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【新卒MVP×リーダー対談】「どんなお客様も諦めたくない」アツすぎる営業魂と“納得感”マネジメント【ディップ株式会社 後編】

ディップ株式会社
メディア事業本部 中日本営業1部 静岡課 課長(※25年3月取材時点の情報)
今井 健太郎 氏(写真左)
いまい・けんたろう/2016年にディップ株式会社に新卒入社。東京オフィスで派遣会社・人材サービス会社を主な顧客とするHR領域での営業活動に従事した後、静岡オフィスの立ち上げメンバーとして着任。東京・静岡での営業経験を経て、2022年より営業管理職に就任。静岡エリアの成長を牽引しながら、チームマネジメントにも注力している。

ディップ株式会社
メディア事業本部 中日本営業1部 静岡課(※25年3月取材時点の情報)
杉本 陽星(写真右)
すぎもと・ようせい/2024年ディップ株式会社に新卒入社。学生時代、心理学を専攻する中で働くことに悩みを抱える人の多さに課題意識を持ち、人材業界へ興味を持つ。入社後は静岡オフィスにて、採用コンサルタントとして顧客の課題解決に取り組む。2024年度最優秀新人賞を受賞。

メンバーの夢・アイデア・情熱を育てるチーム作り

前編では、杉本さんがMVPを受賞するまでの軌跡や、杉本さんを支えてきた今井さんのバックグラウンドに迫りました。

後編では、杉本さんがMVPを受賞した当時の心境や、MVPを受賞した秘訣、今井さんのチームマネジメントで大切にしている考え方を深掘りしていきます。

MVP受賞の瞬間

杉本さんが自身のMVP受賞を知らされたのは、社員総会のおよそ一週間前のこと。その知らせは、実はサプライズ形式で伝えられたそうです。

別件で行っていたYouTube撮影について、「急遽撮り直しが必要になった」と呼び出された杉本さん。緊張した面持ちで会議室に入ると、事業部長から最優秀新人賞受賞を伝えられたと言います。

杉本さん「最初は『撮影時にやった一発ギャグが良くなかったのかな』と、ドキドキしながら向かっていたんです(笑)。怒られると思って呼ばれたので、最優秀賞の知らせを聞いた瞬間は、驚きすぎて何が起きたのか分からないくらいでした。でも、今井さんを含む周りの方たちが『本当によかったな』とあたたかい声をかけてくれるうちに、本当に受賞したんだと実感が湧いてきました」

そう笑顔で話す杉本さんは、入社前から最優秀新人賞を獲ることを目標にしていたそうです。

杉本さん「内定者のときに社員総会に参加して、前年の受賞者のスピーチを見たときに、自分もあの舞台に立ちたいと強く思ったんです。新人賞は人生で一度きり。だから逃すわけにはいかないと、ずっと思っていました。そのため、こうした賞をいただけて、本当に嬉しかったです」

先輩として杉本さんの挑戦を支え続けてきた今井さんは、受賞の知らせを聞いたとき「ほっとした」と語ります。

今井さん「これまでも静岡オフィスには優秀な新卒社員がたくさんいて、新人賞を受賞してきましたが、それでも最優秀新人賞はなかなか獲れませんでした。だからこそ、今度こそ静岡オフィスから最優秀新人賞を出したいという気持ちがずっとあったんです。

ディップでは他のオフィスを含めて、新卒社員の業務進捗や成果を閲覧できる仕組みがあります。それを毎日杉本さんと見ながら、『あとどれだけ受注すれば、最優秀新人賞に届きそうか』というコミュニケーションを取っていたので、受賞が決まった時は安心しましたし、とても嬉しかったですね。

杉本さんが授賞式でスピーチをしている姿を見たときは、いいこと言ってるなと思いつつも、普段とは違ってタキシードでばっちり決めている姿に、ほほえましく思いました。でも、1年間彼の頑張りを見てきたので、うるっとしましたね」

