【人材派遣営業MVP特集#05】メンバーの『will』に寄り添うマネジメント|キャスティングロード・柿本竜樹氏

株式会社キャスティングロード
横浜支店長
柿本 竜樹 氏
かきもと・りゅうき/小学から大学まで野球に励み、一球・一瞬を大事にする精神力と礼節と挨拶の大事さを学ぶ。人材業界に興味があり、業界を絞って就活。キャスティングロードに入社後は営業として、3年目で主任、4年目で支店長職として東京支店を担当。5年目から横浜支店の支店長として活躍。

人材派遣営業のMVP特集

大きな組織成長の裏には、それを支えるハイパフォーマー営業の存在がある。人材派遣会社で働くハイパフォーマーたちの共通点とは何なのだろうか。本特集では人材派遣企業各社のMVP受賞者にスポットをあて、彼らのストーリーから活躍の秘訣を紐解いていく。

人材派遣営業のMVP特集の第五回目は、ユニット型派遣などニーズに合わせた人材派遣サービスを提供する株式会社キャスティングロードの柿本竜樹氏にインタビューを行った。横浜支店長としてチームを牽引し、向上心を絶やさず走り続ける柿本氏の活躍の秘訣とは。

メンバーの努力とクライアントニーズを汲み取り、営業目標126%を達成

メンバーが業務で「どのような所にやりがいを感じているのか」「どのようなことで困ってるのか」に目と耳を向けながら、売上管理をしているという柿本氏。上期の営業目標に対し、126%を達成したことが大きく評価され、今回のMVPに推薦された。その成果に結びついた要因について伺った。

「一番大きな要因は、なんといっても支店のメンバーの頑張りです。自分一人で成し遂げられたものではなく、メンバーの一人ひとりが自分の課題をしっかりと認識し、目標に向かって一つ一つ努力をしてきました。その努力の中で、それぞれが小さな成功体験を積み重ねてきた。その結果が支店全体の目標達成にも大きく影響したと思います」

みんなで完成させる施策が壁を乗り越えるきっかけに

メンバーの努力はもちろんのこと、支店の売上目標達成の裏には、支店長としてメンバーを支え、まとめてきた柿本氏の手腕があった。しかし、これまでの道のりは決して平坦ではなかったという。支店長という役割の中で、どのような壁に直面したのだろうか。

「東京第3支店の支店長になった当時は、『何がわからないのかもわからない』という状況に陥りました。初めて支店長という職務に就き、クライアントと相対するよりも、部下であるメンバーと相対する時間が増えました。部下の売り上げが支店の売り上げに直結するので、メンバーのマネジメントという観点で、どのように彼らと向き合うとよいかを模索し、答えが分からない中で一人悩むこともありましたね。環境が大きく変わったことに戸惑いもあり、これまでで一番の壁にぶち当たった時期だったと感じています」

環境と役割が変わって、自分なりに売り上げを上げるための施策や取り組みを考えるものの、それがメンバーに浸透しなかったり、うまく進まなかったりすることが多かったと話す柿本氏。このときをどう乗り越えたのだろうか。

「マネジメントの方法やメンバーとの向き合い方について、周囲の経験者の声を聞いたことが壁を乗り越えた一つのきっかけです。経験豊富な仲間や先輩などに相談し、実際にどうマネジメントされているのかを聞いたところ、勧められたのが『メンバーと一緒に施策を完成させる取り組み』でした。それまでは、自分がやりたいことを事前にメンバーに話すことはなかったのですが、会議の中でそれを伝えて、みんなにも意見を出し合ってもらうようにしました。みんなの声を反映させながら最終的な施策を完成させることで、メンバーの納得度が増し、自分たちで決めたことだからと前向きに取り組んでくれるようになりました」

一人ひとりの「will」を引き出すマネジメントを実践

メンバーのマネジメントで悩んだ時期を乗り越え、チームを牽引して売り上げを伸ばした柿本氏。現在はメンバー一人ひとりが課題を見つけ、その課題と向き合えるようなマネジメントを行っている。

「売上目標だけではなく、一人ひとりの目標『will』を一緒に探すようにしています。具体的には、『いつまでに主任になりたい』、『派遣スタッフをフォローする社内のランキングに入りたい』といった目標をしっかり話し合いながら、メンバー個人が目指す方向性を決めます。自分のなりたい姿を、支店長の私と対話しながらしっかり見据え、同じ認識を持った上で週一や月一で進捗確認を行っています。何が足りていないのか、もっと力を入れるべきはどこかなどを話し合うことで、メンバー個人が自分の課題に向き合うことができていると思います」

こうした個人に向き合うマネジメントにより、メンバーがwillを叶え、柿本氏自身の成功体験にもなった経験が2つあると言う。

「1つ目は自分自身初の部下である一般職のメンバーを、役職者として昇進まで導けたことです。東京で支店長を務めていた時、willとして『主任になりたい』という目標を共に掲げたメンバーがいました。正直、目標設定した当初はクライアントの課題の抽出が苦手で、派遣スタッフとの労務トラブルも多く、正直なところ主任レベルとは言えませんでした。ですが、主任になるためには達成しなければならないことを定量的に掲げて毎日取り組んだ結果、1年後に見事主任に昇進まで導くことができました。

2つ目は、仕事にやりがいを感じられておらず、エンゲージメントも下がっていたメンバーが自支店に異動してきたときの話で、最終的にそのメンバーを支店内の売上達成率No.1まで引き上げられたことです。最初は上辺だけの目標が出てきてしまって、なかなか本音が引き出せませんでした。そこで『何でもいいよ。恋人がほしいとか、仕事とは無関係の夢でもいいよ』と伝えて、腹を割ってそのメンバーとコミュニケーションを取り、ある1つのwillを掲げました。willへ向かって進んでいく中で、私のことを相談しやすいと感じてくれたのか、些細なことも共有してくれるなど良い変化が見られるようになりました。そのメンバーは次第に業務に向き合えるようになり、結果的に支店の中で一番の売り上げ達成率を叩き出す事ができました。本人自身イキイキとした営業マンに成長しましたし、このことは本人にとっても私にとっても大きな成功体験となりました」

メンバーの本心を引き出すために、柿本氏は日頃から「良いことも悪いことも話しやすい人」であることを意識していると話してくれた。

「信頼関係はコミュニケーションの数で作れると考えています。特に、メンバーとの間で起きたことをしっかり覚えておくように心掛けていて、何か相談されたら、翌日に『あれからどうなった?』と声をかけたり、小さな悩みやつまづきにもしっかり共感したりしています。ちゃんと気に掛けているよと相手に伝えることと、どんなに些細なことでも話していいんだ、という認識を持ってもらうことは、メンバーとの関係性を作る上でもとても重要だと感じています」

「向上心」を合言葉に常に走り続け、新たな取り組みにもチャレンジしていきたい

メンバーひとりひとりに寄り添ったマネジメントで、チーム全体の売上向上に尽力してきた柿本氏。もちろん、本人にも叶えたい『will』があるようだ。今後のキャリアについて展望を聞いた。

「働く上で一番大切にしていることは『向上心』です。常に次に向かって走っているので、今は、10月までにブロック長代理という支店長の上のポジションになることを目標にしています。あとは、新しい何かを生み出す新規事業にもチャレンジしたいですね。同業他社の中には、派遣ではない新たな事業に取り組んで成功している会社も多くあるので、私もその一員になって、会社の利益を生み出していくことにチャレンジしたいなと思っています」