【HRog決算解説】ビジョナル株式会社の2025年7月期第2四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは?

ビジョナル株式会社の2025年7月期第2四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすく解説し、業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

2025年7月期のビジョナル決算一覧はコチラ

2025年7月期第2四半期(当記事)
2025年7月期第3四半期(6月頃発表予定)
2025年7月期第4四半期(9月頃発表予定)

一目でわかる! 決算情報のグラフィックまとめ

ビジョナルの2025年7月期第2四半期の決算における売上高や純利益の増減率とその要因について、グラフィックで分かりやすくまとめました。

もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?

ビジョナルの第2四半期累計期間の業績を、セグメント別にもう少し詳しくまとめました。

出典元:決算説明資料(p.4)

HR Techセグメント

HR Techセグメントは、即戦力人材を対象とした転職サービス「BizReach」事業や、企業向けのタレントマネジメント・人材管理サービス「HRMOS」シリーズなどを展開するセグメントです。

ハイクラス向け転職サービス「ビズリーチ」
人財活用プラットフォーム「HRMOS」シリーズ
OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」
タレントアクイジションサービス「InterRace」

出典元:決算説明資料(p.8)

「BizReach」事業では、企業のプロフェッショナル人材の採用ニーズの高まりと求職者の積極的な転職活動を背景に広告宣伝の強化を進めた結果、累計導入企業数やスカウト可能な会員数が増加しました。売上高は321億円(前年同期比+16.8%)、営業利益は132億円(前年同期比+8.5%)となりました。

出典元:決算説明資料(p.15)

「HRMOS」事業では、プロダクトの機能拡充への投資や営業活動を継続し、各サービスの売上高が順調に拡大しました。売上高は23億円(前年同期比+36.6%)と大幅な成長を記録し、ARR(年間経常収益)も30.5%増加しています。営業損失は1.2億円であり、前年同期の4.9億円と比較して縮小していますが、下期にマーケティング投資を集中する計画のため、通期では前年同水準を目指すとしています(決算説明資料,p.16)。

セグメント全体の売上高は357億円(前年同期比+18.7%)、営業利益は117億円(前年同期比+9.9%)となりました。

Incubationセグメント

Incubationセグメントは、中長期的な企業価値向上を目指して、HR Tech以外の成長事業領域において、新規事業開発を行うセグメントです。

法人限定M&Aプラットフォーム「M&Aサクシード」
物流DXプラットフォーム「トラボックス」
脆弱性管理クラウド「yamory」
セキュリティ評価プラットフォーム「Assured」

2023年12月に株式会社ビズヒントを譲渡した影響により、売上収益は11.1億円(前年同期比-9.9%)で減収となりましたが、各事業の成長により第2四半期単体では5.5億円(前年同期比+0.6%)で増収となりました。

営業損失は7.7億円であり、前年同期の3.2億円と比べて赤字幅が拡大しました。

今期の業績予想について

通期の連結業績予想に変更はなく、売上高764億円(前期比+15.5%)、純利益は134億円(前期比+3.7%)での着地を見込んでいます。

今期決算資料の注目トピックは?

出典元:決算説明資料(p.34)

ビジョナルによれば、転職希望者が1000万人を突破する「大転職時代」(決算説明資料,p.30)が始まり、企業が働く人を選ぶのではなく、企業が働く人に選ばれる側になりつつあります。そのため、社外人材を採用するだけでなく、社内人材にもしっかりと目を向け「人材流出」を防ぐことが重要だとしています。

出典元:決算説明資料(p.42)

このような背景から同社は、2025年1月28日より「社内版ビズリーチ by HRMOS」の提供を開始しました。ビズリーチが「転職活動」によって企業と社外の求職者とのマッチングを目指すのに対し、社内版ビズリーチは「社内スカウト活動」によって企業内のポジションと社員との最適なマッチングを目指すものです。

出典元:決算説明資料(p.44)

同サービスでは、ビズリーチが培ってきたデータを活かし、AIが社内レジュメと社内ポジションを自動生成し、社員と適切なポジションのマッチングを支援します。さらに、AIの検索・レコメンド機能により、社内公募やスカウトが活性化し、社員が新たなキャリア機会を見つけやすくなります。

出典元:決算説明資料(p.14)

また、2024年7月には「HRMOS 労務給与」の提供が開始されました。同社は、これにより「当社が想定する一気通貫型人的資本データプラットフォームの基本的なサービスが揃いました」(FAQ,p.3)とコメントしています。

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

ビジョナルの今期決算からは、人材市場の変化に対応した同社の戦略が明確に見えてきます。転職市場の拡大や企業の採用ニーズの高まりを背景に、「ビズリーチ」を通じた社外人材の採用支援が成長を続ける中で、新たに「社内版ビズリーチ」を活用した社内人材の登用が重要な軸として加わりました。企業は社外からの採用だけでなく、社内の人材を適材適所に配置することで、より柔軟な人材活用が可能になります。

さらに、「HRMOS 労務給与」の提供開始により、採用から労務・給与管理までを一気通貫で支援する基盤が整いました。これにより、人事業務の効率化だけでなく、人的資本の最大活用を目指す経営スタイルがより推進されていくかもしれません。

データ・AIの活用や人的資本経営の重視といった流れは、今後ますます人材業界のトレンドとなっていきそうです。HRog編集部では、今後もその動向を追っていきます!

2025年7月期のビジョナル決算一覧はコチラ

2025年7月期第2四半期(当記事)
2025年7月期第3四半期(6月頃発表予定)
2025年7月期第4四半期(9月頃発表予定)

【参考URL】
ビジョナル25年7月期第2四半期 決算短信
ビジョナル25年7月期第2四半期 決算説明資料
ビジョナル25年7月期第2四半期 FAQ