2021年9月に「デジタル庁」が設立され、約600人の職員のうち200人ほどが民間出身の人材で構成された。デジタル庁は今後も継続的に民間企業から人材を採用するとしており、日本におけるリボルビングドアの先駆けとして注目を集めている。
官公庁と民間企業との間で人材が流動的に行き来する仕組みのこと。一人の人材が官民間での行き来を繰り返すという点で出向とは異なる。官公庁は専門性の高い人材を受け入れることができ、個人は官公庁という特殊な環境での職務経験や人脈を得られるなどのメリットがある。
株式会社ビズリーチは同社が運営する転職サイト「ビズリーチ」において、官公庁への転職意欲に関するアンケート調査を実施した。
調査結果は以下の通り。
官公庁の仕事に興味があるか尋ねたところ、「とても興味がある」と回答した人は21.7%、「どちらかといえば興味がある」と回答した人は46.8%だった。合計で68.5%の人が官公庁の仕事に興味を持っていると分かった。
官公庁の仕事に興味がある理由を尋ねたところ、「仕事を通じて社会貢献したいから」と回答した人が66.1%で突出して多かった。次いで「民間企業とは違う経験やスキルが身につくから」が33.1%、「官公庁や自治体の現状に課題を感じているから」が33.0%と続く。
リボルビングドア型のキャリア形成に有効性を感じるか尋ねたところ、「有効性はとても高いと感じる」と回答した人は35.5%、「どちらかといえば高いと感じる」と回答した人は48.2%だった。合計で83.7%の人がキャリア形成の観点で官公庁の仕事に興味を持っていることが分かる。
興味のある省庁について尋ねたところ、「デジタル庁」が32.5%で最多であった。ついで「自治体」が31.1%、「経済産業省」が29.7%と続く。
興味がある分野・領域を尋ねたところ「デジタル化」が39.8%で最多であったことからも、すでに民間採用を始めており、明確に需要があるデジタル分野への注目度が高いと考えられる。
また、自身が民間企業で積んだ経験を官公庁でも生かせると思うか尋ねたところ、合計で71.7%の人が「生かせる」と回答した。
民間企業で得た経験を官公庁で活かし、そこでまた経験を積んで民間企業に戻っていくことで、官民双方に成長をもたらすのがリボルビングドアの魅力だ。デジタル庁の民間人材活用をきっかけに、今後他の省庁でも官民の人材交流が増えるのではないだろうか。
【参考URL】即戦力人材の約7割が「官公庁の仕事に興味あり」興味のある省庁の上位に「デジタル庁」「自治体」「経済産業省」