
株式会社ココナラの2026年8月期通期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!
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ココナラの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をまとめました。

2026年8月期通期決算は、売上高103.1億円(前期比+9.6%)、営業利益4.9億円(同+92.4%)、純利益3.8億円(同+24.0%)という結果でした。期初予想の売上高110億円に対しては▲6.2%の未達となりましたが、EBITDA・営業利益・純利益はいずれも上回りました。売上高が100億円の大台を突破したのは初めてのことであり、売上総利益・EBITDAについても過去最高を更新しています。
ココナラの今期決算について、主に決算短信の情報をもとに、セグメント別の業績について詳しくまとめました。
マーケットプレイスセグメントは、個人の知識・スキル・経験を売買するEC型サービス「ココナラスキルマーケット」や、弁護士検索メディア「ココナラ法律相談」などを運営する祖業の事業です。
今期は「ココナラスキルマーケット」にてサービスカテゴリのリニューアルを実施。また、「ココナラ for ChatGPT」や「発注AIアシスタント」といった、依頼の整理やマッチング、出品者の提案や納品までをAIが支える仕組みを構築しました。
その結果、マーケットプレイスの売上高は56.7億円(前期比+1.0%)と過去最高を更新しました。一方、セグメント利益は3.9億円(前期比▲29.4%)となっています。低単価・制作系の取引が縮小する中で購入ユニークユーザー数が前年同期比▲12%と減少したことが主な要因ですが、テイクレート(売上高÷流通総額)は上昇傾向にあり、高単価・高収益な取引構造への転換は着実に進展しています。
なお、法律相談事業については、有料登録弁護士数が前年同期比+4%、ARPU(有料登録弁護士1人あたりの売上額)が同+7%といずれも過去最高を更新し、売上高・セグメント利益ともに過去最高を達成しました。
エージェントセグメントは、ITフリーランスと企業の業務委託案件をつなぐ「ココナラテック」、アシスタント人材を提供する「ココナラアシスト」、クリエイター紹介の「ココナラプロ」などを含む事業です。
今期は、ココナラテックが営業体制の刷新を行い、両面型営業から企業担当・人材担当の専任分業型へと変化しました。効率的な営業体制に進化したことにより、商談数が過去最高水準に到達するなど高い成長を実現しています。またSES事業を手掛けるフレームキャリア社がグループインし、各事業でAIを用いた業務プロセス改善を行っています。
エージェントの売上高は46.5億円(前期比+22.4%)、売上総利益は11.2億円(同+59.4%)と、ともに過去最高を更新しました。セグメント損失は前期の▲3.6億円から▲1.4億円へと大幅に縮小し、収益性が著しく改善しています。
クライアント数が696社(前年同期比+57%)、稼働者数が1,167人(同+49%)と主要KPIも大きく増加しており、エージェント事業の成長を支える供給基盤が一段と拡大した期となりました。
ココナラは2027年8月期の通期連結業績予想として、売上高130億円(前期比+26.0%)、EBITDA10.0億円(同+21.2%)、営業利益6.0億円(同+22.0%)、経常利益6.0億円(同+19.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益4.8億円(同+26.3%)を見込んでいます。
来期の成長要因として同社が挙げるポイントは以下のとおりです。
- 新設した「AIカンパニー」の立ち上げによる新規収益の創出
- エージェントカンパニーの継続的な拡大
- Acrosstudio社のグループインおよびElith社との合弁会社設立によるAI領域での事業加速
- マーケットプレイスにおける対面・物品カテゴリの拡充とAI活用による体験改善
今回は、ワンキャリアのIR担当者にも今期決算資料の注目トピックについて話を聞きました。

垂直立ち上げに向け、Acrosstudio社のグループインと、Elith社との合弁会社設立を実施しました。
「AIを導入したいが、自社だけでは進められない」企業は着実に増えています。Acrosstudio社のグループインとElith社との合弁会社設立で、AIの構想・開発から安全な運用までをグループで一手に提供できる体制を構築しました。62万超の法人顧客基盤を入口に、企業のAI活用を最後まで支援してまいります。

