【HRog求人レポート】アルバイト採用市場を徹底分析!~物流業界編~

約100の求人媒体から蓄積された求人ビッグデータを最短2クリックで簡単分析できる人材業界・採用担当者向け求人データ分析ツール『HRogチャート』を活用した、アルバイト採用市場の分析レポートをお届けします。今回は、物流業界大手3社「ヤマト運輸」「日本郵便」「佐川急便」の求人・時給動向を徹底分析しました。最新の求人動向や傾向を示す参考資料として、ぜひご活用ください!

求人件数動向

各社の国内拠点数を見てみると、日本郵便の郵便局数が24,223拠点で最多となりました。次いでヤマト運輸が3,665拠点、佐川急便が852拠点と続いています。

物流大手3社の求人件数を見てみると、ヤマト運輸ではお中元やお歳暮の時期となる7月と11月頃だけ求人数を増やしており、季節性が強い様子が伺えます。2024年4月時点では、ヤマト運輸が3,827件で最多。佐川急便が2,658件、日本郵便が2,369件と続きました。

3社それぞれが運営するアルバイト求人のオウンドメディアでは、日本郵便が4,617件で最多となっています。次いでヤマト運輸が1,978件、佐川急便が713件と続きました。

続いて、2019年4月の求人件数を100とした場合の指数で比較してみます。日本郵便では、2020年3月頃を除いて、安定した求人数で掲載し続けていました。

ヤマト運輸では、2021年後半~2022年後半にかけて7月・11月の求人数が伸びましたが、2023年以降はコロナ禍前同等の水準となっています。一方で佐川急便では、2021年~2023年前半にかけてコロナ禍前以下の水準で推移し、2023年後半以降は求人数が伸びていました。

続いて雇用形態別に求人数を比較したところ、ヤマト運輸と佐川急便ではアルバイト・パートがほとんどであったのに対し、日本郵便では契約社員の割合が8割を超えていました。

都道府県別の求人割合は?

2024年4月の求人件数を3社それぞれ都道府県別に比較し、全体件数に対する割合の多かった上位5都道府県を調査しました。

ヤマト運輸では、京都府が10.87%で最多となりました。次いで東京都が9.09%、静岡県が6.79%、新潟県が6.61%、北海道が6.32%と続いています。

他2社は1位が東京都であるのに対し、ヤマト運輸では京都府の割合が多いことが特徴といえます。

続いて日本郵便では、東京都が10.34%で最多となっています。次に愛知県が6.96%、大阪府が5.57%、福岡県が4.43%、埼玉県が4.35%と続きました。

他2社と比較すると、1都道府県あたりの割合が低くなっています。全国に郵便局があることから、求人数も分散されている様子が伺えました。

最後に佐川急便では、東京都が18.81%で最多となりました。続いて千葉県が6.85%、埼玉県が5.98%、愛知県が5.61%、大阪府が5.12%となっています。

他2社と比べると、主要都市に求人数が集中していることが分かりました。

職種別の求人割合は?

最後に、3社それぞれの求人数割合を職種別に調査しました。

ヤマト運輸では、作業系職種が59.5%で最多となりました。次いで事務系職種が25.7%、ドライバー系職種が10.7%と続いています。

続いて日本郵便では、ドライバー系職種が87.9%でほとんどを占めています。続いて作業系職種が10.5%となりました。

最後に佐川急便では、作業系職種が65.1%で最多となっています。次にドライバー系職種が15.3%、事務系職種が14.7%と続きました。

平均時給動向

3社の時給下限平均額を2019年4月から2024年4月までの推移で見てみると、日本郵便では右肩上がりに増加しており、他2社は時期によって変動しながら水準が上昇しています。

2024年3月時点では、日本郵便が1,164円で最高額となっており、2019年4月時点から比較して他2社を追い上げています。次いで佐川急便が1,136円、ヤマト運輸が1,135円で同等の時給帯となりました。

都道府県別の平均時給動向は?

2023年4月と2024年4月の時給下限平均額を3社それぞれ都道府県別に比較し、増加額の多かった上位3都道府県を調査しました。3社ともに一都三県のランクインがなく、地方での賃上げも進めている様子が伺えました。

ヤマト運輸では、愛媛県が+284円で1位にランクイン。次いで新潟県が+211円、徳島県が+210円と続きました。ランクインした3県すべてで200円以上の賃上げがされています。

続いて日本郵便では、宮城県が+136円で1位となりました。次に鳥取県が+132円、島根県が+114円となっています。

最後に佐川急便では、宮崎県が+174円で1位となりました。続いて滋賀県が+160円、富山県が+136円と続いています。

最低賃金と募集時給との差額が大きい都道府県は?

