IT人材は空前の売り手市場。引く手あまたながら、SES業界はその複雑さから、営業をはじめたばかりで経験の少ない新人はなかなかアイスブレイクしにくい業界です。
フロッグでは、人材業界のための“求人”企業リスト『HRogリスト』をご提供しています。
そこで、SESの現役採用担当者が直接話す、「こういう営業なら話を聞きたい」をご紹介。今回は「一緒に採用ブランディングを考えてくれる営業」です。
SES企業は自社のブランディングに苦戦している
人材をSIerに提供するSES企業は、なかなか自社の独自性を打ち出しにくいBtoB業界です。そのため、自社のカラーを出そうとするとどうしても、社内の制度や仲の良さ、風通しなどをアピールしがち。
しかし、どの企業も似たようなアピールをするため、結局は求人サイトに並ぶとありがちなキャッチフレーズで没個性になってしまいます。さらに”アットホームで風通しがよく、みんな仲良し”は、求職者は「かえって胡散臭い…」と二の足を踏みやすいキーワードです。
しかも、採用担当者は求人の原稿が没個性になっていることに気付いていなかったり、自社の特色がどこにあるのか、内部にいるからこそわからなくなっていることが多いのです。
ブランディングは中途採用者の定着にも繋がる
企業ブランディングは採用力の強化よりも、実は内部への影響を強く持ちます。経営者が目指す理念と方向性、社内の持つ社風やイメージ、求職者に求めるポジションを明確化することは、スキルだけでなく精神的なミスマッチを防ぐ効果があるのです。
特に中小のSES企業では「社長と考えや方針が合わない」という理由で離職してしまう経験者は少なくありません。
そこでしっかりとした企業ブランディングを行うことで、転職者が就職したあと、会社の目指すイメージとのズレを感じて退職してしまう、いわゆる「水が合わなかった」離職を未然に防げるわけです。
このブランディングの価値を提案することで、企業側の採用担当者は、営業担当者に対して「自社のために考えてくれる」と感じ、アイスブレイクしやすくなります。
過去の求人を確認し、傾向を把握しておこう
ブランディングの提案と言うと難しく響きますが、実はそこまで困難ではありません。実際に企業ブランディング全体の提案となると大規模ですが、ブランディングを考えながら採用することの提案自体は、3つのポイントを押さえればすぐに可能です。
①過去の求人の傾向と記事の内容を確認し、ターゲット企業がどのような内容を自社の売りとしたいのかを把握する
社内の繋がりやイベントが中心であれば、人間関係の良好さ。
制度をアピールしていれば、福利厚生の手厚さ。
チャレンジ精神のバックアップであれば、成長力。
このように一言で言い換えるポイントを一点探します。
②同業他社の求人と比較し、年齢層や得意な分野、言語などで勝る点をピックアップ
上記で把握したポイントと組み合わせ、ブランディングのフレーズとします。例えば20代~40代まで幅広く募集しており、社内制度をアピールしている企業であれば、「幅広い年齢層のエンジニアが集まり、人生のライフステージを大切に、ライフワークバランスを重視している」など。
③過去の求人広告と比較し、2で作ったフレーズから不足している点を指摘する
大概の求人広告は他社との比較を充分に行わないまま出されているため、他社との差別化が足りていない部分が必ずあります。そこを強調し、ブランディングの不足を指摘しながら自分のブランディングフレーズを提案します。
まとめ
ターゲット企業の長所を指摘しながらブランディング採用を提案することで、SES企業の採用担当者から「自社をここまで分析して考えてくれている」という好意的なアイスブレイクを得やすくなるだけでなく、ヒアリングを通して採用提案がしやすくなります。つまり、急がば回れ。
ただ採用の営業だけを行えば門前払いされてしまいがちですが、大きく見える付加価値を提案することで、その後の話を聞いてもらいやすいというわけです。
中小のSES企業の場合、採用担当者はブランディングや採用原稿を一人で背負っています。孤独感を抱えている担当者も少なくないので、自社のことを考えて二人三脚になってくれるという安心考えられると、信頼関係に結びつけるまで比較的スムーズに進みやすいのです。
(HRog編集部)
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(文/猪飼綾)