【HRog決算解説】ディップ株式会社の2025年2月期通期決算から見える人材業界の最新トレンドは?

ディップ株式会社の2025年2月期通期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

2025年2月期のディップ決算一覧はコチラ

2025年2月期第3四半期
2025年2月期通期(当記事)

一目でわかる! ディップ決算情報のグラフィックまとめ

ディップの2025年2月期の通期決算における売上高や純利益の増減率とその要因について、グラフィックで分かりやすくまとめました。

もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?

ディップの2025年2月期通期決算のセグメント別の業績や業績予想について、もう少し詳しくまとめました。

主要セグメント・サービスの業績について

出典元:決算説明資料(p.20)

人材サービス事業

人材サービス事業は、主に下記サービスを運営しているセグメントです。

人材サービス事業
・スポットバイトサービス「スポットバイトル」
(※決算資料において「メディア(求人広告)サービス」および「人材紹介サービス」のサービス一覧に含まれていないため、人材サービス事業として記載します)

メディア(求人広告)サービス
・アルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」
・正社員・契約社員求人情報サイト「バイトルNEXT」
・専門職総合求人サイト「バイトルPRO」
・総合求人情報サイト「はたらこねっと」

人材紹介サービス
・医療専門職向けサービス「ナースではたらこ」
・介護職向け「介護ではたらこ」

第4四半期において、メディアサービスは堅調に推移し、売上高は115億円(前年同期比0.9%増)と市場成長率を超える成長を見せました(決算説明資料,p.34)。人材紹介サービスにおいては、新卒の採用人数減の影響等により売り上げは4.3億円(前年同期比1.4%減)となりました(決算説明資料,p.39)。

通期でのセグメント全体の売上高は496億(前年同期比3.9%増)、セグメント利益は183億円(前年同期比7.0%増)となりました。

DX事業

DX事業は、中堅・中小企業に特化したSaaS型のDX商品「コボット」シリーズを提供しているセグメントです。

第4四半期において、地図検索における表示順位向上によりクライアントの販促活動を支援する「集客コボットfor MEO」の売上が伸長し、売上高は16億円(前年同期比6%増)となりました(決算説明資料,p.28)。

通期での売上高は67億円(前年同期比12.4%増)、セグメント利益は33億円(前年同期比19.5%増)と高い成長を記録しました

来期の業績予想について

出典元:決算説明資料(p.22)

2026年2月期の業績予想では、スポットバイトルへの先行投資を計画しているため、人材サービス事業において利益は前年を下回る見込みです。DX事業においても、スポットバイトルへの異動により人件費が減少する影響から、利益成長率24%の計画となっています(決算説明資料,p.32)。

売上高は600億円(前年同期比6.4%増)、営業利益は120億円(前年同期比10.5%減)、純利益は80億円(前年同期比10.6%減)を予想しています。

今期決算資料の注目トピックは?

出典元:決算説明資料(p.6)

ディップは2025年2月27日より、店舗管理者とアルバイト従業員のコミュニケーションサービス「バイトルトーク」の本格展開を開始しました。この上期にはdip AIの新機能がリリース予定であり、仕事選び・求人掲載から退職・欠員発生後のフォローまで一気通貫で支援していく体制が構築される見込みです。

出典元:決算説明資料(p.8)

また、ディップは前期(2025年2月期第3四半期)に、地域・企業規模別だった営業体制を業種別へと変更し、業種特有の課題に寄り添う専門性・ソリューション能力を高める方針を発表しました。

そして今期決算において、ソリューション営業に向けた執行体制を構築したと発表。2025年6月より、スポットバイトルや代理店、地方創生領域を担う「第3ソリューション営業本部」は、代表取締役社長である冨田英揮氏が指揮を執ります。

出典元:決算説明資料(p.41)

来期の人材サービス事業では、スポットバイトルと既存メディアやDX商品とのセット販売、スポットバイトルの代理店売上の拡大の推進が戦略として掲げられており、スポットバイトル及び代理店領域を冨田代表自身が担うことからも、スポットバイトルへの注力度が伺えます。

出典元:決算説明資料(p.24)

そして、同社は中期経営計画の最終年度である2027年2月期の計画数値をアップデートしました。2023年11月に中計を発表した時点では営業利益200~250億円での着地を見込んでいましたが、スポットバイトルやバイトルトーク、dip AIへの投資が先行することから170億円超での着地を予想しています。

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

ディップは「スポットバイトル」への重点投資や営業体制の再編を通じて、成長基盤のさらなる強化を図っています。特に冨田代表が自ら指揮を執る第3ソリューション営業本部の下で、現場ニーズに即した提案と代理店を通じた販売により、今後スポットバイトルのサービス拡大が加速していくと見られます。

またバイトルトークやdip AIといったプロダクトも進化を続けており、アルバイト領域における採用からシフト管理、欠員フォローまでを一体で支える体制が整いつつあります。社内においても、AIを活用して業務効率化を目指す全社プロジェクト「dip AI Force」が順調に進捗し、通期目標の50万時間削減を達成しました(決算説明資料,p.11)。

さらに、2025年開催の大阪・関西万博においては、パソナグループが主催するパビリオンへの協賛を表明しており、ブランディング面でも新たな挑戦を進めています。

中期経営計画に向けて、積極的な投資と体制整備を同時に進めるディップ。HRog編集部では今後もその動向を追っていきます!

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2025年2月期第3四半期
2025年2月期通期(当記事)

【参考URL】
2025年2月期通期 決算短信
2025年2月期通期 決算説明資料