パーソルキャリア株式会社は同社が運営する転職サービス「doda(デューダ)」において、コロナ禍前で転職求人倍率の平均が最も高かった2016年度と、コロナ禍の2020年度に「doda」を利用して転職した約4万人のデータを分析し、「異業種転職」「異職種転職」の実態をまとめたレポートを発表した。
調査結果は以下の通り。
2016年度から2020年度にかけての異業種からの転職受け入れ率を比較したところ、上昇率が最も高かったのは、「IT/通信」で9.9%だった。次いで「金融」が8.8%、「メディカル」が7.1%と続く。
「IT/通信」が上昇率1位となった要因について、現在全業種でIT人材の需要が高まっている中でも「IT/通信」は特に企業の採用意欲が高く、また人手不足から未経験人材の採用を増やしていることが考えられる。求職者側からもIT業界は人気であり、プログラミングスクールなどでIT関連のスキルを身につけた未経験人材が、異業種から「IT/通信」へ転職するケースが増えたことも一因として挙げられる。
2位の金融については、コロナ禍で景気が後退する中でも業績が安定している業種であり、多くの業界が採用活動を控える中でも大手生命保険会社は他業種からの転職者を積極的に受け入れたため、上昇率が高かったと考えられる。
また「IT/通信」が2020年度に受け入れた人材の業種内訳を見ると、「サービス」が25.6%で最多であった。「サービス」の中では「人材サービス・アウトソーシング・コールセンター」に次いで「旅行/宿泊/レジャー」が多く、コロナ禍によって業界の先行きが見えなくなる中、安定性と将来性を求めて「IT/通信」へ転職する人が増加していると考えられる。
2016年度から2020年度にかけての異職種からの転職受け入れ率を比較したところ、上昇率が最も高かったのは、「専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人)」で11.6%だった。次いで「技術系(IT/通信)」が6.7%、「技術系(建築/土木)」が4.2%と続く。
「専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人)」が上昇率1位となった要因として、専門職は特定業界や領域においての経験や知見をもつ異職種からの転職者を積極的に採用している職種であることが挙げられる。また、他職種に比べて激務かつ残業が多い傾向があり、経験者が他職種に転職しやすく経験者採用が難しいことも理由と見られる。
2位の「技術系(IT/通信)」については、異業種転職と同様でIT人材の需要の高さや求職者からの人気が上昇率の高さに繋がったと考えられる。
詳細結果はコチラ
IT人材の不足やエンジニア人気を背景に、業種においても職種においても「IT/通信」が他職種の転職者に広く門戸を開いているようだ。今後の転職市場の動向にも引き続き注目したい。
2016年度(2016年4月~2017年3月)、2020年度(2020年4月~2021年3月)に、転職サービス「doda(デューダ)を利用して転職した約40,000人のデータを分析し、「異業種転職」「異職種転職」それぞれの実態をレポート