
株式会社タイミー
流通ENT事業部 リーダー
豊倉 宏樹 氏(画像左)
とよくら・ひろき/埼玉県越谷市出身。新卒で美容師として6年間従事。その後、有形・無形商材双方の営業職として個人、中小企業、大手企業への提案、組織攻略に携わる。2023年2月にカスタマーサクセスとしてタイミーへ中途入社。その後、2024年5月にチームリーダーに就任。休みは家族との時間を楽しむ。
株式会社タイミー
流通ENT事業部 カスタマーサクセス
内海 千恵美 氏(画像右)
うつみ・ちえみ/岡山県倉敷市出身。同志社大学グローバルコミュニケーション学部。学生時代は教育系スタートアップで長期インターンをし、広報、CS、講師などの業務を経験。2024年に新卒でタイミーへ入社し、カスタマーサクセスとしてクライアントの課題解決に携わる。趣味はフェスやライブ参戦。
長い社会人生活でたった一度しか挑戦することのできない「新卒MVP」の獲得。それを達成した新卒社員の活躍には、どのような秘話が隠されているのでしょうか。前編では、内海さんが新卒MVPを受賞するまでの歩みを入社前から追ってきました。後編では豊倉さんのチーム作りの考えと共に、より具体的に受賞の秘訣に迫っていきます。
新卒MVP受賞の瞬間

改めて、2024年11月の全社会の場面を内海さんに振り返ってもらいました。実はこの日、内海さんは新卒MVPだけでなく、四半期ごとの本部MVPも受賞していました。
内海さん「この日は午前に四半期ごとの授賞式がありました。そちらは四半期の売り上げや達成率で決まるため、事前に私が受賞者になることは教えていただいていたんです。
ただ、新卒MVPを受賞できるとは思っていませんでした。この部署に配属されているのは私だけですし、同期の人たちはそれぞれ異なった業務をしているので、誰が受賞するのか本当に想像もつかなかったんです。
スライドに名前が表示されたときは、私よりも隣に座っていた先輩の方が先に驚いて叫んでいましたね笑」

壇上に上がり、代表の小川領さんから賞状を受け取る内海さん。
豊倉さん「彼女の受賞コメントは本当にすごかったです。事前に受賞することが分かっていたからAIにお願いして、しっかりと台本を作ったのではないかというクオリティでした。途中から『何この子、凄すぎない?』と会場がどよめいたくらいです笑」
内海さん「思い出すと恥ずかしいです笑。
午前の本部MVP発表では事前にコメントを準備できたので、そこで伝えきれなかったものを新卒MVP受賞の時に言わせていただきました。皆さんに感謝の気持ちを伝えたいと思っていて、午前のコメントで入りきらなかった皆様一人ひとりのお名前を呼んで言葉を伝えたんです」
そんな内海さんのコメントを、一部抜粋・要約して紹介します。
まずは、このような賞を用意してくださったことに感謝いたします。
半年前、17人の同期と共に入社した際は右も左も分からず、ご迷惑をおかけしたことも多かったと思います。そんな中で、商談同行や研修、たくさんのフィードバックや発信の機会をいただき、顧客ファーストを考え挑戦できる環境を作ってくださいました。
まだまだ未熟な私たちを支えてくださった社内の皆様、現場、お客様のおかげで、学びの多い半年間となりました。新卒で入社してよかったと思える会社を作ってくださった小川代表、採用・研修チームの皆さん、メンターの○○さん、そしてチームの皆さん。感謝を伝えたい方は数えきれませんが、この場を借りて心よりお礼を申し上げます。
最後に、部署やエリアは違えど、同期の存在を感じながら頑張ってこられました。いつも刺激と癒しをくれるみんな、ありがとう。これからも17人で精進してまいりますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
新卒MVP受賞の秘訣
では、内海さんのどのような行動がMVP受賞へとつながったのでしょうか。内海さんによれば、評価されたポイントは、
- クライアントへの訪問を重ねたこと
- 訪問時に得た気づきをナレッジとして発信し続けたこと
大きくこの2つだったといいます。

