帝国データバンクは、「TDB景気動向調査2019年8月調査」とともに、人手不足解消に関する調査を実施しました。人件費の上昇が利益に影響する課題のなかで取り組む、人材不足解消法や今後積極的に活用したい人材が明らかになっています。 |
積極的に活用したい人材は「シニア」「女性」「外国人」
多様な人材活用が注目されるなか、今後最も積極的に活用したい人材として「シニア」が29.2%と最も高く、「女性」も27.9%と近い水準で続き、「外国人」は13.7%という結果になりました。
生産年齢人口(15~64歳)は今後も減少傾向にあり、政府が進める女性の活躍推進や外国人の活用を促すための出入国管理法の改正などが背景となり、多様な人材の活用を検討していることが分かります。
人手不足解消法「賃金水準の引き上げ」がトップ
人手不足の解消に向けた取り組みでは、「賃金水準の引き上げ」が38.1%でトップとなりました。特に「中小企業」で数値が高く、人材の確保や定着に向けた方法として賃上げが重要視されている様子が伺えます。
次いで、「職場内コミュニケーションの活性化」(36.7%)、「残業などの時間外労働の削減」(35.0%)が続き、社内体制においても多方面から改革していることが分かります。
社会全体の取り組み「職業紹介機能の強化・充実」が 32.6%
企業が望む人手不足解消に向けて社会全体が取り組むべきことは、ハローワークなどの「職業紹介機能の強化・充実」が(32.6%)でトップとなりました。次いで「職種別採用の拡大」(9.9%)、「オファー型採用の拡大」(4.8%)となり、採用方法の多様化を求める声は一桁台にとどまりました。
以上のことから、企業は社会に対し、採用活動へのサポート体制の強化を望んでいることが伺えます。
企業間では、限られた人材の獲得に向けて競争が激化している一方で、求職者にとっては、就業機会の増加や賃金の引き上げなど、明るい材料として捉えられる場合もあるでしょう。人手不足解消の一手として、企業と求職者のマッチングに向けた働きがけが、今後も求められる見込みです。
実施概要
調査期間:2019年8月19日~31日
調査対象:全国2万3,638社
有効回答企業数:1万7社(回答率42.3%)
【参考URL】
人手不足の解消に向けた企業の意識調査