近年、1日単位でアルバイトができるスポットワークが新しいはたらき方として注目を集めています。しかし、スポットワーカーが実際にどのようにアプリを使ってはたらいているのか知らない方も多いのではないでしょうか? 今回は、HRog編集部がスキマバイトアプリ「シェアフル」を使って実際にはたらいてみた際のレポートをお届けします!
デニーズではたらいてみた!
第1弾では株式会社イー・ロジット様にご協力いただき、物流業界でのはたらいてみたレポをお届けしました。
シェアフルアプリの使用感や、応募から就業開始までの細かい流れについてもレポートしているので、ぜひこちらもお読みください!
今回は株式会社セブン&アイ・フードシステムズ様にご協力いただき、同社が展開するファミリーレストラン「デニーズ」錦糸町駅前店ではたらいてみました!
店舗のバックヤードに入ると、「シェアフルご利用で勤務の皆さま」という張り紙が。到着後から勤務開始までの流れが細かく書いてあります。シェアフルを導入している事業所ではスポットワーカー向けに専用のQRコードが用意されているため、アプリで読み取るだけで簡単に勤怠登録を行うことが可能です。
勤怠が完了したら、デニーズの制服へと着替えます。名札も作っていただきました!
従業員の中には、名札にシールを貼っている方もいました。リピーターを増やすために、勤務日数に応じてシールを貼っていくなどエンゲージメントを高める取り組みを行っているそうです。
勤怠と着替えが完了したら、店長の佐藤さんから手の洗い方を教えてもらいます。驚いたのは、指先や手だけではなく、手洗い場のノズルや蛇口までしっかりと洗うことです。飲食店だからこその徹底した衛生管理を感じることができました。
手洗いの後は、制服についているほこりや髪の毛をローラーで取り、体温を測って手指に傷がないかもチェックします。チェックシートに記入して準備完了です!
いよいよお客さまがいるホールへと向かいます。店舗にもよりますが、初めて勤務するスポットワーカーは基本的にバッシング(テーブルの片づけ)作業から始めることが多く、これまでのアルバイト経験や勤務回数などにより業務の幅を広げていくとのことでした。デニーズではホスピタリティの高い接客が求められるため、ある程度勤務を重ねて慣れるまでお客さま対応は行いません。
社員のSさんにバッシング作業について教えていただきます。Sさんはシェアフルではたらいたことをきっかけに長期雇用へと雇用転換したそうです。お客さまが周りにいるなか緊張している筆者に、バッシングの作業を1つ1つ丁寧に教えてくださりました!
筆者もバッシングに挑戦します。食器を片付け、テーブルを拭き、新しいシルバー類を並べ……。
期間限定のスペシャルメニューをお客さまが手に取りやすい場所に配置し、バッシング作業は完了です!
バッシングが完了したら、インカムで「○○卓バッシング終わりました」とスタッフの方に伝えます。
ファミリーレストランでの勤務は初めてでしたが、最初はバッシング作業だけでいきなり接客をすることはなく、安心してはたらくことができました。
最後に店長の佐藤さんにツーショットをお願いし、シェアフルを導入して改善できた点についてお伺いしました。
佐藤さん「閉業前の2時間だけ洗い物をするスタッフが欲しい、といったニーズを満たせるのがとても有難いです。今までは閉業後に店長や社員が残業して洗い物などの締め作業を行うことがありました。スポットワーカーの方々が数時間だけでもはたらいてくださるおかげで、そうしたはたらき方を改善することができた現場はとても多いです」
佐藤さん、Sさん、お忙しい中本当にありがとうございました!
飲食業界の人材不足とシェアフルの取り組みとは?
佐藤さんのお話にもあった通り、飲食業界は深刻な人材不足に直面しています。2024年7月の帝国データバンクの調査によれば、非正社員の人材不足割合を業種別に見ると「飲食店」が67.5%で1位となっています。
その課題に対して、スポットワークというシステムがどう寄与しているのでしょうか。より詳しく知るため、セブン&アイ・フードシステムズ人事担当の安藤さんと、シェアフル営業担当の上床さんに話を伺いました。
安藤さんによれば、現在の人材不足にはコロナ禍の影響が大きく残っています。社員やアルバイトの方が休職・離職してしまい、収束後に営業再開させたり店舗数を拡大させたりするフェーズで人材が充足しきれていない状況が発生しているといいます。
安藤さん「コロナが収束して経済活動が再開していくなか、飲食業界にとって人材不足は本当に深刻な問題でした。スタッフがいなければ店舗を営業させることもできず、もちろん店舗数を拡大させていくこともできません。その影響で伸ばせるはずの売上を伸ばせない。こうした状況を改善させるため、近年大きく広がっているスポットワークの導入に踏み切りました。
スポットワークを導入するまでは、特に繁華街に位置する店舗の人材不足が深刻でした。飲食店が多く連なる激戦区のため、数か月求人広告を出してもまったく応募が集まらないことも多々ありました。しかしスポットワークを導入してからは、そのようなエリアでもすぐにスタッフが集まるので本当に驚きました。
また、引き抜きにより多くの方がレギュラースタッフとして働いて下さっています。スポットワークとしてだけではなく、『ミスマッチのない採用媒体』としても機能しつつあります」
スポットワークの導入で、人材不足という大きな問題を改善できつつあるデニーズ。しかし、セブン&アイ・フードシステムズは全国に数百もの事業所を展開している大企業です。スポットワークを導入するにあたっては、さまざまな課題や不安があったそうです。
安藤さん「一番の課題は、法務的な問題をクリアできるのかということでした。ワーカーの方が複数店舗で勤務した際の労働時間の計算の問題や、所得税などを調整する必要もあります。
