ここ数年ですっかりなじみの言葉となりつつあるHR Tech。「言葉は知っているけれど、その本質は今いち、よく分かっていない…」「日々登場し続けるさまざまなサービスを把握するのは一苦労…」 この記事ではそんな人に向けて、今話題のHR Techサービスを掘り下げてご紹介します!
株式会社スタメン
取締役COO
大西 泰平 氏
おおにし・たいへい/筑波大学卒業後、広告会社 大広に入社。大手広告主の広告戦略をプランニングする中で、代表の加藤と出会う。2012年からファーストリテイリングのユニクロ事業に従事。その後、デジタルハリウッドやフィリピン・セブ島の語学学校に就学。帰国後、2014年よりnanilani, inc.でフロントエンジニア、Sekai Labでベトナム拠点事業責任者としてキャリアを経る。2016年8月に取締役としてスタメンに参画。ゼロから事業立上げを行う中で、現在はTUNAGのプロダクトオーナーとマーケティング部門の責任者を兼務し、事業成長を推進している。
人材不足が深刻化する中で、組織力こそが事業成功の鍵になる
当然ながら、企業には従業員の出入りがあって、採用(+)と退職(ー)の両面が存在しています。
採用(+)については、多くの企業が多額の予算を投下しています。いい人材を採るためには、相応のコストをかけるのはやむを得ないという考え方もあり、売り手市場の市況感を受けて、採用費はここ数年高騰し続けている状況です。
そんな中で、まとまった金額を予算投下し続けているにもかかわらず、応募者数の底上げができていない企業は少なくないと感じています。
一方で、退職(ー)に関しては、具体的な打ち手を取っていない企業が多いように思います。「離職はある程度仕方のないことだ」という認識をもっているという印象です。
本当に埋めがたい溝があっての離職であるならばそう考えるべきですが、実際には、社内のコミュニケーションに起因する問題が過半を占めており、本来は防ぐことができる離職を見過ごしているケースが多いのです。
採用難が加速する昨今、人材の流出こそが企業にとって最大のコストです。極力、退職(ー)を減らし、いま働いてくれている従業員の力を高めることが事業成功の鍵ではないでしょうか。そのために必要なのが「組織力」を上げていく仕組みづくりです。
「会社と従業員、従業員同士、相互の信頼関係」こそがエンゲージメント
組織力を押し上げるにはどうしたらいいのか。その答えは、「エンゲージメント経営」にあります。
弊社では、エンゲージメントが高い企業は、「会社と従業員、従業員同士、相互の信頼関係が確立されている」企業だと考えています。
会社が目指す場所を理解し、それを信じて仕事に邁進できている社員であふれる組織は強く、また、社員同士のつながりが強固なものであれば、チームワークを活かした業務を進めることができます。
結果として、エンゲージメントの高さが生み出す組織力が、企業としての競争力の源泉になるのです。
組織エンゲージメントと似たような言葉にES(従業員満足度)がありますが、これらは似て非なるものです。
ESは文字通り、従業員の「満足度」を示すものなので、会社の業績が傾いたり、給与条件や福利厚生などの待遇が保てなくなると、すぐに失われてしまうものです。従業員満足度を高めるだけでは、「強い会社づくり」にはつながらないのです。
一方で、エンゲージメントの高い組織であれば、会社の業績が傾いた時や大きな困難にぶつかった時にこそ、苦境を乗り越えるために一枚岩になれるはずです。エンゲージメントの多寡が、企業としての「底力」と直結しているのです。
エンゲージメントを高めることの3つの効能
アメリカのコンサルティング会社よれば(タワーズ・ワトソン社調べ) 、エンゲージメントが高い企業は低い企業に比べて営業利益率が平均5倍ほど高いという調査結果が出ています。つまり、エンゲージメント向上につとめることは、企業業績を高めることにつながるということです。
ここでは、企業業績に関わる組織エンゲージメントの効能を3つほどご紹介します。
代表的な効能の1つが、組織の「生産性向上」です。生産性向上というと、ITツールなどを駆使して業務効率を高めるアプローチを取ることが多いと思います。
もちろんそういった物理的な取り組みも重要ですが、それだけだと生産性を高めることに対して、従業員それぞれが「自分ごと」と捉えていくことは難しいでしょう。
本質的な生産性を高めるためには、それを高めたくなるような「仕組み」や「環境」を整えられるかどうかにかかっています。
エンゲージメントを高めることができれば、「相手の信頼に応えたい」という気持ちや、「このチームで共に成果を上げたい」といった想いが組織の中に自然と芽生え、現場主導で、より成果を上げるための工夫が凝らされるようになるのです。
私はこういった一連の流れが、「真の生産性向上」になると思っています。
2つ目は、離職率の低減です。
上司と部下との関係構築がうまくいかないケースや、会社や事業の方向性(ビジョン)に共感できないといったケース、仕事に対してのモチベーションが高まらないケースなど、離職には様々な理由があります。
理由がバラバラだからこそ、対処も後手後手になり、個別対応に追われることになりがちですが、実は「企業と従業員」か「従業員同士」の信頼関係、そのどちらかに問題がある場合が大半です。要は、組織内の関係性の「質」に問題があるのです。
エンゲージメントを高めるということは、まさにこの信頼関係の「質」を高めることに他なりません。離職の原因に対して場当たり的な対処ではなく、原因の根本を解決していくアプローチを取ることができるのです。結果、離職率の改善に効果を発揮します。
3つ目は、リファラル採用の増加です。リファラル採用とは、自社の従業員に人材を紹介してもらう制度です。採用コストを抑えつつ、優秀な人材を獲得できる手法として、取り組みを始める企業が増えていますが、まだまだうまく活用できている会社は少数と思います。
そもそも、エンゲージメントが低い状態では、自社に知人や友人を紹介しようと思う従業員が何人いるでしょうか。たとえ、紹介インセンティブをもうけたところで、お金目的だけで会社紹介に協力しようと考える人は少ないでしょう。
会社や上司、同僚のことを信頼しているからこそ、自分のプレイベートの知人、友人のことを紹介してみようかなという気持ちが起こるものだと思います。リファラル採用という取り組み自体が、組織のエンゲージメントが高い状態があってこそのものだといえます。
エンゲージメントが高い組織であれば、少ないコストで優秀な人材を獲得でき、新しく入社したその人材がまた新たな候補者を紹介してくれるようになるというポジティブな連鎖を生むことができるようになるのです。
TUNAGはエンゲージメント経営の支援に特化したサービス
ここまで、組織エンゲージメントを高めることの有用性についてお話しさせていただきました。
私たち株式会社スタメンが企画・運営するHR Techサービスの「TUNAG」は、このようなエンゲージメント経営の実践を支援することに特化したITコンサルティングサービスです。
組織エンゲージメントを高めるための様々な機能を搭載したクラウドシステムと、専任コンサルタントによる組織コンサルティングの両輪で、組織活性化を促し、明るく強い組織作りを導入企業の方々と行なっています。
サービス開始から1年で導入企業数は70社を超え、20名から5,000名まで大小様々な規模、業種の企業様にご活用いただいております。
本記事をご覧いただき、組織エンゲージメント向上に興味を持たれた経営者様や人事のご担当者がいらっしゃいましたら、より具体的な事例やノウハウをお伝えすることができますので、まずはお気軽にご連絡をいただきますと幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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(HRog編集部)