「ちくしょう、転職だ。」の生みの親が手掛けるGreen管理画面リニューアル

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株式会社アトラエ
GreenUXチーム・デザイナー
紺谷 昌充氏

こんや・まさみつ/日本大学芸術学部中退。在学中から舞台役者として活動。並行して自主映画制作を行う。在学時よりWeb制作を行っていたことから、2007年よりI&Gパートナーズ(現アトラエ)にアルバイトとして勤務。2011年より正社員として入社。現在は転職サイトGreenのメインデザイナー。「ちくしょう、転職だ。」の生みの親。

IT/Web業界の求人に強い転職サイト「Green」が2018年2月6日、企業専用の管理画面をリニューアルした。「世界中の人々を魅了する転職サイト」という意気込みで作った管理画面だと話すのは、GreenUXチームのデザイナーとして活躍する紺谷氏だ。どんなことを考え、どのようにアプローチし、何を変えたのか。紺谷氏に徹底取材を行った。

魅了するために必要なのは「ノンストレス」と「感動」

「世界中の人々を魅了する転職サイトを作るうえで土台が必要」だと話す紺谷氏。その土台とはいったい何なのか。

「世界中の人々を魅了するための土台は限りなくノンストレスに近い状態。これは魅了という言葉からかけ離れていると感じますが、私としては魅了するための大事な土台だと思っています」

「今、世の中には優れたサービスが山ほど転がっています。消費者(利用者)はその状態に慣れてしまっている。例えばGoogle。みなさん、当たり前のように使っていますよね?その裏にある検索ロジックやデザインの意図などは、誰も気にすることなく利用している状態です。もしかしたら当たり前すぎて、便利だとさえ思っていないかもしれない。こうなると本当にちょっとしたストレスを感じただけで、そのサービスを離脱してしまう理由になってしまう」

日々優れたサービスに触れる機会が多いからこそ、まずはその「ストレスを感じる状態」をクリアすることが、世界中の人々を魅了するサービスであるための土台となるのだ。

「私たちが作っているGreenというサービスはまだストレスを感じる状態だと思っていました。ですので、限りなくノンストレスに近い状態を実現することが先決だと考えていました。今回のリニューアルに関して、裏側のシステムでは結構難しいことをしているのですが、利用している企業の担当者様がそれを感じずにノンストレスで利用できる状態を目指しました」

では、そのノンストレスの土台にうえには何を積み上げれば、世界中の人々を魅了する転職サイトになるのだろうか。

「これは今後の話になりますが、ノンストレスの先に感動を生み出すこと。感動とは何か?私は、頭の中に思い描いたことが即座に形になること、だと思っています。こんな人を採用したいと思った瞬間に良い人に出会え、何の苦労もせずに採用できる。こんなことできたらほぼ魔法ですよね?感動しませんか?実現可能かどうかは置いておいて、ここを目指すべきだと思っています」

顧客から集まった管理画面に関する意見・要望は1000個

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Greenの企業ユーザーはどのようなことにストレスを感じていたのだろうか。

「サイトを運営する中で企業からいただいていた意見はもちろん、数社の企業に伺って直接ヒアリングを行ったり、サイト上で多くの企業にアンケートに答えていただくことで管理画面に関する意見や要望を1000個ほど集め、それらをKJ法を使って整理しました」

KJ法とは、ブレストで出たアイデアを整理し、俯瞰して捉え、グルーピングすることで新たな着想やアイデアを得るための手法だ。最終数個のグループまで整理できたのだが、その中でどの企業からも挙げられていたのが『コストの削減』という内容だったという。

「このコストという言葉の中には様々な意味が含まれています。金銭的コストはもちろん、採用という作業に関わる時間的コスト・作業的コスト・思考的コスト・制約(機能・場所・時間・媒体)的コストなどです。この中で、時間的・作業的・思考的コストに着目し改善に当たりました」

時間的コストと作業的・思考的コスト削減の実現へ

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「検索の速度改善によって時間的コストの削減を、検索からアプローチまでを深く考えることなく認知・利用してもらうことで思考的・作業的コストの削減に取り組んだ」と話す紺谷氏。改善ポイントや新しい機能はこちらにもまとまっている。

「まず大きいのは検索速度の改善ですね。今までも企業様から検索が遅いと言う意見を数多くいただいてました。今回、技術的仕様変更や検索ロジックを整備することで、検索項目によって差はあるのですが、最大で5倍の速度改善を実現しました。」

