【HRog求人レポート】小売業界の賃上げ状況は?

株式会社フロッグが収集している最新の求人媒体掲載情報を活用した、小売業界の募集賃金分析レポートをお届けします。最新の賃金動向や傾向を示す参考資料として、ぜひご活用ください。

賃金動向サマリ

・全職種における、正社員募集の賃金は4年間で13.98%増加
・全職種における、アルバイト・パート募集の賃金は4年間で14.13%増加
・小売業界における、4年間の増加率は大手企業と中小企業で26.9ポイントの差
・小売業界における、アルバイト・パートの募集時給は2020年から10.39%増加

全職種での賃金動向

まずは職種・業種を指定せず、全体での2020年1月~2024年3月の募集賃金動向を分析します。

正社員の募集賃金は4年で+13.98%増加

正社員募集の賃金を見てみると、2020年1月6日の平均月給は204,054円、2024年3月18日は232,585円となり、その差は+28,531円(+13.98%)となりました。物価上昇の背景もあり、コロナ禍から募集賃金は上がり続けています。

また、前年同週比での増加率は2022年後半から2023年前半にかけて+7%前後で推移しておりましたが、それをピークに2023年後半以降は増加率が落ち着いており、現在は+3%前後で推移していることが分かりました。しかし、増加率は2021年後半以降プラスを保っており、上昇トレンドは続いています。

アルバイト・パート募集の賃金は4年で14.13%増加

続いてアルバイト・パート募集の賃金を見てみると、2020年1月6日の平均時給は1,069円、2024年3月18日は1,220円で+151円(+14.13%)となりました。前年同週比での増加率は、正社員と同じく2022年後半~2023年前半において+7%前後で推移し、現在は+3~4%程の上昇率に落ち着いています。

小売業界の募集賃金はどう変化した?

近年、春季生活闘争でイオングループが大幅な賃上げをするなど、小売業界での賃金動向が度々話題となっています。ここでは、大手企業と中小企業に分けて募集賃金を分析し、実際の動向を探ります。

大手企業と中小企業で4年間の増加率に26.9ポイントの差

まず、小売業界における大手企業での募集賃金動向を分析します。2020年1月6日の平均月給は191,222円、2024年3月18日は258,548円となりました。4年間の増加額は+67,326円(+35.21%)で、全職種の平均を大幅に上回っています。

一方で、前年同週比での増加率は2023年4月の+22.23%をピークに、現在は+2%前後まで落ち込んでいます。

続いて、小売業界が含まれる「販売/接客/サービス」職種のうち、大手企業を除いた場合での募集賃金を分析しました。2020年1月6日の平均月給は204,109円、2024年3月18日は221,055円となり、4年間での増加額は+16,946円(+8.30%)となっています。

大手企業と比較すると、増加率は26.9ポイント低い結果となりました。また、全職種での増加率と比較しても、5.7ポイント下回っています。中小企業の募集賃金では、大手企業ほどの賃上げが波及していない様子が伺えました。

一方で、前年同週比での増加率はおおよそ+5%前後で推移し続けているため、今後の賃上げ動向にも注目です。

アルバイト・パートの募集時給は2020年から10.39%増加

最後に、「販売/接客/サービス」職種において、アルバイト・パートの募集時給を調査します。2020年1月6日の平均時給は1,020円、2024年3月18日は1,126円で+106円(+10.39%)となりました。全職種での増加率と比較すると3.7ポイント低く、また2024年3月18日時点での平均時給は94円低い結果となっています。一方で、金額は全体と比較して低いものの、前年同週比での増加率は全体と同等の推移となりました。

まとめ

今回はフロッグが保有する求人データを活用し、小売業界での募集賃金動向を調査しました。

近年は物価の上昇が激しく、各業界での賃上げが話題となっています。一方で行政等が発表する数値では、中小企業の実態が反映されづらかったり、最新の状況を調査することが難しかったりします。求人ビッグデータを活用することで、より詳細に、よりリアルタイムに分析することが可能です。ぜひ今後の営業活動や採用活動にご活用ください。

調査概要

対象期間:2019年1月7日~2024年3月18日 ※ハローワークのサイトリニューアルがあった2019年12月30日・2020年1月6日の数値は、2020年1月13日の数値を利用
対象媒体:全127の求人サイト
対象雇用形態:正社員、アルバイト・パート
※平均月給・時給:求⼈情報の給与項⽬内にある給与情報を数値に変換し、下限の⾦額を合算・平均して算出
※職種分類:複数の求人媒体の情報をまたいで集計するため、媒体記載の業種・職種カテゴリーを使用せず独自のキーワードマッピング処理に基づいた業種・職種カテゴリーを使用
※小売業界大手企業:小売業に属する東証プライム市場の上場企業135社(https://j-lic.com/industry17s/14/markets/prime