都道府県別に2024年4月の時給を最低賃金と比較し、その差額が大きい上位3都道府県をそれぞれ調査しました。3社それぞれが、最低賃金を大きく上回る水準で時給設定している様子が伺えます。

ヤマト運輸では、宮崎県が+425円で1位となりました。続いて富山県が+325円、愛媛県が+319円となっています。

続いて日本郵便では、山梨県が+304円で1位にランクイン。次に愛知県が+286円、福島県が+265円と続いています。

最後に佐川急便では、滋賀県が+277円で1位となりました。次いで富山県が+249円、石川県が+216円と続いています。

職種別の平均時給は?

続いて、ドライバー系職種と作業系職種に絞った2024年4月時点の平均時給を比較します。

ドライバー系職種では、ヤマト運輸が1,401円で最高額となりました。次いで日本郵便が1,176円、佐川急便が職種全体と同じ1,153円と続いています。

作業系職種では、3社全てで職種全体の水準を下回りました。その中でも佐川急便が1,144円で最高額となり、ヤマト運輸が1,123円、1,082円と続いています。

東京都の時給動向

ここでは、3社の求人件数が多かった東京都に絞り、周辺時給を調査しました。

東京都の平均時給と物流大手3社の平均時給を比較してみよう!

各社の東京都での求人件数を見てみると、日本郵便が500件で最多となりました。次いでヤマト運輸が348件、佐川急便が245件と続いています。

続いて2024年4月のデータを使用し、東京都の全体・ドライバー系職種と各3社の時給下限平均額、最低賃金を比較してみます。

職種の近いドライバー系職種の平均時給と比べると、ヤマト運輸では87円高いことが分かります。一方で日本郵便と佐川急便の2社では、6~49円低い水準となっています。

また、東京都の作業系職種の平均時給と比べると、佐川急便は8円高く設定されています。ヤマト運輸と日本郵便では、51~177円低い水準となりました。

東京都のドライバー系職種と、ヤマト運輸の時給レンジを比較します。また、ここではそれぞれの全体求人件数に対する割合で分析しています。

ドライバー系職種全体では、「1,200~1,249円」と「1,300~1,349円」の割合がボリュームゾーンとなっています。ヤマト運輸では「1,400~1,449円」の割合が最も多く、周辺の相場より高い水準で時給を設定している様子が伺えます。

続いて作業系で見てみると、職種全体では「1,200~1,249円」に次いで「1,100~1,149円」の割合が多くなっています。ヤマト運輸では「1,400~1,449円」の割合が最も多いですが、職種全体ではそれを上回る「1,600~1,699円」の出稿もあるため、ヤマト運輸の平均時給が職種全体より低くなっている様子が伺えました。

求人内容比較

最後に、東京都における仕分け作業の求人詳細を3社で比較してみます。

ヤマト運輸では、仕事内容が詳細に書かれているほか、宅配便の社割が特徴的な福利厚生となっています。

続いて日本郵便では、ルーティン作業であることや応募条件のキーワードが多いことから、幅広い層や未経験者に向けてアピールしている様子が伺えました。

最後に佐川急便では、業務時のフォロー体制などで未経験者に向けたアピールがあるほか、評価制度や賞与、育児・介護休暇など充実した福利厚生があるようです。

調査概要

対象期間:2019年4月1日~2024年4月1日
対象媒体:タウンワーク、マイナビバイト、バイトル、フロムエー、イーアイデム
対象雇用形態:アルバイト、パート、契約社員
※平均時給:求⼈情報の給与項⽬内にある給与情報を数値に変換し、下限の⾦額を合算・平均して算出
※都道府県:求⼈情報の勤務地情報を取得し集計。1求⼈に対して2つ以上の勤務地都道府県が紐づいている場合、最初に記載されている都道府県を採⽤
※職種分類:複数の求人媒体の情報をまたいで集計するため、媒体記載の業種・職種カテゴリーを使用せず、独自のキーワードマッピング処理に基づいた業種・職種カテゴリーを使用して求人情報を分類・集計

まとめ

今回は物流大手3社に絞り、それぞれの求人・時給動向を調査しました。

特に時給などの求人条件によって応募数に変動が出やすいアルバイト採用では、周辺の採用状況を知っておくことが重要です。今回のように同業他社やエリア・職種ごとに求人動向を分析することで、採用市場の今を簡単に把握することができます。ぜひ今後の営業活動や採用活動にご活用ください。