株式会社帝国データバンクは全国2万3560社を対象に、人手不足に対する企業の見解について正社員・非正社員別に調査を実施しました。雇用形態別・業種別・規模別にそれぞれの違いを分析しています。 |
正社員が不足している企業は高水準ながらも若干減少
正社員が不足している企業は48.5%で1年前から2.4ポイント減少。業種別では「情報サービス」(74.0%)が最も高く「旅館・ホテル」(70.8%)も7割を上回り「メンテナンス・警備・検査」「建設」「運輸・倉庫」「飲食店」など7業種が6割台となりました。規模別では「大企業」(59.3%)は7月として過去最高を更新した一方「中小企業」(45.9%)は減少が目立ちました。
非正社が人員不足している企業は大、中、小全ての企業規模で1年前を下回る
非正社員が不足している企業は29.8%で1年前から3.2ポイント減少。規模別ではすべての規模で1年前を下回り、業種別では「飲食店」の80.0%が不足と感じており、依然として高水準が続いています。次いで「飲食料品小売」「娯楽サービス」「旅館・ホテル」「人材派遣・紹介」などが上位。非正社員においては「小売」「サービス」に属する業種が不足感の高い上位10業種すべてを占める結果となりました。
全体での不足感は減少の一方で「建設」は増加
正社員、非正社員における全体の不足感はともに1年前(2018年7月)から減少した一方で、業界別では「建設」はいずれも増加となりました。旺盛な建設需要が続いていることで人で不足感も高まっている様子が伺えます。「サービス」では正社員、「小売」では非正社員の不足感が増加するなど、異なる傾向が見られました。
人手不足における企業側の意見
人手が足りなくなるほど需要が高まる業界(一般土木建築工事、ソフト受託開発、建設関連の人材サービスなど)においては積極的な意見が多く、人手不足にともなう人件費の高騰が経営に打撃を与える業界(一般貨物自動車運送、老人福祉など)では消極的意見が伺えます。
動向調査まとめ
今回の調査分析では、景況感の悪化が人手不足感に影響を与えている可能性もあることが分かりました。今後の動向に注目したいと思います。有効求人倍率は高水準で推移しているため、企業と求職者のマッチング機能の充実を図るなど、より一層の策を講じることが求められるでしょう。
人手不足に対する企業の動向調査(2019年7月)概要
・調査日:2019年7月18日(木~2019年7月31日(水)
・調査対象:全国2万3560社
・有効回答企業数:1万91社
・回答率:42.7%
※本調査はTDB景気動向調査 2019年7月調査とともに行われています
【参考URL】http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p190804.html