.2%と、若年層から大きな支持を得ています」
「スキマバイト」市場のいまとシェアフルの取り組み
続いて、急速に成長しているスキマバイト市場で現在何が起きているのか、そして急速に拡大する市場や顧客ニーズに対して、シェアフルがどのような取り組みを行っているのかについて語った。
「スポットワークやスキマバイトといったはたらき方は、近年日本で急速に認知が広がっており、今後も市場が拡大していくと見込まれています。日本全体で人材不足が進む中、企業にとっては短期間で多くの応募を集められるため、求人広告よりも効率的であると評価され、利用者が増えています。また、個人にとっても面接不要ですぐに仕事が決まる、好きなときに働ける、そして給料が当日に受け取れるといった利便性が高く、多くの人にとって魅力的なはたらき方となっています。このような理由から、企業と個人の双方でスポットワークの利用が年々増加しているのです」
横井氏は、スキマバイトはもはやスキマバイトではなくなりつつあると続ける。
「最近では、『長期レギュラースタッフ』の採用ツールとしてシェアフルを利用する企業が増えています。スキマバイトからレギュラー化することには、長期採用後のミスマッチを最小限に抑えられること、採用コストの削減、採用効率の向上という3つの明確なメリットがあります。また、スキマバイトから始めて『そのまま長期ではたらきたい』と考える個人も増えています。弊社のアンケートでは、『現在長期の仕事を探していますか?』との質問に対し、約半数の方が『現在探している』『良い職場があれば』と回答しています。このような背景から、シェアフルは個人に対してより高い付加価値を提供するために、3つの新しいサービスを開始しました」
シェアフルを使えば使うほどポイントが貯まり、さまざまなPayに交換できるポイ活サービス。歩いた歩数や、シェアフルでの就業実績などに応じてポイントが溜まっていく。月額費用やポイント交換手数料などは一切掛からず、シェアフルと併せて利用することができる。
2.シェアフルクーポン
シェアフルmembers内に追加された新機能。シェアフルで就業すると店舗で使えるクーポンが手に入る。※2024年8月リリース
長期就業を望むシェアフルユーザーに対し、シェアフルでの就業実績や評価をもとにAIを活用した人材紹介を行う新サービス。長期就業の意思確認はシェアフルmembers内でユーザーに実施している。エージェントは長期就業を望むユーザーに対しキャリアカウンセリングを行い、ユーザーと企業を効率的にマッチングさせる。同サービスはシェアフルの就業実績を活用し、書類選考免除の求人を紹介することも可能だ。
同サービス利用ユーザーからは「ずっと正社員になりたいと思っていたが、何からしていいか分からずただ時間が過ぎていた中、シェアフルにサポートをしてもらいながら正社員へのチャレンジができた」「自分で応募しても書類選考が通過しなかったが、シェアフルでもらった高評価で推薦してもらえたおかげで、書類選考の通過率が高まった」などのコメントが寄せられている。
「2024年9月には、『シェアフルエージェント』の機能としてPR動画機能をリリースします。約15秒のPR動画を添えることで個人の特徴をより明確に伝え、企業が選考を行いやすくなることを目指しています。今後も、1つのアプリ内で個人に対する付加価値をさらに高めていく考えです。また企業側にはシフト作成・管理サービス『シェアフルシフト』の提供によりさらなる付加価値を提供していきます」
また今回の事業戦略説明会には、シェアフルを活用している求人企業を代表してパセラリゾーツ新宿本店 店長 皆藤氏が登壇し、活用事例を紹介した。
皆藤氏「2021年のコロナ禍が緩和され始めた頃、人材確保が追いつかず現場が回らなくなってきたタイミングでシェアフルを導入しました。通常のアルバイトや派遣採用と異なり掲載した当日に即応募があり、面接や書類締結当などの手間がかからず効率よく人材確保ができたので非常に助かりました。その後はシェアフルで働いたスタッフを店舗スタッフとして採用し、今も活躍してもらっています。まだ人材が不足している店舗がまだ多くありますので、今後も継続的にシェアフルを活用していきたいですね」
最後に横井氏は質疑応答で、改めてこれからのシェアフルやスキマバイト市場について見解を述べた。
「今後は、どのような付加価値を提供し続けるかが重要です。個人のはたらき方や利便性にさらにフォーカスし、出会いの場をどのように作るかがスキマバイト市場での競争の鍵となると思っています。現在多くの他社サービスがある中で、人材業界で全国展開している私たちだけが持つパーソルグループの強みを活かすことが、差別化につながると考えています」
人材業界が大きく変容している今、シェアフルの「付加価値」に今後も注目したい。