3つのアセットを活用して、3つのカンパニー成長を加速させる、経済圏の作り方についても発表しています。
当社には、14年の運営で積み上げてきた150万人超の人材データベース、62万超の法人顧客基盤、AI・プロダクト開発力という独自のアセットがあります。これらを活かして3つのカンパニーの成長を加速させ、各カンパニーの事業が広がるほどアセットはさらに厚くなります。この循環で、ココナラ経済圏を拡大してまいります。

またマーケットプレイス方針として、対面・物品カテゴリの大幅拡充を行いました。
ココナラスキルマーケットにおいて、出張撮影やハンドメイドのオーダー制作、修理など、対面や物品を伴うカテゴリは大きく伸びています。まずは、需要が集まる都市部を中心にこれらのカテゴリを大幅に広げ、買い手となる方には頼みやすさを、出品者となる方には住む地域で仕事を得られる機会を届けてまいります。
今回の発表内容で特に注目すべきは、「AIカンパニー」の新設とそれを支える2社との提携です。

ココナラは2026年9月1日付でカンパニー制を導入し、マーケットプレイス・エージェントに加えて「AIカンパニー」を新設しました。このAIカンパニーは、AIコンサルティング、AI開発・導入支援、AI SaaS(特定の職種や業務に合わせたAIエージェントのサービス提供)、AI BPO(AIによる業務自動化と成果報酬型の請負)という4つの事業ラインで構成されています。
AIカンパニーの垂直立ち上げを実現するため、同社は2つの重要な提携を発表しました。

1つ目は、AIコンサルティング・AI開発を担うAcrosstudio株式会社のグループインです。Acrosstudio社は、KPMGコンサルティングやアクセンチュア出身者が在籍する「AI実装型コンサルティングファーム」で、2026年6月期の売上高は11.3億円、2024年6月期からの年平均成長率は164%と急成長中の企業です。

2つ目は、AIセキュリティ領域に強みを持つ株式会社Elithとの合弁会社設立です。Elith社はAIエージェントのセキュリティ国際大会で高い成績を誇る企業で、この合弁会社がセキュリティ基盤と評価・運用基盤を担うことで、AIの構想から開発・業務の完遂・安全な運用まで一気通貫で提供できる体制を構築しています(決算説明資料、p.8)。
これらの取り組みの背景にあるのは、「AIが浸透するほど成長する会社へ」という経営方針の転換です。AI関連サービスの出品数は前年比284%と急増しており、デジタル化に取り組む企業の生成AI利用率も86.4%に達する一方で、日本ではまだAIを活用しきれていない企業も多くあります。ココナラはこうした新たな需要を「AI」と「人」で受け止めるとしています。
今期のココナラは、売上高100億円超という節目を達成し、エージェント事業の収益性改善という点でも大きな前進を見せました。マーケットプレイスの成長率が鈍化する中、継続型の人材サービスであるエージェント事業がその穴を埋め、全体業績を支える構図となりつつあります。
今期最も注目すべき点は、ココナラが「スキルマーケット」という単発取引のプラットフォームから、「AIコンサルティング・AI導入・AI BPO」という業務請負型の事業へと、事業モデルを大きく拡張しようとしていることです。150万人超の人材データベース、62万社超の法人顧客データベース、AI・プロダクト開発力という3つのアセットを3つのカンパニーで横断活用するという戦略から、単なる人材紹介の枠を超えた「AI×人材」の総合プラットフォームへ進化する方針が見て取れます。来期は新設のAIカンパニーの動きが最大の注目ポイントとなりそうです。
HRog編集部では、ココナラの動向に引き続き注目していきます!
【参考URL】
ココナラ2026年8月期通期 決算短信
ココナラ2026年8月期通期 決算説明資料
ココナラ2025年8月期通期 決算説明会(書き起こし)
