【新卒MVP×リーダー対談】パッション型営業にロジックの武器を。営業の素質を活かすアドバイス【ディップ株式会社 前編】

ディップ株式会社
メディア事業本部 中日本営業1部 静岡課 課長(※25年3月取材時点の情報)
今井 健太郎(写真右)
いまい・けんたろう/2016年にディップ株式会社に新卒入社。東京オフィスで派遣会社・人材サービス会社を主な顧客とするHR領域での営業活動に従事した後、静岡オフィスの立ち上げメンバーとして着任。東京・静岡での営業経験を経て、2022年より営業管理職に就任。静岡エリアの成長を牽引しながら、チームマネジメントにも注力している。

ディップ株式会社
メディア事業本部 中日本営業1部 静岡課(※25年3月取材時点の情報)
杉本 陽星(写真左)
すぎもと・ようせい/2024年ディップ株式会社に新卒入社。学生時代、心理学を専攻する中で働くことに悩みを抱える人の多さに課題意識を持ち、人材業界へ興味を持つ。入社後は静岡オフィスにて、採用コンサルタントとして顧客の課題解決に取り組む。2024年度最優秀新人賞を受賞。

新卒社員260名の中からMVPを受賞

2025年3月、ディップでは全国各地から約2,500名の社員が一堂に会し、会社の結束力を高める社員総会が開催されました。

優れた成果を挙げた社員を称える「通期表彰」のパートでは、採用コンサルタント・杉本 陽星さんが、260名の新卒社員の中から「最優秀新人賞」を受賞しました。

高校時代は野球に打ち込み、大学では心理学を専攻した杉本さん。心理カウンセラーとして活動してきた経験を経て、「働く人にとってストレスフルな労働市場の構造を変えたい」という思いから人材業界を志し、ユーザーファーストを掲げるディップへの入社を決意しました。

今回は杉本さんと、その活躍と成長を見守ってきた今井さんにお話を伺い、入社してから新卒MVPを受賞するまでの軌跡をたどります。

杉本さんがディップに入社するまで

静岡県出身の杉本さん。小学校から高校まで野球に打ち込み、大学では心理学を学びました。

杉本さん「大学では、海上保安庁を訪問したり、プロ野球の球場内にイベントブースを設置したりして、心理学の知識を活かしたカウンセリングをしていました」

カウンセラーとしての実践経験を通じて、杉本さんは「働く人の多くが、仕事における悩みを抱えていること」に気づいたと言います。

杉本さん「たとえば海上保安庁の職員の方のカウンセリングでは、長期間海に出て働くため家族と過ごす時間が少なくなり、関係性が悪化してしまうという話も聞きました。どんなに仕事に誇りを持っていても、働き方にミスマッチがあることで苦しんでいる人が多くいるんだと実感しましたね」

「心理カウンセラーとして悩みを持つ個人を支えるよりも、労働に関する課題に構造面からアプローチし仕事のことで悩む人を少しでも減らしたい」。

杉本さんはそんな思いから、人材業界を志すようになったそうです。

杉本さん「日本って『華金』という言葉に象徴されるように、何となく『平日は我慢、週末がご褒美』のような空気があるなって感じるんです。

でも私は、『なんで平日をつらい前提で働くのが当たり前なんだろう?』と、ずっと違和感がありました。

その違和感に加えて、心理カウンセラーとしていろんな人と関わるなかで『そもそも仕事が合ってないんじゃないかな?』って感じる人が、思った以上に多いことに気づいたんです。

だからこそ、もっとミスマッチのない採用が増えて、毎日を前向きに、楽しく働ける人がもっと増えてほしい。そんな社会をつくりたいと思ったんです」

数ある人材企業の中で、杉本さんがディップへの入社を決断したのは、徹底的なユーザーファーストの精神を感じたからだといいます。

杉本さん「多くの会社では分業制を敷いていて、営業なら営業だけ、原稿作成の部署なら原稿作成だけをやるのが一般的です。しかしディップでは営業から原稿作成、フォローまで一気通貫で携われる。顧客の採用課題にとことん向き合えるという環境に惹かれました」

選考中の出会いも、入社を後押しする大きな要素になったと語ります。

杉本さん「一次面接で面接官の方から『僕は君と一緒に仕事がしたい。絶対に最終面接まで行ってほしい』と言ってもらえたんです。自分のことを人としてしっかり見てくれていると感じました。他社にはない“あたたかさ”があったし、ここで成長したいと思いましたね」

研修での葛藤とアポが取れるようになった契機

入社当時から「新卒社員の中で1番になりたい」という思いで日々の業務に邁進してきた杉本さん。「高校時代の野球部での悔しい経験が、仕事の原動力となっていた」と振り返ります。

杉本さん「高校3年間、ずっと二番手でした。でも当時は『まあこれでいいか』ってどこかで妥協してたんです。それがずっと心に引っかかっていたので、就職してからは『今度こそ一番になろう』と決めていました」

新卒260名が一堂に会しておこなわれる合同研修では「誰よりもアポを取ってやろう」「商談も1番になろう」という強い気持ちで、テレアポや商談ロープレに取り組みました。

杉本さん「1日あたり50~100件ほどテレアポをかけていましたが、1〜2件取れるかどうかで、日によっては100件かけて1件も取れないこともありました。一方、毎日2件のアポをコンスタントに取っている同期もいて。自分より上がいるということが、当時はすごく悔しかったです」

