転職サイトはなくなる?リクナビNEXT、DODA、@typeの編集長が語る、転職マーケットの今と未来【前編】 – HRog | HR業界、採用に関するニュースメディア

転職サイトはなくなる?リクナビNEXT、DODA、@typeの編集長が語る、転職マーケットの今と未来【前編】

5月29日、『グローバル人事塾』主催のパネルディスカッション『大手転職サイト編集長バトルトークLive!』が開催されました。パネリストとして集ったのは、『リクナビNEXT』『DODA』の編集長と『@type』の副編集長。ナビゲータは『HRog』編集長の菊池です。

日本を代表する転職サイトの編集長たちが、転職マーケットや求人広告の未来について熱論を交わしました。本レポートでは、その一部をご紹介します。

転職マーケットの今:職種や年齢の壁が溶けつつある

HRog編集長・菊池:まずは「転職マーケットの今」というテーマでお話を伺いたいと思います。

リクナビNEXT編集長・藤井氏:キーワードは「Shift(シフト)」「Melt(メルト)」「Built(ビルト)」です。産業構造が変化(シフト)し、業種の垣根がなくなり(メルト)、新たなマッチング市場が創られつつある(ビルト)の意味です。

まず産業の構造がシフト。今、日本のGDPの7割近くはサービス業が占めているんです。世の中全体が“モノ”ではなく、“サービス”を作る方向に変わってきている。

例えばトヨタ自動車は、レストランだったりオフィスだったりの機能を持つ車を『e-Palette Concept』として発表しました。「モビリティサービス」という言い方をしていますが、自動車会社のトップが自動車ではなく、“モビリティというサービス”を創っている。これはこれからの世の中を示唆する象徴的な事例だと思います。

こうしたシフトの後にメルトする(溶ける)のが、業種の分類です。自動車会社が製造業なのか、サービス業なのかが分からなくなる。転職サイトでは求職者に営業やSEなどの職種を選ばせようとしますが、業種が溶けて分類できなくなっていく時に、「職種で選ばせるままでいいのか」という問題があると思います。

私としては、字義の通りの、転“職”サイトはもう終わるんじゃないかと思うこともあります。これからは“職種”ではなく、“職場”や“プロジェクト”を転じていくように変わるんじゃないか、と。つまり、【転“職”】ではなく【転“職場”】にシフトする。実際『リクナビNEXT』を見ていると、休日や働き方、ビジョンなど、職種以外のところで動いている転職者もいます。つまり、職種とは異なる新たなマッチング市場が創られつつある(ビルト)。その時、業種や職種という古い括りをいつまで続けるのかを自問したいのです。

職種で探す転職サイトはメルトするのではないかとリクナビNEXT編集長・藤井氏は話す。

@type副編集長・前田氏:職種や業種の垣根がなくなって融合していくのはおっしゃる通りで、人材業界もサービス業という側面もあれば、Webやイベントなど、さまざまな業態を持っていますよね。一つの観点から会社や仕事、役割を捉えにくくなっていると思います。

DODA編集長・大浦氏:年齢の壁もなくなってきていますよね。ミドルシニアと呼ばれる40〜50代の転職が増えてきているし、若手が転職マーケットに出てきている感覚もある。僕は何人の新卒社員が4〜5月で転職サイトに登録しているのかを、10年ぐらいずっと見ています。性格が悪いですね(笑)。2007年から2017年の10年間で『DODA』 の登録者数は7倍になりましたが、一方で4〜5月の新卒社員の登録者数はなんと30倍。新卒社員として入社した瞬間に転職サイトに登録しているわけです。積極的に転職活動をするというよりは、とりあえず登録したということだと思いますが、ポイントは転職が日常化してきているということです。

転職サイトに登録したらもちろん、登録をしなくても、担当顧客を検索して出てきた求人情報をクリックしようものなら、リターゲティング広告で追われる。テクノロジーの進化も相まって、若者を中心に転職が日常化してきているのが転職マーケットの今だと感じています。

転職マーケットの未来:“キャリアマッチング”から“スキルマッチング”へ

HRog編集長・菊池:一方で転職マーケットのこの先は、どうなっていくと思われますか?