新卒MVP受賞の秘訣

杉本さんのどのような行動がMVP受賞へとつながったのでしょうか。杉本さんは、あらゆるクライアントに対しても「諦めない姿勢」がポイントになったのではないかと語ります。

諦めずに何度も「会いたい」気持ちをぶつける

杉本さん「新卒は経験値で劣る分、『人として会いたいと思ってもらえるか』が勝負だと思っています。だから他の人が無理だとテレアポをしていなかった企業にも、『会いたい』という気持ちを何度も伝え続けたんです」

たとえば杉本さんは、過去に効果が出ず契約終了した企業にも諦めず電話をかけ、受注に結びつけていきました。

杉本さん「他の営業が『あの会社は難しい』『なかなか効果が出ない』と言っている企業こそ、本当に採用に困っている企業なはず。そこで自分が動かなかったら、その会社が救われる未来もなくなってしまいます。だから僕は、諦めたくなかったんです」

今井さん「過去に様々なメンバーがチャレンジしたものの、繋がらなかったり断られたりしていた会社にも、杉本さんは諦めず何回も連絡を取り続けていました。

ある会社では、何度も電話をかけているうちに、徐々に関係を築くことができたケースもあって。そこの社長さんが、最近お弁当屋を始めたことをぽろっと話したところ、杉本さんはすぐにそこのお弁当を買いに走り、『いつも電話させていただいているディップの杉本です』と飛び込み営業したんです。

『そんなことしてきた人は初めてだ』と社長さんには驚かれたらしいのですが、結果的にその行動をきっかけに受注に繋がりました。すごい情熱と行動力ですよね」

杉本さんは、持ち前の熱意と行動力を武器に、日常的に飛び込み営業にも挑戦しているそうです。飲食店が閉店していても、諦めず裏口から回ってお店を覗いたり、工場現場でフォークリフトを追いかけながら商談したりしていると言います。

相手に泥臭く向き合う杉本さんの姿勢の根底には、「1ヶ月で1件も受注できなかった」という悔しい原体験がありました。

「受注ゼロ」の悔しい経験が行動量を増やすきっかけに

杉本さん「6月の現場配属後に、初月で2社の受注に成功し、そのときに『このままの調子でいける』と甘く見てしまったんです。しかし7月に入ると、一転してアポがまったく取れなくなり、受注もゼロに。月末に先輩たちが企業へ提案しに行く中、アポのない自分には提案先すらない状態になりました。このままでは静岡にも、組織にも貢献できないと思って、行動を変える決意をしたんです」

そこから心機一転、杉本さんは「とにかくお客様と会うこと」を最優先に、始業時間より早くコールを始めたり、時間を工夫しながら飛び込み営業をしたりと、行動量を増やす努力を重ねていきました。

杉本さん「営業は断られたり、うまくいかなかったり、苦しいことの方が多いものです。でも、野球部時代の練習を通じて、努力の先に勝利の喜びがあることを知っていたからこそ、踏ん張れたと思います。練習が辛くても、打てた瞬間の喜びがすべてを上書きしてくれた。その感覚は営業にも通じると思っています」

MVPを輩出するチームマネジメント

杉本さんがこうした“攻め”の営業姿勢で走れるのは、その裏側で背中を押してくれる存在がいるからこそでもあります。「納得感があって初めて人は動く」。静岡課で杉本さんの成長を支えた今井さんのマネジメントスタイルの根底には、そうした考え方がありました。

今井さん「やらされ仕事って面白くないじゃないですか。だから何か指示を出すときも、本人が納得できるように伝えることを大事にしています。例えばテレアポも、ただ『数を打て』ではなく、『この件数をかければ平均でだいたい何件取れるから、挑戦してみよう』と、やる理由を示すようにしています」

また、納得の次には「まずやってみる」ことを重視しているとのこと。

今井さん「例えば『テレアポ50件』がやるべきことだと分かったなら、まずはその回数をきちんとやりきること。質・量ともにやるべきことをやったうえで、それでもうまくいかなかったなら、次にどうするかを一緒に考えます。

