労働人口の減少や働き方の価値観が多様化したこと等により、近年の採用競争は激化している。その中で企業は人材確保のために様々な打ち手を講じており、転勤についてリモートワークを活用して「転勤」を伴わない働き方を提示したり、本人の同意がない転勤を廃止したりなど新たな制度を取り入れる企業もある。
Indeed Japan株式会社は、同社が運営する求人検索エンジン「Indeed」において、「転勤なし」に言及する求人の動向を調査した。また併せて、20~50代の正社員または公務員を対象に「転勤」に関する調査も実施した。
調査結果は以下の通り。
「Indeed」において「転勤なし」に言及した求人の割合を調査したところ、2018年からの5年間で最大3.0倍に増加した。また、特に直近1年間での増加率が高いと分かる。
また職種別の分析では、特に「アパレル」「スポーツ」「保険」「ドライバー」において、2023年4月時点の「転勤なし」を含む求人割合が25%以上となった。
続いて正社員または公務員の人に対して転勤に対するイメージを尋ね、年代別に調査したところ、20代の29.1%が「良いイメージ」または「やや良いイメージ」と回答した。一方で良いイメージを持つ人は年代が上がるごとに減少し、50代で「良いイメージ」または「やや良いイメージ」と回答した人は12.5%のみとなった。
また転勤に対するイメージを転勤経験の有無によって分析したところ、特に2020年4月以降に引っ越しを伴う転勤を経験した人の41.2%が「良いイメージ」または「やや良いイメージ」と回答し最多となった。実際に転勤することでイメージが変化していると分かる。
続いて転勤経験者に転勤して良かったことを尋ねたところ、21.2%の人が「通勤時間が減った」と回答し最多となった。次に「新しい環境で気分転換ができた」が20.3%、「良い経験を積むことができた」が18.2%と続いた。
転職経験者に対して転勤をきっかけに転職・退職をしたことがあるかどうか尋ねたところ、24.5%の人が「転職・退職をしたことがある」または「転職・退職を検討したことがある」と回答した。特に20代ではその割合が36.5%と傾向が強い。
現在の勤務先を選ぶ際に重視した条件を調査したところ、転勤に悪いイメージを持つ人の26.7%が「転勤の可能性がないことを重視した」と回答した。また転職検討者に今後の企業選びで重視したい条件を尋ねたところ、転勤に悪いイメージを持つ人の35.2%が「転勤の可能性がないことを重視する」と回答した。
詳細結果はコチラ
今回の調査では、転勤経験者において転勤に対して良いイメージを持つ人が多かったものの、転勤を好まない人にとっては「転勤なし」が企業選びの重要な条件となることが分かった。求職者の価値観が多様化する中、それに応えられるよう柔軟な制度を用意することが必要となるだろう。
<転勤に関する求人動向調査>
調査主体:Indeed Japan株式会社
調査対象期間:2018年1月1日〜2023年4月30日
調査方法:対象期間において、Indeed上に掲載された正社員求人のうち「転勤なし」に言及している求人の割合を算出
<転勤に対するイメージに関する調査>
調査主体:Indeed Japan株式会社
調査対象:20~50代で現在の雇用形態が正社員または公務員の男女4,480名
割付方法:性年代とエリアをそれぞれ掛け合わせて均等割り付けにて回収。
公務員を含む正社員の人口構成比に基づいてウェイトバック集計を実施。
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年3月24日~2023年4月5日