
ディップ株式会社の2026年2月期第1四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!
2026年2月期第1四半期(当記事)
ディップの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をグラフィックで一目でわかるようまとめました。

全社の業績としては、引き続き人材サービスおよびDX事業が堅調に伸び、売上高は前期比3.3%成長しました。スポットバイトル等への先行投資により各段階利益は減少しましたが、スポットバイトルへの投資10.5億円を除けば、利益成長率は+10%とのことです。
ディップの今期決算について、セグメント別の業績や業績予想について詳しくまとめました。

人材サービス事業
人材サービス事業は、主に下記サービスを運営しているセグメントです。
人材サービス事業
・スポットバイトサービス「スポットバイトル」
(※決算資料において「メディア(求人広告)サービス」および「人材紹介サービス」のサービス一覧に含まれていないため、人材サービス事業として記載します)
メディア(求人広告)サービス
・アルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」
・正社員・契約社員求人情報サイト「バイトルNEXT」
・専門職総合求人サイト「バイトルPRO」
・総合求人情報サイト「はたらこねっと」
人材紹介サービス
・医療専門職向けサービス「ナースではたらこ」
・介護職向け「介護ではたらこ」
軽作業・物流、交通警備やホテル清掃等のサービス領域を中心にマーケットが回復傾向にあり、メディアサービスは堅調に推移(決算説明資料,p.14)。売上高は132億円(YoY+3.9%)と市場成長率を超える成長を見せました。今期は人材紹介サービス単体の記述は見られず、売上高は7.3億円(YoY▲5.6%)となりました(決算説明資料,p.48)。
人材サービス事業全体の売上高は139億円(YoY+3.9%)、スポットバイトルへの先行投資によりセグメント利益は49.9億円(YoY▲7.0%)となりました。
DX事業
DX事業は、中堅・中小企業に特化したSaaS型のDX商品「コボット」シリーズを提供しているセグメントです。
採用/人事領域のサービスでは、生成AIを活用した履歴書作成機能「やさしい履歴書」をリリース。バイトルトークの利用企業数・ユーザー数の拡大も加速しました(決算説明資料,p.33)。販促支援領域では、地図検索における表示順位向上により顧客企業の販促活動を支援する「集客コボットfor MEO」の売上が引き続き伸長しました。
結果、売上高は17.9億円(YoY+4.9%)と成長。スポットバイトルへの異動により人件費が減少し、セグメント利益は10.7億円(YoY+41.3%)となりました。
2025年2月期通期決算で発表した業績予想から変更はなく、売上高は600億円(YoY+6.4%)、営業利益は120億円(YoY▲10.5%)、純利益は80億円(YoY▲10.6%)での着地を見込んでいます。

ディップが注力しているスポットバイトルは、2025年2月期4Qから当期にかけて掲載案件数は1.6倍、就業者数は2.3倍に。バイトルの契約企業はスポバを無料で利用できる等、セット販売を推進していることが影響しているようです。

アルバイトと店長のコミュニケーションアプリ「バイトルトーク」も拡大を続け、2025年6月時点で契約社数は約800社、ユーザー数は約13,000人となっています。9月からは「スポットバイトル求人掲載機能」も搭載される予定です。

ディップはAI時代における事業戦略として、退職/欠員発生後のフォローまで一気通貫で行うとしています。求職者は退職後「dip AI」との対話を通じて新たな仕事選びへ。スポットバイトル求人掲載機能が実装されれば、採用事業所は欠員発生時にバイトルだけでなくスポットバイトルにも求人を掲載することが可能になります。

また、同社は2025年2月期第3四半期決算において、プロフェッショナル集団としてソリューション能力を高めるため、これまで地域・企業規模別だった営業体制を業種別へと変更すると発表しました。
2025年6月1日にソリューション体制への変更が行われてからは、営業社員の成長実感が向上し、顧客企業からは提供価値拡大への期待感が高まっているとのことです(決算説明資料,p.8)。
今後は中長期的に10%以上の営業人員増を目指し、2025年2月期時点で1,742人の営業担当を、2027年2月期には2,000人以上に拡大していきます(決算説明資料,p.10)。
2025年2月期の通期決算において、ディップはスポットバイトルや代理店、地方創生領域を担う「第3ソリューション営業本部」の指揮を代表取締役社長である冨田英揮氏が執ると発表しました。スポットバイトルの掲載案件数および就業者数が拡大していることから、ソリューション営業体制への移行が着実に成果を上げていることが分かります。
また、同社はYouTubeチャンネルで冨田代表自らがスポットバイトルでアルバイト体験をする動画を投稿(出典)。代表が率先してスポットバイトル拡販の指揮を執り、その価値発信にも尽力していることから、改めて同社のスポットバイトルへの注力度が伺える決算発表となりました。
新たなソリューション営業体制が本格的に始まり、さらなる成長を続けるディップ。HRog編集部では今後もその動向を追っていきます!
2026年2月期第1四半期(当記事)