内海さん「入社してからは、商談だけではなく実際に業務を体験しに何度もお客様のもとへ足を運びました。色々な訪問を通して、業務のことを深く理解し、お客様との信頼関係もしっかり築けたんです。それがより良い提案につながり、結果的に売り上げにつながっていく。このサイクルが出来たことが評価いただいたことの1点目です。
2点目は、訪問時に現場で得た学びや気づきを定期的に発信していたことです。その情報発信、ナレッジの発信をとても評価していただきました。
新卒の人には共感してもらえると思うんですが、最初は『こんなことはみんな知ってるだろう』と考えながら発信していました。ただ予想に反して、『勉強になったよ』とか『同じように提案してみるね』と温かい反応を頂くことができたんです。そのおかげで発信を続けることができ、結果的にそれがまた評価につながったのだと思います」
豊倉さん「弊社の考え方で『小さなwin』を大事にするというものがあります。小さなwinとは言い換えれば小さな成果や成功のことです。『こういう話し方や提案の仕方でお客様から良い反応が貰えた』といった小さなwinはそのまま会社全体の財産・ナレッジになります。
自分では些細なことだと思っていても、それを知らない人は必ずいるので、彼女のように発信を続けるのはとても大事なことです。僕より早く入社した人が『こういう視点はなかった』と気づけるような内容の共有も出来ていたので、そこも大きく評価されたのだなと思います」
また内海さんのそうした発信は、訪問後に必ず記入するレポートとは別で、自主的に続けたものだといいます。

豊倉さん「1番最初に訪問に行ったとき、さっきの出来事は共有してもいいかもね、と伝えたことはありました。ただ行動を促したのは本当にその一回だけで、その後僕からは何も言っていません。どうすればクライアントに貢献できるか、どうすればチームが、そして会社全体が成長できるか。彼女が自分で考えて行動を続けてくれたんです。
ちーちゃんがMVPを受賞できたのは、何か大きな華々しい成功によるものではなく、日々能動的に考えて行動した、そうした堅実な積み重ねによるものだと思っています」
内海さん自身は「やったこと自体は先輩の真似をしただけ」と謙虚に語りますが、その考え方の根底には、前編で触れた「価値観や正解は人それぞれ違う」という学生時代に学んだことも活きていました。
内海さん「自分が当たり前に思っていることが、相手にとっての当たり前とは限らない。大学ではこのことをたくさんの例をもとに勉強してきました。
カスタマーサクセスにおいても、自分が『これが最適だ』と思っていても、お客様にはそれぞれの考え方や背景があります。たとえば、『なぜその選択をしているのか?』『どんな背景があるのか?』を想像しながらヒアリングすることで本当の課題が見えてきて、その解決に向けた提案ができると考えています」
同じ業界や業種でも、クライアントごとに「正解」=「クライアントが本当に求めている提案」は異なるもの。内海さんは、学生時代に学んだこの考え方を活かして積極的にクライアント訪問を行い、各クライアントのニーズや課題感の裏側を深く理解しようと努めているのです。
それに加え、インターン先の社長から学んでいた「価値のメカニズム」も、現在の業務に大きく影響を与えているといいます。
内海さん「インターン時代に社長から『スピード・質・量のどれかで期待値を超えることで初めて価値が生まれる』という話を聞いて、非常に影響を受けました。例えばお問い合わせがあったらすぐに対応する、何度も訪問してしっかりお話を聞く、それによって質の良い提案に繋げるなど、相手の期待を超えることで初めてタイミーというサービスに価値を感じていただけると思っています」
この考えを実践するための基本は「期待値を正しく擦り合わせること」であり、そのための方法こそが、内海さんの行ったクライアントへの訪問です。実際に訪問し、相手の言葉だけでなく表情や雰囲気からも情報を得ることで、相手が本当に「期待」していることを見極められます。
内海さん「お客様の期待値がどこにあるか分からないまま行動しても、お客様の期待からズレた方向に進んでしまうこともあると思います。大学で学んだ『自分にとっての当たり前が相手にとっての当たり前とは限らない』という考え方もここに通じています」
大学とインターン時代の学びを活かし、クライアントのことを考えて行動しつづけた内海さん。その積み重ねが新卒MVP受賞につながったのです。
内海さんの挑戦を支えたチーム作りとは
内海さんを支えたリーダー・豊倉さん。そのリーダーシップの特徴は、「チームを引っ張る」のではなく「一緒に走る」スタイルでした。
豊倉さん「リーダには色々なタイプがいると思います。指示を出して引っ張る人、一緒に伴走する人、縁の下の力持ちタイプ。自分はチームをグイグイ引っ張るというよりも、みんなと一緒に走るスタイルが近いかもしれません」
そんな豊倉さんのリーダーシップ、チームメンバーとの関わり方は、内海さんにとっても大きな支えになっていました。
内海さん「失敗を経験した後の1on1で叱ったりするのではなく、私が気持ちを切り替えられるように促してくださったのも、部下を指導するというより、一緒に走るチームとして信頼してくれているからこそだったと思います。
また、リーダーって普通『この会社に居続けた方がいい』とか、組織のための発言をするものだと思うんです。でも、とよさんはそういうことを一切言いません。立場上の忖度をせずに、すごくフラットに私の話を聞いてくれるんです。
例えば出張の道中で今後のキャリアについて相談したとき、私の話を踏まえて『こういう選択肢もいいかもしれない』とアドバイスをくれました。決して会社に留めようとするのではなく、あくまで私にとって何が最善かを常に一緒に考えてくれるんです」
豊倉さん「タイミーは『一人ひとりの時間を豊かに』をビジョンとして掲げています。そのため、まずは自分のチームメンバーがタイミーで豊かな時間を、言い換えればのびのびと挑戦し、成長できる時間を過ごしてほしいと日々考えて行動しています」
「一緒に走る」リーダーとして、チームメンバーとフラットな関係を築く豊倉さん。豊かな時間を送れるよう、一人ひとりのメンバーに向き合っているからこそ安心して挑戦できるチーム・環境が作られていました。
内海さん「社会人になったら人のために頑張るのではなく、自分のビジョンに沿ってモチベーションを上げていきなさいとよく言われます。だけど、やっぱり私はリーダーがとよさんだからこそ頑張れた部分が大きいです。
私が頑張って表彰されれば、とよさんもチームの皆も評価される。いつも支えてくれていることの恩返しがしたくて頑張ることができたんです。本当に心理的安全性の高いチームで、そのおかげでお客様のことを考えるのに集中できた1年でした。
とよさんに強い口調で何かを言われる場面は唯一、定時になって『帰りなさい!』と言われる時だけです笑」