また、仮に導入が上手くいったとしても初めて来た人がいきなりはたらけるのか、という不安もありました。たとえばデニーズの調理は2〜3か月かけて研修を行う必要があります。未経験者が増えることで、ホスピタリティ高い接客を提供できなくなるのも避けたい事態でした」
法務の問題と、調理や接客の質の問題。スポットワークというシステムの導入には、この2つをクリアする必要があったのです。
安藤さん「営業担当の上床さんをはじめ、シェアフル社の法務担当の方も交えて解決策を探りました。法務問題に関しては、残業時間や所得税をシステムで管理し必要に応じて応募制限をする方法で対処しています。複雑な法務問題への対応を仕組み化してくださったおかげで、導入後に何も難しいことをする必要がありません。
また、上床さんは各現場での調整にも尽力してくださっています。スポットワーカーの方がはたらきやすいよう業務フローを整えたり、各店舗の相談に都度対応してくださったりすることで、シェアフル、そして上床さんは現場から圧倒的な信頼を勝ち取っています」
法務の問題や現場の問題を、すべて本部で管理・対処しようとすれば膨大な工数が掛かってしまいます。シェアフルは仕組み化と、営業担当者の徹底的に現場に寄り添ったコミュニケーションでそれらを解決しています。
安藤さん「弊社にとって、シェアフル、そして上床さんのサポート力はなくてはならないものです」
スポットワークというサービスをただ売るのではなく、スポットワークというシステムを使って飲食業界が抱える人材不足や、現場でのはたらき方も改善しているシェアフル。
営業担当の上床さんに、より具体的なシェアフルの取り組みについて伺いました。
業界ごとにノウハウやサポートの仕方も変わってくるため、シェアフルの営業担当は飲食・小売・物流と大きく3つの業界に分かれているそうです。また、1企業に対して1人の営業担当がつきます。上床さんは一人で数多くの店舗を見ているとのことですが、日々どのようなサポートを行っているのでしょうか。
上床さん「大きく分けて2つのサポートをメインに行っています。
1点目は、スポットワークというシステムを現場の皆さまに理解してもらうことです。近年大きく拡がってきたとはいえ、実際に導入する現場の方々からすればまだまだ馴染みがないもの。システムのメリットや他社の事例を伝えたり、アプリの操作など技術的な側面をサポートすることで、スポットワークを浸透させようとしています。
2点目は、スポットワーカーの方々を活用できるような現場づくりのサポートです。未経験者に適した業務を切り出し、ワーカーの方々がスムーズに業務に臨めるような環境を整えています」
今回の体験でも業務開始までの細かい流れが張り出されていたり、初回の業務はバッシングのみだったりと、実際にはたらく中で工夫を感じることができました。
上床さん「もう一点重要なのは、スポットワーカーの方々とのコミュニケーションの取り方についてお伝えすることです。スポットワークの魅力は、何といっても一度はたらいて相性を確かめ合ったうえで長期へとスカウトできること。そのため、コミュニケーションを取らずにはたらいたらすぐ帰るワーカーがいる状況は非常にもったいないです」
店舗向けに書かれた張り紙では、「お気に入りワーカーにスカウト送信」や「再度就業してほしいワーカーと就業後にコミュニケーション」などの取り組みがオススメされていました。名札にシールを貼ってエンゲージメントを高めることも含め、スポットワークの魅力を現場に根付かせようとするシェアフルの取り組みを体験することができました。
また、スポットワークを活用していくうえで、OB・OGやリファラル活用も広まりつつあるといいます。
上床さん「スポットワークが広まるまでは、佐藤さんのお話にもあった『閉業前に2時間だけ洗い物をしてほしい』といったニーズに応えるのはOB・OGや店長の知り合いであることが多かったんです。そういった方々にもシェアフル経由ではたらいてもらうことで、それまで個人に結びついていた人材という財産を企業に結びつけ可視化することができました。シェアフルを挟むことで雇用契約などの手続きも非常に簡単に行えるため、店長の負担を減らすことも可能になりました」
上床さんはシェアフル導入のためセブン&アイ・フードシステムズとやり取りをしているとき、「一緒に夢を見ましょう!」と語ったといいます。飲食業界が抱える課題とそれぞれの現場が抱える課題。安藤さんと上床さんが強い信頼関係を築き、伴走することで、そのどちらも改善するという「夢」を今まさに実現しつつあるのかもしれません。
最後に、安藤さんに今後の展望についてお伺いしました。
安藤さん「シェアフルのおかげで、弊社が抱えていた課題をいくつも解消することができました。今後出店を進めていくうえで、引き続きスポットワークを活用するとともに、正社員とアルバイト採用にも注力していきます。スポットワーカーの方々を雇用し、店舗を維持するためにはやはり長期ではたらく方が必要だからです。
とはいえ今後さらにスポットワークが求職者の中に浸透していけば、それに合わせて柔軟に変わっていく必要があると思います。接客のうち『作業』に関わる部分をロボットに任せて従業員が『ホスピタリティ』に関わる業務に専念できる体制を構築したり、経験者は調理に集中してもらったりと、スポットワーカーがメインになっても問題なく回る現場づくりが重要になっていくでしょう。
今後もシェアフルと上床さんのお力を借りながら、店舗ではたらいてくださる皆さんが本当にはたらきやすい環境を作っていきたいです」
まとめ
今回は、デニーズではたらいてみたレポートをお届けしました。はたらいてみて感じたのは、スポットワークというシステムが現場でしっかり機能する骨組み・土台作りが行われているということです。
多くの企業が続々と参入するスポットワーク市場。編集部では今後もその動向を追っていくことで、スポットワークの可能性について考えていきたいと思います。