世界中の人々を魅了するための土台はこのようにして出来上がっていく。

「次に、思考的コストを減らすために、より直感的でシンプルな検索フォームを目指しました。担当者の頭の中に浮かんだキーワードをダイレクトに入力できるように、1つのテキストボックスを用意し、そこから経験職種、経験社名、希望勤務地、最終学歴、スキル、キーワードで検索できるようにしてあります。」

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具体的には「デザイナーを採用したい」と思った時に「デザイナー」と入力すれば、Greenのデータベースにある「Webデザイナー・UI/UXデザイナー」「グラフィック・CGデザイナー」という職種や、「デザイナー」というキーワードが入ったスキルなどがサジェストされるようになったのだ。

Rubyエンジニアを採用したければ「Ruby」と入力すれば、そのキーワードが入った項目がサジェストされる。

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「キーワードでは検索できない項目も、テキストボックスのすぐ下に利用頻度が高い順番に配置してあるので、認知しやすいですし利用方法も直感的にわかりやすくした」と紺谷氏は続ける。

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「最後に、検索した項目を検索一覧で表示させることでサービスの信頼度を担保しました。Googleでは当たり前のようにできるのであまり気にしたことはないと思いますが、ちゃんと検索されているかが明確になることでサービスの信頼度が上がると考えました。」

これまでの検索画面では、自分が検索した項目が検索結果一覧でハイライト(太字にする)しておらず、正しくヒットしているかどうかがわかりづらい状況だったのだ。これがユーザーの思考的コストであり、その削減に向けて、こだわり抜いたUXが実現されていった。

「検索した項目に関しては検索結果一覧ですべての項目を表示させ、ヒットした箇所をハイライトすることで安心感を持たせました。また、企業様ごとにアクションをするかどうかの意思決定に使われる項目が違うので、こうすることで多くの企業様のニーズに答えられると考えました。」

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直感的でシンプルな検索フォーム、サジェスト機能、検索した項目の表示とハイライト機能によって、検索したい人物像をイメージしきれていなかったとしても、感覚的に検索できるようになったのではないだろうか。ユーザーの思考的コストは大きく削減されそうだ。

自分たちが使いづらいと思っているものを世の中には出せない

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話を聞いていると、管理画面のリニューアルはすんなり実現されたように思ったが、実際はそうでもなかったようだ。

「当初デザインしていたものでも、作ってみると何か違うなということがあったりします。そういった場合に、チームの誰かが発信して議題に上げ、その都度良し悪しを判断し、開発途中でもリデザインしたり、機能を削除、追加、変更するといったことはよくあります」

リデザインによってスケジュールが伸びることもあるが、「自分たちが使いづらいと思っているものを世の中には出せない」と紺谷氏は言う。スケジュールが伸びたとしても変更するという意思決定をし、その意思決定をしても、優秀なエンジニアがカバーし、数週間も伸びることはなかったというのだ。

「今回のリニューアルではノンストレスな状態を作ろうとしていますが、それを実現しようとすると技術的には細かい仕様が多く、エンジニア陣はとても大変だったとは思います。
リニューアル直前には、Greenのサポートメンバーにもテストを手伝ってもらい、フィードバック・改善という作業を10回以上繰り返しました。エンジニアを中心にGreenチーム全体で成し遂げたリニューアルだったと感じています」

世界中の人々を魅了する転職サイトへの挑戦は続く

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Greenでは2017年4月に転職ユーザー側の検索画面・メッセージ画面の大きなリニューアルを行い、今回2018年2月に企業ユーザー側のリニューアルを行った。「今回のリニューアルで、各企業ユーザーの多様な使い方に耐えうるものかつノンストレスに使えるものが出来たと思っています」と紺谷氏は言う。

「ですが、まだ企業にいただいた意見・要望の一部しか解決できていません。今回のリニューアルにおいても多くの要望から解決策を考えデザインに落とし込みましたが、それでもリリース後には使いやすくなったと仰って頂ける企業様がいる一方で、以前の使い方を変更せざるを得ず、使いにくくなったという声も頂戴しました」

「我々が目指す『世界中の人々を魅了する転職サイト』を作っていくためには、こういったリリース後に寄せられた顧客の要望も取り入れながら、本当に実現すべき価値を届けるためには何をすればよいかを真摯に考え続け、ユーザーに感動を起こすようなサービスを作り続けていきたいと考えています」

世界中の人々を魅了する転職サイトを実現すべく、Greenの挑戦はまだ始まったばかりだ。

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(HRog編集部)