
ディップ株式会社の2026年2月期第2四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!
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ディップの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をグラフィックで一目でわかるようまとめました。

全社の業績としては、人材サービス事業とDX事業が堅調に推移し、売上高は288.5億円(前年同期比1.5%増)となりました。一方、スポットバイトルの先行投資や、営業力強化を図るためのソリューション体制への変更に伴う本社オフィス拡張および採用などの投資を行った結果、営業利益は54.4億円(同27.6%減)、経常利益は53.9億円(同27.3%減)、純利益は37.1億円(同26.4%減)となりました。
ディップの今期決算について、セグメント別の業績や業績予想について詳しくまとめました。

人材サービス事業
人材サービス事業は、主に下記サービスを運営しているセグメントです。
人材サービス事業
・スポットバイトサービス「スポットバイトル」
・アルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」
・正社員・契約社員求人情報サイト「バイトルNEXT」
・専門職総合求人サイト「バイトルPRO」
・総合求人情報サイト「はたらこねっと」
人材紹介サービス
・医療専門職向けサービス「ナースではたらこ」
・介護職向け「介護ではたらこ」
営業面でソリューション体制への移行に伴う引き継ぎ業務の増加により、新規顧客や過去に取引のあった顧客の契約獲得が鈍化し、契約社数が前年同期比7.6%減となったことが課題として挙げられました。現在は引き継ぎ業務が完了し、行動量も回復しているため、第4四半期に契約社数が回復する見通しです。また、第2四半期は飲食・小売り領域で中小企業の採用抑制が要因となり、一時的にマーケット状況が悪化しました。しかし、日本の構造的な人手不足が今後も加速するため、中期的にマーケットは緩やかに回復する見通しです(質疑応答集,p.1)。
結果として、当中間連結会計期間の売上高は254.4億円(前年同期比1.4%増)と堅調に推移しましたが、第2四半期単体で見ると、ソリューション体制への移行に伴う引継ぎ業務の影響で売上高は114.45億円(同0.6%減)となりました。スポットバイトルへの先行投資等により、当中間連結会計期間のセグメント利益は84.8億円(同18.3%減)となりました。
DX事業
DX事業は、中堅・中小企業に特化したSaaS型のDX商品「コボット」シリーズを提供しているセグメントです。
当中間連結会計期間は、応募者との面談スケジュールの自動調整等を行う「面接コボット」や派遣会社の営業先リスト自動作成等の営業支援を行う「HRコボット」のほか、職場紹介動画をはじめとするバイトルの独自機能を活かして企業の採用ページを作成する「採用ページコボット」や、地図検索における表示順位向上により顧客企業の販促活動を支援する「集客コボット for MEO」の売上が伸長しました。
その結果、売上高は34.1億円(前年同期比2.1%増)、セグメント利益は19.7億円(同26.7%増)となりました。
2025年2月期通期決算で発表した業績予想から変更はなく、売上高は600億円(YoY+6.4%)、営業利益は120億円(YoY▲10.5%)、純利益は80億円(YoY▲10.6%)での着地を見込んでいます。

ディップは、スポットワーク業界の健全化を推進する「オセロプロジェクト」を開始しました。背景として、大手仲介事業者の多くは労働契約成立時点を「QRコード読み取り時」と定義していたため、読み取り前に事業主都合でキャンセルが発生しても補償がなく、働く機会を失ったユーザーに賃金相当額が支払われないケースが存在していることが挙げられます(決算説明資料,p.3)。
ディップはこれを受け、2025年4月に規約を改定し、スポットバイトルでの事業主都合キャンセルを100%補償する方針を決定。また、規約改定前に同様の理由で働けなかったユーザーにも、当社負担で賃金相当額を支給しています(決算説明資料,p.3)。
こうした取り組みを通じ、スポットバイトルへの切り替えを進める事業主も出てくる等、ユーザー側の対応も変わりつつあります。

人的資本の拡充も進みました。中途採用において、年間100名の目標に対し134名の入社が確定。営業体制変更に伴う退職率も低下し、営業人員数が前年並みに回復しています。
また、2026年4月入社予定の新卒454名が内定式に参加しました。同社は、2027年度には過去最大の1,000名超の新卒採用を目指しています(決算説明資料,p.10)。
ディップは、営業体制の刷新とスポットワーク領域への投資を軸に、事業基盤の強化を進めています。ソリューション営業体制への移行に伴う一時的な契約社数の減少はありましたが、営業人員の回復や行動量の改善により、今後の持ち直しが期待されます。
さらに、スポットワーク市場の健全化を図る「オセロプロジェクト」により、未払賃金問題への具体的な対応を業界に先駆けて進めました。規約改定や補償制度の導入は事業主側の行動変容も促し、スポットバイトルの掲載案件数や就業者数の拡大につながっています。
人材不足が続く中、営業体制の再構築と業界課題の解決を同時に進めるディップ。HRog編集部では、こうした取り組みがどのように成長につながるか、引き続き注目していきます!
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【参考URL】
2026年2月期第2四半期 決算短信
2026年2月期第2四半期 決算説明資料
2026年2月期第2四半期 質疑応答
