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採用難易度が高まる中、注目の「リファラル採用」で成果を出す方法とは?

株式会社Take Action
代表取締役
成田 靖也 氏
なりた・せいや/1984年、北海道生まれ。2010年に株式会社Take Actionを創業。採用支援から事業を広げ、2016年リリースの社内コミュニケーションツール「THANKS GIFT」は1,000社以上の導入実績を誇る。現在はリファラル採用とアルムナイ採用を支援するサービス「リファアルム」など複数の事業を展開し、採用から定着まで一気通貫で支援するサービスを提供。著書:『社員が辞めない会社の作り方』(幻冬舎)

労働人口の減少に伴い、多くの企業が採用難に直面している昨今、「リファラル採用(社員紹介採用)」を導入する企業が増えている。採用コスト削減やマッチング精度の向上など、多くのメリットがある手法ではあるが、制度を導入したものの、成果がなかなか出ないという企業も少なくない。リファラル採用で継続的に成果を残すためのポイントについて、リファラル採用やアルムナイ採用を支援するツール「リファアルム」を運営する株式会社Take Actionの代表取締役の成田 靖也氏に話を伺った。

リファラル採用を導入する企業が増えている理由

成田氏「多くの企業でリファラル採用の導入が進んでいる背景としては、これまでの採用手法の限界、採用コストの高騰、定着する人材の採用などがあります。

求人サイトや人材紹介サービスに登録しているのは、積極的に転職活動を行っている、もしくは行う意思のある転職顕在層です。しかし、優秀な人材の多くは、良い機会があれば転職を考える転職潜在層の方達です。リファラル採用は、従業員の友人や知人にアプローチする手法であるため、転職潜在層の方にもリーチできることが、他の転職手法と大きな違いです」

成田氏は「転職顕在層は多くの会社からアプローチを受けており、競争が激しいからこそ、自社にマッチする可能性の高い転職潜在層といかに接点を持てるかを重視する企業が増えている」と語る。

リファラル採用には、相性の良い企業・悪い企業がある?

成田氏「リファラル採用が注目されているとはいえ、すべての企業で同じように成果が出るわけではありません。むしろ、企業の状態や文化によって、向き不向きがはっきりと分かれる採用手法と言えます。

リファラル採用の成否を分ける重要な指標の1つに『社員が友人に自社を紹介したいと思えるか(=従業員エンゲージメントが高いか)』が挙げられます。どれほど制度を整え、高額なインセンティブを設定しても、社員が自社に愛着を持っていなければ、誰も友人を紹介しようとは思いません」

リファラル採用で成果を出すためには、まず従業員エンゲージメントが高い状態を作ることが重要。従業員エンゲージメントが低いと、社員からの紹介が発生しないようだ。

リファラル採用で成果が出ている企業/出ない企業に共通する特徴

全員で採用するという意識&紹介者への賞賛を忘れない

成田氏「従業員エンゲージメントの高さ以外にも、リファラル採用で成果が出ている企業に共通する特徴がいくつかあります。1つは、従業員全員で採用に取り組もうという雰囲気作りです。『採用は人事の仕事』という意識の会社ではリファラル採用は機能しません。現場の管理職やメンバーが、自発的にSNSで採用情報を発信したり、採用イベントに登壇するなどのアクションを行っている企業は、リファラル採用の成果が出やすいです。

リファラル採用特化ツール『リファアルム』導入企業では、全員でリファラル採用を行う意識を醸成するために、全社集会を開催する他、ワークショップを行って、具体的なアクションに落とし込む活動を実施するケースも多いです」

その他にも、多くの企業が見落としがちな点があるとのこと。

成田氏「リファラル採用に協力してくれた方への賞賛を行っている企業では、中長期的に紹介が発生しやすいです。友人や知人を紹介してくれた際や、紹介者の入社が決まった際に、金銭的な報酬を渡すだけでなく、全社集会や社内SNS等の場所で精神的な報酬(感謝・称賛)を伝えることが非常に重要です」