リクナビNEXT編集長・藤井氏:これまで転職の常識とされてきたことがことごとく壊れていくのが未来だと思います。年齢以外に業種の壁も壊れ、異業種の転職も増えています。自動車開発の考え方でサービス業の品質改善をするような、業界をまたいだ転職は加速していくと思いますね。

例えば携帯ショップの店長と、学習塾の学長が同じコンピテンシー(※特定の業務や役割において突出した成果を出し続ける行動特性のこと)で活躍するという話があります。携帯を買いに来る顧客は学生で、お金を出すのは親。学習塾も同じで、構造とスキルを因数分解していくと、「親とのコミュニケーションがきちんと取れる」という部分が共通しています。また、双方とも職場にはアルバイトやパートの方が多く、多様なメンバーをまとめていくという点も同じです。

でも、個人が転職をするときは「学習塾にいたから次も教育業界で探そう」となってしまう。携帯ショップでも経験が活かせることが理解はできても、“認知の壁”が今までは超えられなかったんですね。でも、業種や職種、年齢などの壁がどんどん壊れていくこれからの時代は、もっと自由な仕事探しができるようになります。「当社は皆さんが思っているような業種ではありません」といった採用担当者のメッセージが飛び交うような未来が来るんじゃないでしょうか。

DODA編集長・大浦氏:業種や職種を超えた転職をした後に活躍できているのか、「同業種・異業種/同職種・異職種」の4つの組み合わせで調べたことがあります。定性調査ではありますが、活躍度は4つともほぼ同じだったんですよ。たしかに競合から転職した人が競合にいた貯金が使えるのって、せいぜい最初の半年ぐらいじゃないですか?(笑)

つまり同じ業界や職種の経験があることが圧倒的なアドバンテージにはならないんですよね。過去の経歴が関係なくなってきている。僕なりの言葉でいえば、“キャリアマッチング”の時代ではなくなっていると思います。これまでは「どんな大学を出て、どんな会社に入って、どんな仕事をしていたのか」がキャリアだった。これが“スキルマッチング”に変わってきていて、「そのキャリアの中でどんな思考や強みを身につけたんですか?」というマッチングになってきています。業界や職種は関係なくなってきている背景には、業界構造の変化以外に、こういうマッチングの変化もありますよね。

キャリアマッチングからスキルマッチングへと時代は変化しているとDODA編集長・大浦氏は話す。

@type副編集長・前田氏:労働人口が減っていくことが確実な中で、これまでスタンダードとされていたキャリアの作り方や転職の仕方だけだと、日本全体として人材が回らないという側面もあると思っています。言葉を選ばずに言えば、人材の無駄遣いができない。年齢が高くても、未経験でも、働き方に制約があっても、“活躍できる人”の登用はより進んでいくと思っています。

採用に全員参加は必須!でも、それだけでいい?

HRog編集長・菊池:職種や業界の垣根がなくなっていく中で、今一度募集要項を見直すことも必要ですね。

リクナビNEXT編集長・藤井氏:人材の質も量も足りなくなって、この先採用が激化していく未来は予見されている。2025年には2015年と比較して、557万人もの人材が“量的に”不足するという調査もありますし、人事の方へのアンケートでは「次世代のリーダーが足りない」、つまり“質的な”不足が課題として上がります。量も質も足りないわけですね。

そんな状況では、「猛烈な採用戦略」を取る企業が勝つと思っているんです。他社と良い人材の取り合いになった時、最終的にリクルートが勝てるのは、経営層も含めて採用活動に大量のリソースを割いているからです。

(出典:https://www.works-i.com/pdf/160407_sr_wheelmodel.pdf

「ホイールモデル」と呼んでいますが、採用の過程には「採用の前提」「採用のプロセス」「採用の成果」の3つがあります。これまでは給与テーブル、勤務時間、仕事内容など、「採用プロセス」の中の採用条件は全て決まっていました。

でも今は良い人材を取るために、働く人を中心に考えて、会社がそこに寄り添うようになってきている。自動車メーカーではエンジニアがいる都内に研究所を移転する動きもあります。必要なタレントを取るために、採用条件や勤務地、「自動車会社ではなくAIの会社です」とブランドを変えるなど、経営がやるべきことは大きい。

