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【HRog決算解説】株式会社キャリアデザインセンターの2025年9月期決算から見える人材業界の最新トレンドは?

株式会社キャリアデザインセンターの2025年9月期決算が2025年11月12日に発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

一目でわかる! キャリアデザインセンター決算情報のグラフィックまとめ

キャリアデザインセンターの2025年9月期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をグラフィックで一目でわかるようまとめました。

通期決算としては、売上高186億円(前年同期比5.1%増)、経常利益16億円(前年同期比11.6%増)と過去最高の業績を達成しました。売上高・利益ともに業績予想を下回ったものの、全社として過去最高を更新する結果となりました。

もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?

キャリアデザインセンターの今期決算について、決算短信と決算説明資料をもとにセグメント別の業績や業績予想について詳しくまとめました。

メディア情報事業

Web求人広告「type」「女の転職type」などを展開する事業です。今期は、同業他社の低価格販売が想定より長引き、 売上高・利益ともに計画を下回って着地しました。

依然として「エンジニア」領域の売上高が伸び悩んでおり、エンジニア領域の売上高は16.8億円(前年同期比9.5%減)となりました。新規開拓を強化するための商談数を増加し、引き続き販売価格の上昇や女性エンジニアの取り込み、関西エリアの拡販などを進めています。

売上高は59.1億円(前年同期比1.8%減)、経常利益は7.2億円(前年同期比1.7%減)となりました。

人材紹介事業(一般・ミドル領域)

一般領域では、外部環境の不透明感から求人企業において採用に対する慎重な姿勢が見られ、最終面接の通過率が想定を下回ったことにより、成約件数の伸びが鈍化しました。コストコントロールにより、収益率は改善傾向にあります。

ミドル領域では、新規の案件開拓を進めるとともに、高度な技能や経験を持つ登録者の獲得に注力したことで、成約件数は堅調に推移しました。一方で単価の高い成約件数が減少したため、利益は計画を下回っています。

売上高は31.4億円(前年同期比3.9%減)、経常利益は3.7億円(前年同期比32.3%増)となりました。

新卒メディア事業

新卒者を対象とする就職イベント・情報誌などを展開する事業です。今期は、一部の求人企業における採用人数の縮小や企業の集客状況が好調に推移していることから個別セミナーのニーズが縮小しました。

売上高は7.9億円(前年同期比4.5%減)、経常利益は2.8億円(前年同期比12.1%減)となりました。

新卒紹介事業

新卒者向けの登録型人材紹介サービスです。売上高は前期から増加したものの、26卒学生の登録が鈍化したことと、想定を上回る内定辞退が発生したことにより計画を下回り、経常損失を計上しました。

売上高は2.0億円(前年同期比6.1%増)、経常利益はマイナス0.4億円(前年実績マイナス0.6億円)となりました。

IT派遣事業(有期・無期雇用)

有期雇用派遣では、ITエンジニアの登録者の獲得を強化するとともに、新規顧客の案件開拓を推進。また、派遣スタッフに対するフォロー体制を強化したことで、稼働人数が順調に増加し、売上高・利益ともに計画を上回って着地しました。

無期雇用派遣では採用決定したエンジニアが順調に稼働しており、またエンジニアの中途採用の人数が計画を上回ったことで、売上高は計画を上回り、損失も計画より改善して着地しました。

売上高は86.1億円(前年同期比15.8%増)、経常利益は2.8億円(前年同期比64.1%増)となりました。

来期の業績予想について

2026年9月期の業績予想は、売上高200億円(前年同期比7.3%増)、経常利益19億円(前年同期比18.4%増)を見込んでいます。

今期決算資料の注目トピックは?

出典元:決算説明資料(p.8)

2026年9月期は、2021年11月に公表した中期経営計画「Beyond200」(売上高200億円、経常利益24億円)の最終年度となります。現在の進捗状況を見ると、売上高は達成見込みですが、利益は未達となる想定です。

売上高については、人材紹介・新卒紹介の伸びの鈍化を他事業でカバーし、また立ち上げ中のIT派遣(無期雇用)が加算されることで達成する予定です。一方、利益については、人材紹介・新卒紹介の未達と、IT派遣(無期雇用)への先行投資により当初想定より減少する見込みとなっています。

IT派遣事業が安定成長の新たな柱となれるかがポイントとなりそうです。

出典元:決算説明資料(p.10)

なお、同社は2025年11月12日、新たに「普通配当のみで配当性向50%以上」を目安とする配当方針を策定しました。

業績が過去最高を更新し、財務基盤も健全である状況を踏まえ、今後はさらなる成長を実現する段階に入っていくとして、株主への利益還元の姿勢をより明確にしています。

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

キャリアデザインセンターの2025年9月期決算では、売上高186億円(前年同期比5.1%増)、経常利益16億円(前年同期比11.6%増)と過去最高の業績を達成しました。特に、IT派遣事業が86.1億円(前年同期比15.8%増)と大幅な成長を記録し、全体業績を牽引しています。

人材紹介や新卒紹介などの一部領域では外部環境の変化による影響もありますが、一方で無期雇用派遣など新たな芽も芽吹いてきています。中期経営計画の最終局面、どこまで巻き返せるかに注目です。

HRog編集部では、引き続きキャリアデザインセンターの決算情報を四半期ごとに追っていきます!

キャリアデザインセンターの決算解説一覧はコチラ

【参考URL】
キャリアデザインセンター2025年9月期 決算短信
キャリアデザインセンター2025年9月期 決算説明資料