リファラル採用を短期的なプロジェクトとして終わらせるのではなく、仕組みとして紹介が発生し続ける状態を作るためには、感謝や称賛を伝え続けることが鍵となるようだ。

社内での周知・求人情報の更新をし続けるべし

一方で、リファラル採用がうまくいかない企業にも共通する特徴があると成田氏は語る。

成田氏「リファラル採用で成果が出ない企業にも共通する特徴がいくつかあります。代表的な例を挙げると、募集している求人内容を周知していない、または1回発信して終わりになっている、従業員に紹介するメリットが少ない、データを取得しておらずPDCAを回せていないことなどです」

また、1回協力を求めて終わりになっている企業も多いようだ。その場合、最新の求人情報を取得・発信する仕組みを作ることが重要だ。

成田氏「欠員補充などの場合は短期的な目線での採用活動になりますが、年間の採用計画の中にリファラル採用を落とし込む場合は仕組み化する必要があります。そのため、人事や経営の発信の仕方や動き方も変える必要があります」

従業員規模別・雇用形態別 リファラル採用の進め方

従業員規模別のリファラル採用の進め方

成田氏「リファラル採用は従業員規模別で進め方が異なります。

小規模の企業では、経営者や人事が全社員と顔を合わせることができるため、個別コミュニケーションが有効です。理念やバリューを明確にし、それに共感する仲間を集めていくアプローチが効果的ですね。従業員が30名を超え始めると、部門ごとの特性が出始めるため、各部門のリーダーを巻き込むことが重要になります。専用ツールを導入し、スマホで数タップで紹介できる環境を整えることで、協力率を大きく向上させることができます」

では大企業の場合はどうだろうか。従業員数が多いとリファラル採用に関する情報発信が社員まで届きにくいイメージがあるが、実は大企業の方が成果は出やすいと成田氏は語る。

成田氏「大企業の方が、従業員が多くてリーチできる人が多いことや、会社の知名度が高く紹介のハードルが低いことから、リファラル採用の成果が出やすいです。リファラル採用を社内横断の一つのプロジェクトとして組織化し、専任チームを設置することが推奨されます」

従業員規模別で行うべき施策は異なるものの、従業員の方への定期的な協力依頼と求人情報の共有、紹介してもらった後に感謝を伝えることは、どの企業であっても重要だという。

規模特徴と課題必要な施策
〜30名
(創業期・小規模)
経営陣や募集している部門の方は、紹介に協力してくれる可能性が高い。どの部門にどういった方が欲しいのかを明確にする必要がある。社長が「協力してほしい」と直接頼むのが一番効果的。
30〜300名
(拡大期)
社内における誰が何の仕事を行っているのかを把握しにくくなる。そのため、会社が募集している求人についても、知らない人が増えてくる。紹介してほしい求人内容を社内チャットや全社集会等で定期的に発信する。
300名〜
(中規模企業・大企業)
募集している求人の仕事内容やチームの雰囲気等を知らない為、自分と関わりの少ない部門や職種は紹介するハードルが高い。いかに紹介を生むための不安を取り除けるかが重要。社内ポータル・一斉メールでの周知、専用ツールの導入、紹介専用の窓口設置など、紹介を行いやすくするための仕組み作りを行う。

雇用形態別のリファラル採用の進め方

続いて雇用形態ごとの特徴・進め方についても伺った。

成田氏「正社員とアルバイトではそもそもの採用目的が異なります。正社員採用では会社の文化との相性、募集している求人要件との一致度、中長期的に勤めてもらえるかが重要な一方、アルバイト採用ではシフト枠を埋めるための人材確保が重視される傾向にあります」

そもそも採用目的が違う場合は、リファラル採用の活動の進め方も異なる。ということで、職種や雇用形態でもフローを分ける必要があると成田氏は語る。

成田氏「正社員に関しては、リファラル採用制度をしっかりと設計することが重要です。選考フローや紹介・内定時のインセンティブ、社内広報の仕組み等々が整っていない場合、トラブルに繋がることもありますので、注意が必要です。

