今回の記事は、UPPGO株式会社の星野里季氏より寄稿いただきました。
UPPGO株式会社
イノベーション推進部 部長
星野 里季 氏
ほしの・りき/慶應義塾大学卒業後、ホテルニューオータニに入社。その後、株式会社DeNA、株式会社ワークスアプリケーションズ、JAC recruitmentにて営業、ITエンジニア、CA業務を経験し、株式会社リブセンスにて「転職ドラフト」「転職ナビ」など転職サービスの事業責任者に従事。2022年よりUPPGO株式会社にて新規事業開発責任者に就任し、副業転職メディア「substart」の事業責任者に従事。
昨今、労働人口の減少や労働市場環境の競争激化などにより、正社員採用の難易度が高まっています。その中で、新たな労働力確保に向けて副業人材やフリーランスなどの外部人材活用が世間でも注目を集めています。一方で、多くの企業が副業人材を受け入れたり興味を示しているものの「うまく活用出来ていない」「受け入れに関心はあるがメリットがわからない」といった悩みを抱えていらっしゃいます。
今回は、各社が副業人材を採用している背景や採用することのメリットについてお話させていただきます。
副業人材を活用する企業の目的
まず、実際に副業人材を採用している企業様がどのような目的で採用を行っているのかご説明させていただければと思います。
下記は、弊社と株式会社フクスケさん協同で渋谷区公認の企業向け副業人材活用/採用ノウハウをまとめた「副業ガイドライン」を策定する際に約560社にアンケート調査した「副業人材を採用する目的」の調査結果です。
我々も調査結果を見て驚いたのですが、副業者を活用する企業の目的第1位は「正社員の人手不足による業務の代替」でした。この結果から、本来は正社員採用をしたいが正社員採用市場の競争が激しいが故にやむを得ず、副業人材を採用しているということがわかりました。
また、2位は「社内に知見がないプロフェッショナル領域での活用」、3位は「社内リソースが割きづらい新規事業の立ち上げ」と外部の知見やスキルを活かして自社の生産性向上やイノベーション創出をしたいという理由も多くあることが見受けられました。
副業人材に活躍してもらうための3つのポイント
では、実際に副業人材に活躍してもらうためには各社どんな工夫をされているのでしょうか?副業人材との付き合いが上手な企業様は下記3つのポイントを意識されていらっしゃいます。
副業人材に活躍してもらうために最重要なポイントは、「自社内で発生している課題と要件定義の言語化」です。「自社の課題や要件定義なんて当然できている」という方もいらっしゃるかもしれませんが、「本当に解決すべき課題とその解決方法」を正しく言語化出来ている企業様は意外と少ないんです。実際のアンケート結果でも57.05%の担当者が難易度が高いと回答いただいています。
課題の言語化がずれると、求める成果がずれてしまいます。また、要件定義がずれると本来解決したかった課題が解決出来ず、逆に悪化してしまうリスクもあります。ですので、解決したい課題と要件定義を言語化することが最重要となります。
企業様とお話していると、「正社員採用に費用をかけてるから副業採用はなるべく安く済ませたい」「副業人材は会社へのロイヤルティが低いから支払う金額もなるべく安くしたい」のようなお声をお聞きします。正社員の方が優先順位が高いため、とにかく安く済ませたいというお声です。
しかし、副業人材を採用する企業は多くなってきており競合は年々増えています。そんな市況感の中で副業人材から選ばれる、モチベーション高く働いてもらうためには仕事の魅力と稼働報酬の高さが重要です。
参考までに各社がどのくらい副業人材に対して投資しているかをご覧いただき、現在の予算と見比べてみてください。
副業人材であっても正社員であっても会社を成長させるために働く仲間であることに変わりはありません。その意識を強く持ち、会社の一員として迎え入れる姿勢が重要です。
具体的には下記のような内容です。
・結果に応じて給与を上げる
・社内のMTG参加や資料への情報アクセス許可など、情報の透明性を高める
・会社や事業のビジョンを伝えて方向性を示す
「外部から手伝ってくれている作業者」ではなく「事業を成長させるために共に働く仲間」であるということを理解し、行動に移していきましょう。
副業から正社員への雇用転換はメリットだらけ!
企業様の多くは「良い副業人材がいたら正社員として働いて欲しい!」という希望をお持ちですが、一方で「正社員を最初から採用するのと何が違うの?」と疑問に思われる企業様もいらっしゃいます。ここでは、副業人材の採用を進めるメリットについてお伝えさせていただきます。
年々採用市場は競争が激化しており、母集団形成に苦戦されている企業様も多いと思います。しかし、それは転職顕在層市場で戦っているからであり、転職潜在層市場はまだまだブルーオーシャンです。副業希望人材は働く意志が強い転職潜在層になるので、母集団形成にはうってつけの人材プールとなります。
副業で一緒に働く中で、その人の面接だけではわからない人となりやスキル、共に働くメンバーとの相性などがわかります。なので、「採用したけれど全然合わなかった、、、」という課題は一切起こりません。
副業時に事業理解や一緒に働くメンバーとの顔合わせが終わっているため、入社後の研修コスト、OJTコストなどを削減することができます。
副業から始める正社員採用お試し転職の『substart』
上記のように副業から正社員転換するメリットは、企業にとっても求職者にとってもたくさんあります。しかし、世の中では書類選考や面接で正社員を採用するフローが一般的で、多くの課題を含んでいます。
我々は、そんな現状にメスを入れるためにお試し転職というコンセプトの元、副業から始める正社員採用『substart』というサービスを立ち上げました。
まずは副業で2~3ヶ月(期間は企業様にお任せしています)働き、お互い一緒に働きたいと思ったら正社員として入社するという仕組みです。もちろん、副業のまま続けたいという双方の意向があれば副業として働くという形でも問題ございません。
本サービスを通して、「転職潜在層にアプローチしたい」「入社後ミスマッチをなくしたい」という課題をお持ちの企業様をご支援したいと思っています。
サービスページはコチラからご覧いただけます。
副業人材を採用することは、従来の組織体制や採用手法から大きな変化を伴います。ただ、その変化と引き換えに多くのメリットが生まれることは間違いありません。1歩踏み出すことは大きな挑戦だと思いますが、1社でも多くの企業様が副業人材に活躍してもらいスピーディに成長されていかれることを心よりお祈りしています。