【HR Tech特集】「これからの採用に必要なのは企業ブランディング」”AI×採用”で人事の役割はどう変わる?

HR Techの正体にせまる!今話題のHR Techサービス特集

ここ数年ですっかりなじみの言葉となりつつあるHR Tech。「言葉は知っているけれど、その本質は今いち、よく分かっていない…」「日々登場し続けるさまざまなサービスを把握するのは一苦労…」 この記事ではそんな人に向けて、今話題のHR Techサービスを掘り下げてご紹介します!

[Sponsored by HERP]

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株式会社HERP
代表取締役CEO
庄田 一郎氏

しょうだ・いちろう/京都大学法学部卒業、リクルートに入社。SUUMOの営業を経て、リクルートホールディングスへ出向し、エンジニア新卒採用に従事。その後、エウレカに採用広報担当として入社し、同責任者を務める。カップル向けコミュニケーションアプリ『Couples』のプロダクトオーナーを経て、2017年3月にHERPを設立。自身の採用担当としての経験と、自社事業である採用コンサルティングを通じた知見をベースに、AIリクルーティングプラットフォーム『 HERP(ハープ)』を開発中。

複数の求人媒体で募集し、各媒体の管理画面を開いて、タブを行き来しながら応募者対応を行い、コピー&ペーストを繰り返して応募者情報をまとめる。採用規模が大きければ大きいほど、採用担当者の煩雑な事務作業は増えていく。

そんなこれまでの採用業務をガラリと変えるHR Techサービス『HERP』のティザーサイトがリリースされた。求人媒体と自動的に連携することで、管理を一元化。応募者の情報が自動でHERPに登録されるだけでなく、求人サイト上の候補者とのメッセージのやりとりも1画面で行うことができ、ワンクリックで全媒体に求人票を公開できる。その結果、事務作業を50%以上削減できるという。

「元々採用担当としてリクルートとエウレカで10〜20媒体を使って採用を行っていました。そのなかで『一画面ですべて管理できるようになったらいいのに』という話を色々な方々としていて。ある時、だったら自分で作ろうという気持ちになり、今のHERPを作りたくて起業したんです」

元採用担当だった株式会社HERPの代表取締役・庄田一郎氏の経験から生まれたHERPで、採用や人事の役割はどう変わっていくのか。

目指しているのは人事担当者たちにとってのリクルーティングプラットフォーム

応募者情報を一元化するメリットは、事務作業が削減できるだけではない。もう1つの大事なポイントが、正しいデータを蓄積できるという点にある。

「ネット広告はPVやCTR(クリック率)が一瞬で出るし、2週間運用すれば親和性も判断できる。それに近いことがHR領域でもできるべきだという問題意識がありました。これまでは手入力で応募情報を集約しているので、情報の精度に煩雑な部分がありましたが、自動連携で正確なデータが得られれば、投資対効果の可視化や、個人のレジュメがどの程度マッチしているのかを解析することができます」

働き方が多様化する中で、新卒一括採用といった従来の採用のあり方に疑問が持たれ始め、労働人口減少によって外国人やシニアなどの新たな層の採用も活発化していく。このような状況で「採用業務はより一層複雑化していく」と庄田氏。

「転職する人は増えるし、一人が複数の会社で働くことだってある。だからこそ、情報はもっと有機的につながった方がいい。今は転職者の個人情報はHR系メディア提供企業内で閉じていますが、そのデータを採用レイヤーだけではなく社内での活躍データや、他者からの評価データ、労務データと会社内外で横断的に繋げていく。そうやってこれまで働いてきた中で得た信頼を可視化すれば、個人をもっと統合的に見られる土台ができます。今後はさらに他者評価データや、中立的なリファレンスデータも採用時の評価に統合されていくのが自然な流れだと考えているので、最終的には、HERPで人事担当者たちにとってのリクルーティングプラットフォームを作りたいと思っています」

「もっとオープンな世の中にしていきたい」と話す通り、今後HERPは他のHR Techサービスやコミュニケーションツール、グループウェアとの連携を進めていく予定だ。

AIで採用工程を削減するには、正しいデータの蓄積が不可欠

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2017年の人事の注目ワード第1位はAIであるように、AIが注目を集める一方で、言葉が一人歩きしているような感覚もある。改めて、採用分野においてAIはどのような影響を及ぼすのか。