一つひとつをやり切った上で、メンバーにどうすればいいのかを考えてもらい、実際に行動してみる。自主性を尊重しながらも、トライアンドエラーを丁寧に回すことが、メンバーの成長につながると考えています」

実際に杉本さんも、思いついた施策を今井さんに相談するたび、いつも前向きに受け止めてくれる姿勢がありがたいと語ってくれました。

杉本さん「僕の方から色々なことを相談したときに、今井さんは『それいいね』と肯定してくれるだけじゃなくて、『こうしたらもっと良くなる』と経験をもとにしたアドバイスをくれるんです。僕はロジカルなところが弱いので、すごく勉強になります」

指導する際にも、「杉本さんはどうしたいのか?」と本人の意思を尊重する今井さん。静岡という未開拓のマーケットで苦労した経験が、そうした接し方の原点になっているそうです。

今井さん「自分が現場でつまずいてきたからこそ、ただ指示するのではなく、ちゃんと一緒に考えたいと思うんです。それに昔、上長の方から「メンバーは上司の器以上に育たない」という言葉を教えてもらったことがあって。自分ができないことはメンバーにもできないというつもりで、新しい施策や商材もまず自分で試して、現場でプレイしてから伝えるようにしています」

今井さんは現場感覚を保ち続けるために、今でも商談同行に出向く機会を設けているそう。杉本さんというMVP人材が生まれた背景には、納得と実践を地道に積み重ねていく今井さんの「現場主義のマネジメント」があったのです。

この1年を一言で振り返る

最後に、杉本さんと今井さんにこの1年を一言で振り返ってもらいました。

和而不同

杉本さん「1年目から『和而不同(わじふどう)』を掲げて仕事に取り組んできました。和して同ぜず、つまり人と協調しつつも、むやみに同調しないという意味の言葉です。ディップの営業パーソンとして、チームメンバーと同じ方向を向いてはいますが、僕はその中でも、自分なりのやり方で道を切り開くことを大切にしています。この言葉があったからこそ、過去に効果不良と言われたお客様に対しても『自分ならできる』という気持ちで向き合うことができました。

これからの目標は、自分だけでなく周りを巻き込める営業になることです。新卒のときは、自分の数字や業務に精一杯でした。でも2年目になって後輩もできた今、組織にどう貢献できるかを考えるようになりました。今井さんが『こうしよう』と言ったときに、『一緒にやりましょう』と下から支えられる存在でありたいし、今年も表彰されるような成果を出しながら、チームで結果を出せるよう頑張っていきたいです」

ピンチはチャンス

今井さん「ディップのフィロソフィーにもある『ピンチはチャンス』をこの1年で何より大事にしてきました。最後まで諦めずに、逆境を自分の行動でチャンスに変えること。杉本さんはそれをきちんと体現してくれました。

メンバーの成長の機会、すなわち『ピンチとチャンス』を全力でサポートするために、この1年は『傾聴』と『後方支援』を意識して行動しました。以前は自分が前に出て引っ張っていく意識が強かったのですが、今はメンバーやお客様の声をしっかり聞くことを大切にしています。僕の役割は、サッカーで言えばゲームメイカーです。メンバーによいパスを出して、チャンスを作る側でいたいと思っています。

そのためにも、今後はできるだけ僕の登場回数を減らして、メンバー同士のアドバイスや議論が自然と飛び交う、自主性の高い組織を作るのが目標です。杉本さんのように、『こうしたい』という想いを持った次世代が活躍できる環境を作っていきたいですね」

まとめ

杉本さんのあきらめずに挑戦し続ける姿と、メンバーの自主性を引き出す今井さんのマネジメントスタイルに共通しているのは、「一人ひとりに寄り添う」姿勢。

困難があってもピンチはチャンスと捉え、最後まで諦めずにお客様やメンバーに寄り添いつづけることで、信頼関係が生まれ、その先に成果や成長がついてくるのです。

「労働市場における諸課題を解決し、誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会」を目指すディップの歩みは、こうした現場の地道な努力とアイデア、そして熱意から生まれるのかもしれません。