2019年創業から20期目を迎えたインターネット企業、株式会社インタースペース。アフィリエイトサービス「アクセストレード」を主力事業に2006年9月東証マザーズに上場を果たす。その後、順調に右肩上がりに成長を続け、毎年過去最高売上を更新し続けている。今回HRog編集部では、成長し続けるミドルベンチャーの人事部にスポットを当てた。
内田 達延氏
株式会社インタースペース
パフォーマンスマーケティング事業部アフィリエイト局サービスマーケットグループ リーダー
うちだ・たつのぶ/2012年に人材会社に入社。企業への提案営業および求職者へのキャリアカウンセリングを経て、2016年にインタースペースに入社。これまでのHR業界での経験を活かし、HR業界に特化する広告プロモーションチームの責任者として従事。
『成長し続けるミドルベンチャーを支える人事部の挑戦』を連載している一方で、アフィリエイトサービス「アクセストレード」を展開するインタースペースから見える人材業界がある。今回は採用や組織づくりにフォーカスするうえで、「人材業界の今」をWebマーケティングの観点から整理しよう。また、事業サイドから採用ターゲットに求めることは何なのか。インタースペースで人材業界を担当する内田氏に話を聞いた。
アフィリエイトサービスのビジネスモデル
「昨今、求人市場は求職者よりも求人が多い『売り手市場』になっています。景気の回復やIT化、グローバル化によるヒトの流動化の加速が主な背景ですが、WEB広告においてもこの市場動向が如実に反映されています」
インタースペースでは成果報酬型広告を取り扱っており、クライアントの広告予算は成果数と1成果あたりの単価の掛け算で決まる。ここ5年間でHR業界からインタースペースに託された広告予算はおよそ3倍にまで伸びており、広告予算の増加からHR業界の転職者獲得は激戦となっていることが想像できる。
「具体的な指標でお伝えするとコンバージョン(CV※1)とCPA(※2)の実数が飛躍的に増えています。CVが伸びているということはユーザ(転職希望者)が転職サービスに申し込む数が多くなっているということであり、CPAが上がっているということはHR事業者が1人のユーザ(転職希望者)に使う広告予算が上がり、他HR事業者との奪い合いになっているということです」
※1 コンバージョン(CV)
Webサイトにおいてのゴール到達指標、HR業界においては求人サイトへの会員登録や転職エージェントへの申し込み数
※2 CPA
1件のコンバージョンを獲得するのにかかった広告コスト(成果単価)のこと
特に成果報酬型広告を通じて広告主(HR事業会社)とユーザ(求職者)の橋渡しを行うインタースペースだからこそ、市場の動きはよりリアルに実感できる。
HR業界のWebマーケティングについて
WEB広告でコンバージョン(成果)を最大化するためには、「マクロに指標を設計して大胆に広告予算を使う」と「ミクロに指標を設計してユーザとのコミュニケーションギャップを解消する」、この両軸が必要です。
1点目については、特に成果報酬型広告であれば設計がしやすいのですが、「成果をどこに定めるのか」「1成果に支払う広告単価はいくらか」「いくらまで広告予算を投じるのか」を定めてしまって、広告全体においてこの指標がどうなのかだけをマクロに見ることです。
この点を徹底しておくことで、複数の代理店、広告媒体、WEBメディアへの煩雑なコミュニケーションを極力簡素化することができますし、指標をしっかりと定めることでそれが媒体側にも浸透しやすく、広告主のポリシーを理解いただきながらパートナーシップを醸成することができます。
矛盾するようですが、2点目については1点目とは真逆の視点です。HR業界は全体的に売り手市場とは言え、企業と求職者の需給のバランスが目まぐるしく変動する市場でもあると感じています。
そのため「今はどういった人材を欲しているのか」「どういった企画で求職者にリーチしたいのか」といった点には緻密なコミュニケーションが必要です。媒体側へのディレクションを怠ることは避けるべきでしょう。
この2点を明確にしておくことで、全体のKPIも達成しながら、求めるユーザに対しての適切な広告コミュニケーションが実現するはずです。
HR業界は群雄割拠の状況ですから、競合と比較してどういった広告戦略が有効か気になる方も多いかと思います。
あくまでプロモーションサイドとしての意見とはなりますが、サービスとしてのUI/UXが良く、ユーザが申し込みしやすいことや競合と比較してユーザにアピールできる訴求点が明確かつ多くあることがポイントになります。
サービスとしてのUI/UXが良いと、認知度は大手サービスに及ばない場合でも、広告を通じて流入するユーザが成果につながる確率(CVR)も高く、媒体側が集客企画を立案するうえでも有利に働きます。
また、訴求点が明確であることが複数サービスを比較検討しているユーザに対しての決め手となります。媒体側のコンテンツライティングの観点で申しましても「他社との違いや強み、特徴」が明確なことで広告掲載されやすい傾向があります。
インタースペースの強みから見る採用ターゲット
ここで改めてインタースペースについて整理しよう。インタースペースは広告事業やメディア事業、新規事業を展開する企業であり、成果報酬型広告ネットワーク「アクセストレード」が主管事業である。
「アクセストレードは成果報酬型広告ネットワークとしては業界1位2位を争う大手サービスとなります。その特徴は幅広いマーケットに実績を持っていることと、業界特化型で広告主側と媒体側の双方に専門性の高いコンサルティングを行っていることがあります」
マーケットを網羅し、コンサルティングに重きを置く。広告主や媒体と対峙していることで、マーケティングデータや過去の成功事例、失敗事例、成果報酬型広告における運用の方法論が豊富である。採用ターゲットには「顧客の懐に深く入っていき、本質的な課題解決ができる素地」が求められる。
「特に私が管轄するHR業界に特化したチームにおいては、HR業界の成果報酬型広告予算をトップクラスのシェアで保有しており、業界全体を俯瞰しつつ広告主と同じ目線でKPI設計を行っております。日々コンサルティングの質を高めていることが何よりの強みであると自負しています」
「そのため単に成果数や成果単価についての議論だけではなく、どうすれば成果につながる企画を行えるのか、広告主が本質的に求めるユーザとのコミュニケーションのあり方などを独自ツール等も活用しながら包括的に提案することを徹底しています」
「私たちと一緒に成長著しい人材業界を盛り上げていきませんか?その道のりではマーケティング力や基礎思考力、ビジネス感度の向上など多くのビジネススキルを得ることができます」
(HRog編集部)