【新卒スカウト#01】ダイレクトリクルーティング活用で叶える「質の高い」母集団の作り方とは?

株式会社ログシー
キャリアコンサルタント/広報PR責任者
鈴木 さくら 氏
すずき・さくら/早稲田大学卒、法政大学大学院政策科学研究科修士課程修了。JALグループにて国際線旅客サービスに従事し、社内アワードを受賞。その後ホスピタリティの専門学校に転職、非常勤講師からエアライン科学科長まで昇進し、マネジメント業務や就職支援まで幅広く携わったのち、2019年から株式会社ログシー(ROGC Inc.)に参画。これまでキャリアコンサルタント、そして講師として、高校生から管理職まで2000名以上のキャリア支援に携わる。

新卒採用の救世主? ダイレクトリクルーティング活用法徹底解剖

新卒採用における採用手法は様々に展開されています。従来のナビサイトの他、ダイレクトリクルーティングやインターンシップ、SNS採用、求人検索エンジンなど、企業・学生ともに選択肢が多様化しました。その中でも母集団形成の「質」をコントロールできる手法としてダイレクトリクルーティングが再度見直されています。今回は就活支援を通して学生のホンネを熟知するキャリアコンサルタントの鈴木さくら氏から、ダイレクトリクルーティングの魅力について2回シリーズのインタビューをお届けします。

新卒採用担当の悩みは母集団の「数」から「質」へ

学生の就活支援に携わるとともに、企業の採用支援にも関わる鈴木氏。同氏によると、近年企業の新卒採用に関わる悩みに変化が見られるという。

「以前は中小・ベンチャー企業様を中心に、『応募してくれる学生の数をどのように確保するか?』というご相談を多数いただいていました。しかしここ1~2年ではそのような母集団の数を増やしたいという課題を持っている企業様は少なくなっています。

その一方で、もうすでに母集団形成が上手く行っている企業様から『自社の採用ターゲットに合う学生だけを集めたい』という内容のお問合せが増えている状況です」

新卒採用企業の悩みが母集団形成の「数」から「質」へ変化している背景の一つに、新型コロナウイルス流行によるオンライン採用の浸透があるという。

「オンライン採用が普及することにより、学生は自宅にいながら様々な企業の説明会やインターンシップに気軽に参加できるようになりました。学生からすると企業への応募のハードルは大きく下がっているため、コロナ前と比較して母集団の数を集めるのはかなり容易になっています。

一方で、そのような軽い気持ちで応募する学生が増えたため、オンライン採用導入後は多くの企業で採用の歩留まりや内定辞退率が悪化しました。また企業によっては、『オンライン採用で学生を集められるようになったものの、自社が求める学生像と合っておらずスクリーニングのコストがかかるようになった』というところもあります」

そのような背景もあり、現在は「自社の採用ターゲットに合う学生だけを集めたい」と考える企業が増えているという。

新卒採用担当の悩みは母集団の「数」から「質」へ

上記のような悩みを持つ新卒採用企業に対して、鈴木氏は「ダイレクトリクルーティング(逆求人サイト)の導入」を勧めているという。その理由は何なのだろうか。

「ダイレクトリクルーティングのポイントは、母集団の数と質をコントロールできるところにあります。

大手ナビサイトの利用していたり自社HPを整備したりしている企業様も多いですが、そのような採用ツールはいわゆる待ちの採用、つまり学生からのエントリーを待つツールになるため、冒頭お伝えしたように『量は集まったが、質が合わない』という結果に陥りがちです」

一方で企業側が自ら学生データベースにアクセスし、ターゲットになり得る学生を直接スカウトするダイレクトリクルーティングサービスや逆求人サイトでは、適切に使うことで量も質もコントロールすることが可能になるという。

「逆求人サイトには、学生がプロフィールや自己PR、適性検査の内容などを登録していきます。登録されている内容はエントリーシートに類似しています。企業は、学生が登録した志望業界・大学名・学部・学生の志向などで検索することができ、各社の求める人物像に合わせた母集団を集めることができるのです」

ダイレクトリクルーティングの活用シーン

母集団の数を確保する活用シーン

  • ナビサイトにエントリーはあるものの、選考に進む学生が少なく、量を重視した母集団形成が必要になった
  • 内定辞退が想定以上に多く、追加募集が必要になった

質の高い母集団を形成する活用シーン

  • 特定の学部・学科、研究内容、ベンチマーク大学にピンポイントでアプローチしたい
  • 特定の経験や強みを持った学生を集めたい
  • 地方や特定の地域での採用を強化したい
  • 特定の職種、幹部候補生をクローズドで募集したい
  • 若手社員の早期離職により、急遽追加採用を再開することになった など

「一般的に、ダイレクトリクルーティングは採用早期に強いと言われていますが、実は上記のような活用方法で、中後半戦にも力を発揮できるというメリットもあります。一方で、ダイレクトリクルーティングを利用していている企業は約23%、また逆求人サイトを利用しているのはそのうち55%と言われています。まだまだ利用企業がそこまで多くなく、バッティングが少ないことも魅力の一つです」

学生には「特別感」を演出するスカウトメールを

学生の数と質の両方を担保できるツールであるダイレクトリクルーティングサービス。しかし鈴木氏によると、ダイレクトリクルーティングサービスを利用する際にも注意点があるらしい。

「株式会社OCEAN GATEが実施した、『スカウト求人に関する就活生の本音調査』によると、約4割の22卒就活生がテンプレート的なスカウトメールで企業イメージが悪くなったと回答しています。多くの学生がスカウトメールをもらい慣れてきている中で、『数うちゃ当たる』という考えが透けて見えるスカウトメールは実は逆効果だということです」

一方で、鈴木氏が就活支援をしている学生から話を聞くと、スカウトメールを送った企業に対して好印象を抱く例もあるという。どのようなスカウトメールが学生の心に響くのだろうか。

「学生が興味を喚起されるポイントは自分を評価してくれた、という特別感です。『自分のガクチカに興味を持ってくれたんだ』という自分自身への評価を嬉しく思うところから始まり、そこから『自分のこの強みがもしかしたらこの会社で活かせそうなのかな』『社風が合いそうかな』とぼんやりとイメージできるようになり、『じゃあ、エントリーしてみようかな』と気持ちが動いていきます。就活支援をする中で、実際にそのような学生を何人も見てきました」

また特別感を演出する方法として「特別選考ルート」を用意すると、学生の行動を喚起しやすいという。

「今の学生は以前と比較して少子化も相まって、全体的に『特別扱い慣れ』『与えられ慣れ』しているように見えます。その学生の実態が、まさにダイレクトリクルーティング(逆求人サイト)にぴったり。そう考えると、まだまだナビサイトよりも利用企業は少ない現状ではありますが、新卒採用で利用しない手はもはやないのではないでしょうか」

次回は、学生の実態と実際のスカウトメールの失敗例と成功例をもとに、効果の出やすいスカウトメールの書き方をお伝えする。

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