そして豊倉さんのもう一つの大きな強みが、驚異的な観察力と洞察力だといいます。
内海さん「とよさんは、普通の努力では身につかないレベルの観察力を持っているんです。初めてお会いするお客様への訪問があった時、どう提案していけばいいか分からず、内心びくびくしていたときがありました。
そのことを後で相談しようと思っていたら、商談が終わった直後に『さっきちょっと自信なかったでしょ?』と声を掛けていただき、すでに見抜かれていると分かってびっくりしました。エスパーではないかと思うぐらいです笑。
私が自信なかった時は『次はこうすればいい』とポジティブなフィードバックをしてくれますし、自分が意識してやっている小さなことでも『それこういう意味でやってるでしょ』と気づいて褒めてくださるのでとても嬉しいです」
豊倉さんのこの観察力は、実は美容師時代の経験から培われたものだといいます。
豊倉さん「美容師はお客様のちょっとした仕草や表情から、寒いのか、暑いのか、頭が痛いのか、カラー剤が染みて痛いのか。そういうことを察しないといけません。例えば目線がふっとエアコンの方を向いたら、『あ、今ちょっと寒いのかな?』と気づく。そういう細かい変化を感じ取る癖がついてるのかもしれません」
相手の細かい表情やしぐさから状況や気持ちを察し、その人に合った適切な言葉を掛ける。この察知力がチームの心理的安全性を高める要因となり、メンバーの成長を加速させることにつながっていたのです。
この1年を一言で振り返る
最後に、内海さんと豊倉さんにこの1年を一言で振り返ってもらいました。
内海さん「この1年を一言で表すなら『お客様から学んで、お客様を知る』だと思います。
入社当初はどの業界を担当するのかも分からない状態からのスタートで、研修で基礎知識を得たものの、実際に担当する企業の状況や現場の課題までは分かりません。だからこそ、現場に足を運び、チームの先輩から学び、常に『教えてください!』という姿勢でお客様と向き合ってきました。
今後はさらに学びを深め、事業所単位だけでなく、企業全体の戦略も考えられるよう視座を上げていきたいと思います」
豊倉さん「『感謝』ですね。本当にちーちゃん、そしてチームの皆に助けられてきたなと思っています。チームを引っ張っていくこと、分かりやすい例でいえば朝会のファシリテーターも苦手なので、得意なメンバーに担当してもらうこともあるぐらいです。
振り返ると本当に大変なこともありましたし、ときには片道6時間半かけて訪問先へ移動することもありました。それでもチームメンバーが本気でクライアントの課題に向き合い、全力で取り組んでくれた。リーダーとして足りない部分を、チームの皆が補ってくれた1年でした。
これからもチームや彼女の挑戦を支えるため、自分がこれまで経験してきたことをどんどん引き継いでいきたいと思います」
まとめ

内海さんの新卒MVP受賞の裏側には、学生・インターン時代の学びを活かした「クライアントへの訪問」や「ナレッジの共有」という日々の堅実な積み重ねがありました。クライアントの課題に寄り添い、信頼関係を築きながら伴走する姿勢が課題解決へとつながっていく。そして豊倉さんは、クライアントだけでなく内海さんやチームの些細な変化にも気づき、支えることでその歩みを後押ししていたのです。
内海さん「挑戦してる人が応援される社会を作るため、まずは私がとよさんのようなチームリーダーに、チームメンバーの挑戦を支えられるような人になりたいと思います」
「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」をミッションに掲げるタイミー。その社内ではまさに、クライアントだけではなくチームメンバーの可能性も広げる循環が生まれていました。