経営や現場リーダーをどうやって採用現場に引っ張り出すか、人事の方が苦労するところだと思いますが、今は経営の目線を変えていくチャンスでもあります。「採用に全員参加しなければタレントには響かない時代ですよ」という空気を作れればいいなと思いますね。

DODA編集長・大浦氏:経営も人事も現場も、皆が採用に力を入れることは大切です。でも一方で、「それだけでいいんだっけ?」って感覚にもなるんです。根本的には、「経営が採用以外の現場社員の日常に対してどれだけ向き合っているのか」の方がよほど重要。それをせずに経営者が採用ばかりやっている会社はどうなんだろうと思うんですよね。

これだけオープンに情報が出るようになって、これからは「リクルーティングから“ タレント・アクイジション(※採用ブランドを構築し、タレントを惹きつけること)”」と言われています。採用に割く経営資源をできるだけサービス作りや社員のエンゲージメントに投資して、日常をブランディングしていくことの方がよほど採用に繋がると思うんですよ。現場社員がハッピーな日常を過ごせている結果、採用につながる方がコスト的にもいいし、本質的なのかなと思います。

リクナビNEXT編集長・藤井氏:リファラル採用が注目されていますが、日常の仕事にやりがいがあって、仲間と一緒に切磋琢磨して、夢を持って働いている人達は、自社のことを友達に紹介したいと心から思ってリファラルに参加し、採用成功をしている。つまり、タレント・アクイジションで「社外の人」を引きつける前に、「社内の人」を惹きつけるのが近道ですよね。

(文・天野夏海/撮影・畑上照夫)

プロフィール

(写真左から2番目)
株式会社リクルートキャリア
リクナビNEXT編集長/リクルート経営コンピタンス研究所 エバンジェリスト
藤井 薫氏

1988年慶応大学理工学部卒業。リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。TECH B-ing編集長、Tech総研編集長、アントレ編集長、リクルートワークス研究所、Works編集などを歴任。2007年より、リクルートグループの組織固有智の共有・創発を推進するリクルート経営コンピタンス研究所コンピタンスマネジメント推進部およびループ広報室に携わる。2016年4月よりリクナビNEXT編集長に就任。リクルート経営コンピタンス研究所エバンジェリスト兼務。AI/IoT、自動運転などの人材獲得競争の深部、複業、People Analyticsなど、個人と企業が共鳴する新たな関係、HRMのあり方を発信中。近著『働く喜び 未来のかたち』(6/25発売 言視舎)。

(写真左から3番目)
パーソルキャリア株式会社
転職メディア事業部営業本部本部長/DODA編集長
公益財団法人スポーツヒューマンキャピタル 理事
大浦 征也氏

2002年株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社し、一貫して人材紹介事業に従事。法人営業を経験した後、キャリアアドバイザーに長年携わる。担当領域は、エンジニアから営業・販売、管理部門、またエグゼクティブ領域のサーチ事業まで多岐に渡り、これまでに支援した転職希望者は10000人を超える。2007年からは、転職サイトDODAの営業責任者及びマーケティング責任者を兼務し、現職。JHR(一般社団法人人材サービス産業協議会)のワーキンググループメンバー、SHC(公益財団法人スポーツヒューマンキャピタル)の理事等にも名を連ねる。

(写真左から4番目)
株式会社キャリアデザインセンター
メディアARP推進局レスポンスプロモート部 @type副編集長
前田 直哉氏

2008年にキャリアデザインセンターに新卒で入社し、@typeの企画職に配属。2015年から@typeと女の転職@typeの2サイトの企画・運営領域を担当し、サービス改善・強化に携わる。2018年4月より@type副編集長

(写真左から1番目)
ナビゲータ:
株式会社ゴーリスト
HR事業部 事業部長/HRog編集長
菊池健生

2009年大阪府立大学工学部卒業。株式会社キャリアデザインセンターにて求人広告の法人営業、営業企画、プロダクトマネジャー、編集長、マーケティングなど様々な業務を経験する。2017年、10億件を超える求人情報のビッグデータソリューション事業を展開する株式会社ゴーリストへジョイン。入社以降、HR業界・採用に関するニュースメディア『HRog』の編集長を務める。

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