2024年度の最低賃金の改定は全国平均で50円の引き上げが決定し、引き上げ幅は過去最大となった。こうした動きは日本経済にとって好材料ではあるが、中小企業にとってはいかに人件費を確保するかが大きな課題となっている。
この流れを受け、株式会社ネットオンは中小企業の採用担当者を対象に最低賃金引上げの実態調査を行った。
調査結果は以下の通り。
最低賃金の改定による賃上げ予定について尋ねたところ、「最低賃金を下回っていないため引き上げる予定はない」事業所が46.8%で最多となった。「最低賃金を下回るため、賃金を引き上げる予定」、「最低賃金を下回ってないが、賃金を引き上げる予定」の回答を合わせると、53.2%の事業所が最低賃金を引き上げる予定だと回答した。
引き上げ理由としては、「最低賃金の引き上げに対応するため」が71.7%で最多となった。次いで「人材採用を有利に進めるため」が29.3%、「従業員の引き留めのため」が26.1%と続く。
最低賃金の引上げについて、「非常に負担に感じている」、「多少負担に感じている」の回答を合わせると89.1%の企業が負担に感じていると明らかになった。
人件費上昇分を販売価格に転嫁するか尋ねたところ、「価格転嫁を行わない」の回答が63.0%で最多となった。価格転嫁に関する自由回答では、
- フランチャイズ経営で価格を変更できないため、賃金引き上げはかなり負担になる(教育、大阪府)
- 最低賃金を上げるのは構わないが、価格転嫁が不可能な業種については賃金を引き上げるための予算を作ってほしい(介護・福祉、千葉県)
といった声が寄せられていた。
詳細結果はコチラ
最低賃金改定の影響で、多くの中小企業が厳しい状況にあると分かりました。今後はいかに業務を効率化させて人件費上昇分のコストを補えるかが重要になっていきそうです。
調査期間 :2024年8月20日~2024年9月3日
調査方法 :インターネット調査
調査対象 :「採用係長」利用事業所の人事・労務担当者
有効回答数:173
【参考URL】最低賃金、53.2%が「引き上げる」と回答。販売価格に「すべて転嫁できた」事業所は、わずか4.7%|中小企業における最低賃金引き上げに関する実態調査