一方、アルバイトやパートの採用は各店舗・拠点単位で行われることもあり、制度を作りつつも、責任者がとにかく協力依頼の声掛けをして、スピード感重視で進めることも必要になります。例えば約30店舗の飲食店を運営する株式会社フレスカは、社内掲示板を活用して定期的に採用情報や協力依頼の投稿を行うことで、アルバイトを中心に年間200名ほどのリファラル採用に成功しています」

雇用形態によって、リファラル採用における気を付けるべきポイントも異なる。協力してくれた方とのトラブルを避けるためにも、自社に合った制度を作った上で進めることがポイントだ。

項目正社員(中途・新卒)アルバイト・パート
最重要視点「カルチャー・スキルの一致」「空いているシフトの補充」
紹介者の動機優秀な仲間と働きたい、会社を良くしたい、人手不足なので助けてほしい「友達と一緒だと楽しい」「シフトを代わってもらえる」(実利・楽しさ)
インセンティブ高額だが重要度は「中」
(10〜100万円程度)
少額だが重要度は「高」(3,000円〜3万円、食事券など)※即効性のある特典が効く
選考フロー慎重・ステップ重視
(カジュアル面談→選考)
スピード重視
(面接→即採用)
効果的なツールSNS、ダイレクトメッセージ、社内専用URL店内ポスター、物理カード(紹介カード)、LINE
よくある失敗採用要件を充分に伝えられず、ミスマッチな紹介が増える手続きが複雑すぎて、アルバイトスタッフが面倒に感じる

リファラル採用を仕組み化するには「プロジェクト組成」と「情報にすぐアクセスできる環境」が重要

最後に、リファラル採用を一時的なものではなく、継続的に成果を出す仕組みを作るために必要なことについて伺った。

成田氏「リファラル採用を重要な採用チャネルの1つとして取り入れ、継続的に成果を出すためには、『部署やチームを横断したプロジェクトの組成』と『リファラル採用に特化したツールの活用』が重要です。リファラル採用を人事部だけの仕事にせず、全社横断のプロジェクトとして位置づけると、各部門で活動が促進されます。また、PDCAを回し続けることによって、最初は成果が出なくても、成果が生まれやすい仕組みに徐々に近づいていきます」

リファラル採用に特化した国産のツールも増えており、リファラル採用に本格的に取り組む企業で導入が増えているとのこと。

成田氏「リファラル採用に特化したツールでは、『求人ページの作成』『リンク・QRコード共有』『採用進捗を可視化したダッシュボード』『紹介者からの情報提供フォーム』などが搭載されていることが多いです。従業員の視点で考えると、現在募集している求人内容にアクセスできること、求人情報をURLやQRコードに変換して、SNSやチャットで送れるようにすることは重要です。紹介しようと思った時に、すぐに求人情報にアクセスできる状態を作ることが協力のしやすさに繋がります。

実際に、焼肉店などの飲食事業を展開する株式会社サングの事例では、ワンタッチで紹介用ページのURLを発行できる機能が、求人情報を友人に共有する際のハードルを下げました。その効果もあり、5ヶ月で24名もの採用に成功しています」

まとめ

「リファラル採用は、今後多くの企業で導入されますが、大きな成果を出せる企業と全く成果が出ない企業に二極化することが想定されます。ただリファラル採用制度を作るだけでなく、その後の運用が重要です」と成田氏は強調する。

成田氏「リファラル採用で成果を出している企業に共通するのは、社員エンゲージメントの高さ、継続的な社内広報、カジュアル面談の設置、専用のツールの活用、そしてプロジェクトとしての組織化です。

自社の現状を冷静に見極め、今回紹介した成功事例やポイントを参考に、貴社に最適なリファラル採用の形を見つけていただければ幸いです。採用難の時代を勝ち抜くために、社員とのつながりを活かした採用を、今こそ始めてみてはいかがでしょうか」

(寄稿:株式会社Take Action)