そんな杉本さんを入社当時から見守っていた今井さんは、「第一印象は『メンタルが強い新卒社員』」と杉本さんとの出会いを振り返りました。

今井さん「新卒社員の自己紹介のときに、杉本さんが急に『一発ギャグやっていいですか?』って言ってきて、みんなに一発ギャグを披露したんですよね。自己紹介が終わった後に『ナイスファイト』と声をかけたら、晴れ晴れした顔で『はい、やり切りました』という返事が返ってきて(笑)。

興味本位で『自己採点で何点?』って聞いたら『120点です』と言われて、これは相当メンタルが強いなと思いましたね」

杉本さん「印象的なことをやって、自分を覚えてもらわないといけないという気持ちがあったので、どの場でも必ず自己紹介で一発ギャグをやっていました。笑ってもらえるかは置いといて(笑)、今でも個人的にはやってよかったなと思ってます」

6月に静岡オフィスに正式配属された杉本さんは、情熱と行動量を武器に業務に取り組みました。しかし、思うように成果が上がらず、入社時に抱いていた「1番になる」という目標とのギャップに、焦りや悔しさを感じる日々が続きました。

今井さん「静岡エリアでは地元求人紙やフリーペーパーの存在感が非常に大きく、『バイトル』のネームバリューは首都圏ほど高くありません。杉本さんの持ち味である情熱は素晴らしいのですが、『バイトル』という看板が通じない静岡では、それだけではなかなか受注できないんです。

そこで、杉本さんには勢いだけではなく、『自分と会う理由』をロジックとして伝えるようフィードバックしていました。具体的には、この人面白そうだな、会ってみたいと思わせる人間性。そしてもう一つは、ディップと組むとこんな風に採用ができるというビジネス上のメリット。この二つを、相手に刺さる言葉で伝えることが重要だと伝えました」

そのアドバイスを受け、杉本さんはテレアポの試行錯誤を重ねていきました。

杉本さん「今井さんのアドバイスを活かして、会社から配られたトークスクリプトをそのまま読むのではなく、その企業に刺さりそうなメリットを、切り口を変えながらどんどん試しました。

また静岡チームの別の先輩からは『杉本さんは人間性が面白いから、もっとパッションを出して会いたいと素直に気持ちを伝えた方がいい』というアドバイスもいただいて。先輩方からのアドバイスを組み合わせた結果、アポが取れるようになりました」

新卒MVPを支える今井さんの経歴

杉本さんを開花させ、MVPへ導いた今井さんのアドバイスは今井さんが入社後に味わった苦い経験から生まれていました。

今井さん「僕は同期の中でも、正直『遅咲き』な方でした。2016年に入社し、新宿オフィスで派遣や請負系など人材サービスを運営している顧客を担当しました。最初の3年間は成果を出すのに苦労しており、もどかしい日々が続いていましたね」

そんな今井さんの転機となったのが、2019年の静岡オフィス立ち上げだったと言います。

今井さん「そのとき上長から『静岡オフィスの立ち上げに挑戦してみないか』と声をかけてもらいました。当時の自分は役職もないし、営業としても特別な成果を出せていたわけではない状況。断る理由もなかったし、自分を変えるチャンスかもしれないと感じました」

配属先の静岡オフィスの立ち上げメンバーは、若手中心の少人数チーム。今井さんは営業メンバーの中で、唯一の中堅ポジションでした。

今井さん「最初は5人でのスタートでしたが、僕が最年長で、他は年次が下のメンバーばかり。自然と周囲からまとめ役を求められるようになって、自分がこのチームを引っ張らなければいけないという気持ちが芽生えました」

しかし、静岡での営業活動は一筋縄ではいきませんでした。

今井さん「東京では『バイトル』の認知度が高く、名前を出せば伝わります。でも、静岡で初めてのテレアポで『バイトル』の名前を出したとき、相手から『何それ? 知らないよ』とイタズラ電話扱いされてしまったんです。これが本当に衝撃的で、これまで頼ってきた『バイトル』の名前が通用しないんだと痛感しました」

今井さん自身も、杉本さんと同じく、若手の頃はパッションを重視した営業スタイルだったと言います。しかし、静岡というマーケットでは、感覚や勢いだけでは通用しませんでした。今井さんは試行錯誤を重ねて、静岡エリアで成果をあげるための営業スタイルを確立していきました。

今井さん「『バイトル』が知られていないなら、自分自身を知ってもらうしかありません。どうすれば会ってみたいと思ってもらえるか、どうすればディップと付き合うメリットを感じてもらえるか、とにかく考えました。それが今の営業スタイルの基礎になっています」

杉本さんのような若手がのびのびと挑戦できる環境があるのも、今井さんを含む静岡オフィスの立ち上げメンバーがこのエリアでの地盤を着実に築いてきたからこそ。

多様な経験をしてきた先輩たちから、垣根を越えてアドバイスをもらえる企業文化も、杉本さんの活躍を支えてきた要因の一つと言えるでしょう。

まとめ

労働に関する課題を解決して、幸せに働ける人を増やしたいという思いでディップへ入社した杉本さんと、先輩として彼の挑戦を支えた今井さん。

後編では、MVP受賞時の詳しい様子や、受賞者を輩出したマネジメント方法について、より具体的に迫っていきます!