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【HRog決算解説】株式会社タイミーの2025年10月期第3四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは?

株式会社タイミーの2025年10月期第3四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

タイミーの決算解説一覧はコチラ

一目でわかる! 決算情報のグラフィックまとめ

タイミーの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をグラフィックで一目でわかるようまとめました。

もう少し詳しく! タイミーの今期業績は?

タイミーはスキマバイトサービス「タイミー」の単一セグメントで事業を展開しており、セグメント別の業績開示は行っていません。

出典元:決算説明資料(p.12)

飲食業界ではマイナス成長となったものの、深刻な人手不足を背景に物流業界を中心にアクティブアカウント数が引き続き堅調に増加し、第3四半期単体での流通総額は前年同期比+27.9%の283億円に拡大しました。

業界別に流通総額を見ると、物流では124億円(YoY+34.1%)、飲食では46.8億円(YoY▲1.0%)、小売では74.9億円(YoY+29.8%)となりました。

アクティブアカウント数:月に少なくとも1つの求人を掲載したクライアント事業所数
流通総額:クライアントからワーカーに支払われる給与+交通費

また、登録ワーカー数は1,198万人を突破、登録クライアント事業所数は39.2万拠点を超えました(決算短信,p.2)。

今期の業績予想について

2025年10月期の通期業績予想については、2025年9月11日に修正が発表されました。売上高は341億円〜343億円(前期比+27.0%〜+27.6%)、営業利益は67億円〜71億円(+59.5%〜+68.0%)、当期純利益は48億円〜51億円(+72.8%〜+83.8%)の見通しです。

業績予想修正の主な要因(出典

・売上高の下方修正:物流業界における一部プロジェクトの収益貢献が本格化するのが来期以降となる見込みであることに加え、飲食・小売業界を中心にコスト抑制の動きが継続しており回復の見通しが立っていないため

・利益の上方修正:規律あるコストマネジメントを継続したことにより、広告宣伝費を中心とした費用が当初予想を下回る見込みのため

IR担当者に聞いた! 今期決算資料の注目トピックは?

今回は、タイミーのIR担当者に今期決算資料の注目トピックについて話を伺いました。

出典元:決算説明資料(p.6)
タイミーIR担当者
タイミーIR担当者

FY25/10通期業績予想レンジの修正を実施。
売上高は飲食・小売業界を中心としたコスト抑制が継続しており4Qでの回復見通しが立っていないことから下方修正、一方で、営業利益以下については3Qまでの進捗や4Qも引き続き規律を持ったコストマネジメントを行うことから上方修正しております。

出典元:決算説明資料(p.26)
タイミーIR担当者
タイミーIR担当者

介護業界を注力領域と位置付け、営業・マーケ・プロダクトそれぞれでバーティカル戦略を展開。強みである業務分解(無資格者への業務の切り出し)を活かして、無資格者と有資格者双方をマッチングし、急拡大を目指します。

出典元:決算説明資料(p.29)
タイミーIR担当者
タイミーIR担当者

ワーカーの受入負担を軽減させるために、フィールドマネージャーをクライアントの現場に配置。本PJの導入拠点全体の募集人数はFY25/10 3QでYoY1.8倍に。導入合意拠点数も3か月で25拠点増加。プロダクト開発やM&Aも活用し本PJの更なる推進を目指します。

HRog編集部の今期決算注目ポイント

出典元:決算説明資料(p.30)

タイミーが主に物流・食品製造業界で推進している受入負荷軽減PJにより、受入負担を気にせず初回ワーカーの採用が可能となったため、「初回ワーカー限定公開機能」が追加されました。

また、物流倉庫領域におけるBPO型運営に強みを持つスキマワークス社の全株式を取得。同社には受入負荷経験PJで長期派遣されるフィールドマネージャーにマッチする人材が約30名在籍しており、M&Aにより今後さらに導入拠点数が拡大していくことが予想されます。

受入負荷軽減PJの詳細はコチラ

出典元:決算説明資料(p.31)

また、同社は正社員の人材紹介サービス「タイミーキャリアプラス」において、タイミーを通じた勤務実績データをもとに履歴書を自動生成する機能を追加しました。キャリアアドバイザーを介さないダイレクトリクルーティングの検証も開始しており、タイミーで蓄積されたデータを元に、求職者支援も強化しています。

出典元:決算説明資料(p.21)

2025年7月4日、厚生労働省はホームページにてスポットワークにおける留意事項をまとめたリーフレットを公表。タイミーもその方針に則り、2025年9月1日から労働契約の成立タイミングを業務当日ではなく求人への応募を完了した時点としました。

一方的なキャンセルにより休業手当を支払われないまま働けなくなるケースがなくなるものの、この変更で事業者側の利用控えも懸念点として指摘されています。

厚労省のリーフレットについてまとめた記事はコチラ

スポットワークの契約構造や今後必要となる対応についてまとめたポストはコチラ

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

タイミーの2025年10月期第3四半期決算は、売上高248億円(+30.5%)、営業利益50億円(+82.5%)と大幅な増益を達成し、スポットワーク市場の拡大を裏付ける結果となりました。

また、受入負荷軽減PJが加速しているのも注目ポイントです。タイミーが実施した主要物流クライアントへのヒアリングによれば、同PJが導入され1拠点あたりのタイミー浸透率が上昇することで、大手1社当たり月間2桁億円のポテンシャルがあるといいます(決算説明資料,p.28)。プロダクト開発とスキマワークス社の子会社化により、BPO型サービスへの展開も視野に入れた事業拡大が期待されます。

飲食業界ではマイナス成長となったものの、注力領域と位置付けている介護業界において流通総額はYoY+147.0%と大きく成長。業界ごとの動向を的確に捉えながら、成長し続けるタイミー。HRog編集部では今後もその動向を追っていきます!

タイミーの決算解説一覧はコチラ

【参考URL】
タイミー25年10月期第3四半期 決算短信
タイミー25年10月期第3四半期 決算説明資料