「採用に至るまでのプロセスを短縮するのがAIの役割。書類選考を代替したり、面接のビデオ情報を解析してコミュニケーション能力を判断したりといったことが考えられます。人と人が働くわけですから、『機械が採用した人が明日から入社します』というのは、心理的なハードルが見込まれるので難しい。そのため最終的には対面で会話することが必要ですが、最終面接までのプロセスをAIが行うようにはなるかもしれません」

一人の判断では不安だからと複数人で複数回行なっていた選考をAIに任せ、最終的な判断を人が行う。こうした採用プロセスをカットするための肝となるのも、やはり情報の精度だ。

「今のレジュメは、PDFやワードやエクセルなど形式にばらつきがあり、しかも個人が選考に合格するために書いているもの。リファレンスチェックを実施する企業が増えているのは、履歴書と面接だけでは完全な確証を得にくいからですよね。私自身も採用担当としてこの点で苦労したことは何度もあります。しかし何度失敗と改善を採用担当が繰り返したところで根本的な解決にはならなくて、例えばタレントマネジメントシステムに集められている従業員のスキルや経験値などのデータを本人の経歴情報に反映したり、第三者による評価情報を正しく蓄積したりといったことが必要になってくる。それができるとAI が選考プロセスを代替できるようになると思います」

すでにさまざまなHR Techサービスが誕生しているが、使いこなすための第一歩は「目の前の単純作業に追われている状況を肯定せず、改善できると思うこと」と庄田氏。

「自社の採用業務の状態を正しく認識し、課題の対応優先度を判断することができれば、導入すべきプロダクトは選べます。一番良くないのは目的を明確化せずに、何らかのHRTechサービスを導入しなければならないという先入観で導入を検討すること。戦略人事・採用の考え方を持つHRパーソンが増えてほしいし、そうでなければどんなに優れたツールを入れても意味がないですよね」

これからの人事の役割は”働きたい組織をつくる”ための企業ブランディング

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事務作業が削減され、人事が考える仕事に時間を割けるようになれば、これまでと仕事の中身はガラリと変わる。AIで採用工程が短縮された未来の人事には、どのような役割が求められるのだろうか。

「終身雇用がなくなって、自由に働く場所を選べるようになるこれからは、“選ばれる要素”がないと転職の意思決定はしてもらえないし、社員もどんどん流出してしまう。だから社内外へのコーポレートブランディングがこれまで以上に重要だと考えています。採用と定着がうまくいっている企業になぜ人が集まるかというと『この会社にいる自分はイケてる』と感じられるからだと思うんです。従業員の会社に対するロイヤリティをeNPSで可視化し、こうしたデータを司り、ブランディングのための発信の起点となって、強い組織をつくる。もはや従来の採用担当の範疇なのか分かりませんが、そんな役割が人事に求められるようになるのではないでしょうか」

採用におけるコーポレートブランディングは、職種によって異なる。例えばエンジニアやデザイナーであれば、「この領域のプロダクトに貢献したい」「こういう技術スタックの会社で働きたい」などといった要素が重要視される。こういった職種ごとのアピールポイントを整理し、それぞれ切り分けて発信をすることが必要だという。

「表現の仕方が難しいですが、“プロダクトの成長感”や“優秀な人が入っている感”に人は惹かれるので、ここをどう演出するか。IRや広報が行う会社全体のコーポレートブランディングではなく、採用文脈のブランディングなので、人が流れる“流れの渦”を作る方法を考えるべきだと思います。ブランディングは蓄積するものなので早めに取り組めば、そのぶん有利。経営陣へのマインドセットの共有が必要なので、採用担当者が経営陣はもちろん全従業員を巻き込むことが大事です。データを蓄積するというのは、説得材料としても有効だと思います」

応募から採用までの工程を管理する人事のメイン業務は、”働きたい組織をつくる”ことに変わっていく。雇用情勢の変化とAIの進歩を鑑みれば、決して遠い未来の話ではない。

「本で読んでその通りだと思ったのですが、採用の理想は“その部署が欲しい人を採る”だから、本来は部署が採用の機能を持つべきなんですよ。そうなった時に人事がやらなきゃいけないことは、データの蓄積や共通部分への課題解決。データを解析して各部署にアドバイスをする。全体の投資対効果を管理する。会社として採用しやすくなるためのコーポレートブランディングをする。そんなちょっと上のレイヤーに人事はいくべきです。守りの仕事が多いから管理部は地味なイメージがあるけれど、採用担当者はその中でも攻められるポジション。もっと攻めの役割になっていけばいいなと思っています」

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(文・撮影/天野夏海)