「求人広告を出しているけれど応募が集まらない」
「求人条件でどうしても競合他社に見劣りしてしまう」
「でも、これ以上採用費をかけられない……」
あなたが支援するクライアントさんの中にも、そんな悩みを抱える採用担当者さんがいるのではないでしょうか。
今回は一般社団法人 求人広告ライター協会 代表理事 関根コウ氏著・『求人募集をしても応募がない・採用できない会社に欲しい人材が集まる方法』より一部を抜粋し、魅力的な求人原稿の書き方をご紹介します。クライアントの採用を成功させるために、ぜひ参考にしてみてくださいね!
書籍著者
一般社団法人 求人広告ライター協会 代表理事
関根コウ
せきねこう/1981年生まれ。20代より求人メディアの制作職に従事。全国津々浦々のご当地求人メディアなど1万件以上の求人広告を作成。2018年「一般社団法人 求人広告ライター協会」を設立し、企業の個別相談、講演、求人広告の制作アドバイザーとして活動中。これまで全国各地で2万件を越える求人広告のライティングや採用企画に携わる。
求職者が知りたい「4つの軸」
求職者はたった一つの条件で転職先を選ぶわけではなく、複数の要素を天秤にかけて応募先を決めます。つまり、勤務条件だけが良くても求職者には選ばれないし、逆に条件の悪い会社でも、その他の要素をうまく打ち出せば応募が集まる可能性は十分あるということです。
では、求人原稿にどんな要素を盛り込めばいいのでしょうか。同書では「人が働く動機づけ」として以下の4つの軸を上げています。
企業軸は「この会社はこれまで何を為してきたのか、そしてこれからどんなことをしていくのか」という未来を表します。仕事軸は「仕事への憧れ、目標」を、職場軸は「働く人のリアルな本音」をイメージさせます。そして条件軸からは、「金銭や待遇」といった確実に手に入るものが見えます。
関根氏いわく、効果の出ない求人の多くは情報が条件面に偏ってしまっているといいます。働く上で何を重視するかは人それぞれ。4つの軸を漏らさず記載して、さまざまな角度から応募の動機づけを行いましょう。
そして覚えておきたいのが、4つの軸すべてを魅力的に書けなくてもいいということです。
求職者が求めているのは「完璧な求人」ではなく、「現場のリアル」。魅力もデメリットも隠さずに書いて、求職者に選んでもらうつもりで求人を作りましょう。
4つの軸に沿って訴求要素を洗い出したら、それを五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)を使って書いていきましょう。
上記のようなシートを使い、どんな企業・職場・仕事なのかを言語化していきます。このワークは、部署や年齢、役職の違う複数人で取り組むのがおすすめです。同じ会社に勤めていても見えている景色は人それぞれ。いろいろな立場の人の五感を通して、リアルで立体的な職場像を伝えていきましょう。
五感を意識すると以下のような情景の浮かぶ文章ができ、ありきたりな求人から脱却できます。
【視角】
白い大きな暖簾をくぐってお店に入ると、入り口でカウンター越しに大将が「いらっしゃい」と笑顔で出迎えてくれます。カウンター8席、テーブル4席のこじんまりとした店内には、大将直筆の手書きメニューが壁一面に貼られています。
【聴覚】
お客様は常連さんが多く、1週間もすれば「○○ちゃん、がんばってるねぇ」と気さくに声をかけてくれるほど、アットホームなお店です。
【触覚】
少人数で来店されるお客様が多いので、一度に大量のお料理を運ぶこともありません。大将自慢の料理を1品ずつ丁寧に配膳してくださいね。
【味覚】
日本料理歴30年の大将の自慢料理は、毎日まかないで堪能できますよ。
【嗅覚】
全席禁煙ですので、タバコの臭いもなく、快適にお仕事ができます。
引用元:『求人募集をしても応募がない・採用できない会社に欲しい人材が集まる方法』/関根コウ/現代書林
人間は2つ以上の感覚を刺激されると、興味・関心が喚起され記憶に残りやすいと言われているそうです。五感の情報で、求職者により鮮明なイメージを持ってもらいましょう。
今すぐ実践!8つの「応募者倍増テクニック」
「4つの軸」と「五感」を意識するだけでも求人効果はぐんと高まります。ここでは上級者向けに、さらなる応募を呼び込むテクニックを一部抜粋で解説します。
数字は物事を具体的に印象付け、求職者の興味関心をかき立てます。
- 職場には何人のスタッフがいるのか?
- お客様は1日に何人くらい来店するのか?
- 運ぶ商品は何キログラムあるのか?
- 自信を持って1人で仕事できるまで何か月必要なのか?
社員数や売上などではない身近な数字を拾い集め、求人に記載してみましょう。
自社の紹介文を書く際には、「私たちは業界のパイオニアで……」「リーディングカンパニーとして……」など、カッコいい横文字をつい使いたくなってしまうもの。しかしこうした親しみのない言葉は、印象に残らず読み飛ばされてしまいがちです。
- 日常生活で使っている言葉
- 小中学校で習う言葉
この2点を意識して、目に留まりやすく理解しやすい文章を心掛けましょう。職場見学に来た小学生に説明するつもりで書いてみると、自然とやさしい言葉に変換できますよ。
誰だって都合の悪い情報は書きたくないものです。しかし求職者の目線に立てば、デメリットこそ赤裸々に書いた方が良いといいます。
企業が応募者の転職理由や応募動機を知りたがるように、求職者も企業がなぜ人材を募集しているのか、どんな課題を抱えているのかを知りたいと思っています。
自社の課題を率直に伝えた上で、「この課題を一緒に解決しませんか?」「あなたの力が必要なんです」とアプローチしていきましょう。その仕事内容にやりがいを感じる人や、前職で同じような課題を経験している人からの応募が集まりやすくなります。
一般的に、求人サイトに一覧表示される求人原稿を求職者が眺める時間は、1原稿あたり0.5~3秒ほどと言われているそうです。大量の求人原稿の中から興味を持ってもらうには、「最初の5行」を磨き上げ、その一瞬で「詳しく知りたい」と思わせることが必要になります。
では「最初の5行」には何を書くべきなのでしょうか?
それはずばり、自社が求職者に提案できる「魅力」です。
前述の通り、求職者は4つの軸を元に転職先を決めています。残業のない勤務体制が魅力ならば子育て中のパパさんママさんが、有給取得100%がウリならば趣味に熱心な方が応募してくれるかもしれません。
訴求したい転職者層に合わせて、最初の5行をチューニングしていきましょう。
『求人募集をしても応募がない・採用できない会社に欲しい人材が集まる方法』では、その他のコツについても具体的な事例とともに詳しく解説されています。また、原稿作成後の募集・面接・内定・入社フェーズにおけるアドバイスも盛りだくさんです。気になる方はぜひ読んでみてくださいね。
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まとめ
今回は『求人募集をしても応募がない・採用できない会社に欲しい人材が集まる方法』より、求人原稿の書き方についてご紹介しました。
条件で競合に勝てなくても採用予算が少なくても、原稿の打ち出し方次第で応募を増やせる可能があります。「4つの軸」と「五感」、そして「8つの応募者倍増テクニック」を身につけて、ぜひクライアントの採用成功に役立ててください!