
X Mile株式会社
代表取締役CEO
野呂 寛之 氏
のろ・ひろゆき/物流・建設・製造などノンデスク産業に特化した採用プラットフォーム「クロスワーク」を運営。登録者数は全国100万人超、取引事業者数は30,000社以上。
今、社会的にも大きな注目を集めているノンデスク産業だが、実は求職者の意識にも「ある意外な変化」が起きている。
今回はノンデスク産業向けの採用プラットフォーム「クロスワーク」を運営する、X Mile株式会社 代表取締役CEOの野呂氏にインタビュー。
創業以来、物流・建設・製造といった現場を支える多くの企業様や求職者の方々と向き合ってきた知見と、同社が独自に実施した調査データも交えながら、従来のイメージを覆す「現場職転職のリアル」について話を伺った。
ホワイトカラーの約7割、新卒も条件次第で約8割が「現場職」を視野に入れている
まず、同社が実施した2つの調査を見てみよう。
全国のビジネスパーソン1,000名(オフィス職・現場職 各500名)を対象に調査を行ったところ、オフィス職の約71%が「条件次第で現場職への転職もアリ」と回答した。

就職活動中の学生にも同様の傾向が見られた。現状の志望職種としてはオフィス職が約74%と多数派を占めているものの、そのうちの約75%が「条件次第で現場職を選んでもよい」と回答している。もともと現場職志望の学生と合わせると、最終的に全体の約81.6%が「現場職を視野に入れている」という結果になった。

かつての「3K(きつい・汚い・危険)」というイメージとは裏腹に、現在では中途・新卒問わず、大半の求職者が現場職を前向きな選択肢として捉えている。
では、なぜこのような変化が起きているのだろうか。野呂氏いわく、そこには3つの理由があるという。
理由1:労働環境と給与水準が、着実に改善されている
野呂氏「オフィス職に対して『現場職を選んでもよいと思う条件』を尋ねたところ、『休日や勤務時間などの働き方がよくなるなら』『年収が大きく上がるなら』という回答が上位を占めていました。
求職者が最も重視するこの2つの要素(労働環境・待遇)こそが、法改正や人手不足の影響で今まさに激変しています」
野呂氏「『2024年問題』の影響もあり、長時間労働に依存しない働き方への転換が業界全体で進んでいます。土日休みの企業も増えており、求職者の方からも『現場職なのにしっかりとプライベートの時間を確保できる』というポジティブな声がよく聞かれるようになりました」
野呂氏「米国で話題の『ブルーカラービリオネア(現場職の億万長者)』現象とまではいかなくとも、人手不足を背景に給与水準が上昇している職種は少なくありません。実際、当社の支援実績でも、『オフィス職の一般事務からタクシー運転手に転職し、年収が120万円アップした』という事例が出てきています」
理由2:デスクワークの危機感?「AI代替不安」によるキャリアの再定義
また、生成AIをはじめとするテクノロジーの浸透が進む中、現場職・オフィス職それぞれが感じる「自分の仕事がAIに代替される可能性」を尋ねた調査では、両者の間で明確な意識の差が浮き彫りになっている。

- 現場職: 「ほぼ代替されない(10%未満)」と答えた人が 53%(284人)
- オフィス職: 「ほぼ代替されない」と答えた人はわずか 21.3%(114人)
野呂氏「半数以上が『代替されない』と自信を持つ現場職に対し、オフィス職でそう答えられたのはわずか2割強にとどまっています。
また、AI代替リスクへの不安が『高い』と感じているオフィス職従事者ほど、現場職への転向を前向きに捉えている傾向がわかっています。『自分の業務の8割以上がAIに代替される』と感じている層では、なんと94%が現場職を選択肢として考えているという驚きの結果が出ています」

野呂氏「さらに学生調査でも、就職先選びの基準として『AIに代替されにくい仕事であるか』を重視する学生が4人に1人にのぼりました。AIの社会浸透が進むにつれ、キャリアのリスクの少ない『現場職』の価値が若い世代からも再評価されているようです」

理由3:未経験者を受け入れる企業(体制)が増えた
もうひとつの大きな変化は、企業側の受け入れ体制が変わったことだ。
野呂氏「 私たちが日々採用支援を行う中で、かつては『即戦力のみ』を求める声が大半だったノンデスク産業ですが、最近は『未経験からでも育てる』という方針へ切り替える企業様が確実に増えています。
実際、異業種である『元商社出身者』や『シングルマザー』など、多様なバックグラウンドを持つ人材を採用し、現場の戦力として活躍されている事例がいくつも生まれています。未経験であることを『リスク』ではなく、『白紙に書ける(自社色に染まれる)人材』として前向きに捉える企業様が増えたことは、慢性的な人手不足を乗り越えるための『育成体制』が整いつつある証拠だと言えます」
企業が求職者に伝えていくべき『3つのポイント』
調査結果を振り返ると、ノンデスク産業は必ずしも「人が集まらない業界」ではないことが分かる。むしろ、「時代の変化に合わせた魅力を正しく発信すれば、選ばれる業界」になりつつあると言えるだろう。
野呂氏「今後、企業が求職者に対して届けていくべき『変化のポイント』は、大きく以下の3点です。
- AI代替不安が少ない仕事であること
- 異業種からでも安心して飛び込める、未経験者の育成体制が整っていること
- 休日や給与などの労働環境が改善傾向にあること
ノンデスク産業は、社会インフラを支える使命感と誇りがある仕事です。この意義ある仕事の価値をしっかりと届け、オフィス職と同じように当たり前にキャリアの選択肢として検討できる世界を作っていきたいと私は考えています。
私たちX Mileは、令和元年の創業以来、ノンデスク領域に特化した採用支援を行ってきました。日本を支えるこの領域で働く皆さんの地位向上に、これからも伴走し、貢献し続けていきます。
この業界に関わるすべての方が、誇りを持って長く働き続けられる社会の実現を目指しています」
【参考記事】
ホワイトカラーの7割「条件次第でブルーカラーに転職もアリ」AI代替不安が強い層ほど現場職転向が視野に【オフィス職・現場職1000人調査】(X Mile株式会社、2025年10月)
ブルーカラー就職、条件次第で学生の8割が視野に。AI時代の職業観に変化の兆し。【現役学生500名調査】(X Mile株式会社、2026年4月)
(寄稿・X Mile株式会社)
