2023年10月より、消費税の仕入れ税額控除の仕組みに「インボイス制度」が導入される。それに先駆け、2021年10月には「適格請求書発行事業者」の登録が開始される。
インボイス制度とは、課税事業者のみが法的効力のあるインボイス(適格請求書)を発行できる制度のこと。
消費税を納税する際、仕入税額控除を受けるにはインボイスが必要になるが、個人事業主やフリーランス、副業を含む免税事業者はインボイスが発行できない。よって免税事業者と取引をして消費税を支払った事業者は「仕入税額控除」を受けられなくなる。
そのため、課税事業者が免税事業者に仕事を頼まなくなったり、免税事業者の売り上げが減少したりする可能性がある。
インボイス制度の導入に備え、課税事業者は「適格請求書発行事業者」の登録申請や取引先の選定、免税事業者は「消費税課税事業者選択届」を提出し、あえて課税事業者になるなどの準備が必要となる。しかし、インボイス制度についての認知度はいまだに低い。
エン・ジャパン株式会社は同社が運営するフリーランスマネジメントシステム「pasture(パスチャー)」において、経理・財務・会計・管理に関する部署に所属する全国のビジネスパーソン830名を対象に、「インボイス制度に関する意識調査」を実施した。
調査結果は以下の通り。
2023年10月より「インボイス制度」が導入されることを知っているか尋ねたところ、「知っている」と回答した人は42.0%、「知らない」と回答した人は58.0%だった。
また、2021年10月より適格請求書発行事業者の登録が開始されることを知っているか尋ねたところ、「知っている」と回答した人が33.7%、「知らない」と回答した人が66.3%であった。ビジネスパーソンの半数以上がインボイス制度を認知しておらず、登録開始時期に関してはより認知度が下がることが分かった。
次に、自身が勤務している会社は「インボイス制度」に対する準備ができているか尋ねたところ、「出来ていないと思う」「どちらかというと出来ていないと思う」と回答した人は合計で36.5%であった。この数字は「出来ている」「どちらかというと出来ていると思う」と回答した人の合計、23.0%を上回った。
「自社はインボイス制度に対する準備が出来ていない」と回答した303名に対して、準備ができていない理由を尋ねたところ、「インボイス制度が理解されていない」と回答した人が55.1%で最多であった。インボイス制度への対応を進めるためには、第一に制度の理解が必要なようだ。
「自身が勤務している会社は免税事業者との取引がある」と回答した234名に対して、インボイス制度導入後、免税事業者との取引にどんな影響があると考えられるか尋ねたところ、「取引が無くなると思う」と回答した人は13.7%だった。「取引が減ると思う」「どちらかというと取引が減ると思う」と回答した人を合わせると、58.6%の人が取引が減少するとの見解を示した。
また、「自身が勤務している会社で現在、フリーランスとの取引がある」と回答した262名に対して、インボイス制度導入後のフリーランスとの取引に不安を感じるか尋ねたところ、「不安を感じている」「どちらかというと不安を感じている」と回答した人は合計で61.0%だった。
インボイス制度の導入は、フリーランスや個人事業主にとって大きな逆風となりそうだ。今後のフリーランス求人の動きなどに注目したい。
調査対象:経理・財務・会計・管理に関する部署に所属する全国のビジネスパーソン男女
有効回答数:830名
調査期間:2021年6月15日~2021年6月18日
調査方法:インターネットリサーチ