
2025年3月11日に実施された「がむしゃら営業から脱却!人材営業の成果を加速する秘訣セミナー」。本セミナーでは「数を打つがむしゃら営業」から、戦略的に成果を出す営業アプローチへの転換について、登壇者それぞれの実体験をもとにトークが展開されました。
人材営業は企業の人手不足という社会課題に向き合う重要な仕事です。しかし、「がむしゃらでハード」といったイメージが根強く残っているのも事実。そんな中で、急速に変化する市場環境に対応するには、効率的かつ戦略的な営業手法が求められています。
かつて「人材業界の営業」として1日に200~300件のテレアポをこなすなど、まさに“がむしゃら営業”を経験してきた、登壇者のエンSX加納氏とフロッグ水野。
そんな二人が、どのようにして“がむしゃら”から抜け出し成果を出せるようになったのか。本記事では、ウェビナーの一部セッションから抜粋し、ダイジェスト形式でご紹介します。
タイトル:がむしゃら営業から脱却!人材営業の成果を加速する秘訣セミナー
開催日:2025年3月11日(火) 11時〜12時
エンSX株式会社
エンSXセールスアナリティクス サービス責任者
加納 誉也氏
株式会社フロッグ
営業統括部長(※イベント開催当時の役職)
水野 純

営業リストは、売上の起点となる非常に重要な要素です。実際に、『営業リスト以上の売上は生まれない』と言われており、リストの質が全体の営業成果に直結すると認識しておくべきです。そして、営業が手作業でリストを作成するのは非常に非効率で、受注から最も遠い作業。その時間を、架電数を増やすための活動や、受注率を上げるための提案に充てる方がはるかに効果的ですよね!


調査によると、約半数の企業が現在の顧客リストを十分に活用できていないというデータがあります(左図)実際、営業担当者の多くは、顧客リストの一部にしかアプローチできていないのが現状です。最近ではリモートワークの普及に伴い、「ひたすら量をこなす」という営業手法では限界を感じている営業担当者も増えてきていますよね。とはいえ、「求人メディアに掲載している企業=すべてが今すぐ狙うべき(HOT)企業」とは限りません。自社のハウスリストや、外部から購入したリストの中にも、優先的にアプローチすべき企業は存在しています。


そこで重要になるのが「戦略的なアプローチリストの設計」です。「戦略」とは「戦いを略す」と書くように、むやみに数を増やすのではなく、アタックすべき“質の高い企業”を定義し、リストを絞り込むことが成果につながります。そのうえで重要なのが【鮮度と精度】です!


人材業界における“新鮮なリスト”とは、「今まさに求人を出している企業」のリストを指します。つまり、「先週は出していなかった求人が、今週新たに出稿されているかどうか」を見ることで、より鮮度の高い情報を把握することができます。求人の掲載URLが前週と重複していないかを確認することで「新たに出稿された求人かどうか」を判断でき、今まさに新規出稿したばかりの企業を見つけ出し、タイミングを逃さずアプローチすることが可能になります。
また「どの求人サイトをチェックすべきか?」という観点では、掲載件数が多いサイトに目が行きがちですが、新着求人に絞って見てみると、実はランキングが大きく変わるケースもあります。求人の“量”ではなく“新しさ”に着目することで、よりホットな企業を効率的にリストアップできるのです。


人材業界の“精度の高いリスト”とはつまり、自社と“相性のいい企業”を絞ったものです。職種やエリア、出稿金額、年収帯など、求人情報や企業データをもとにフィルタリングし、自社にマッチする企業を優先的に抽出していく考え方です。たとえば、エンジニア採用に強い求人広告代理店では、かつて全営業で1日150件の架電を行っていましたが、残業や離職の多さが課題でした。そこで、エンジニア求人を出している企業の「過去半年間の出稿金額」をポテンシャルの指標としてリストを抽出。さらに、出稿金額に応じて営業メンバーを最適配置する戦略も導入。
・高出稿企業にはベテラン営業を優先的にアサイン
・低出稿や非エンジニア求人の企業にはそもそもアプローチしない
と、リストの“精度”と“優先順位”を明確にすることで、営業の集中投下が実現しました。
結果、リスト作成工数の削減+営業活動時間の増加+戦略的営業配置により、売上はほぼ倍増。“精度の高い営業リスト”が成果を左右することを証明する好事例ですね。


人材業界における『営業課題』よくある課題は主にこちらの4つです(左図)この4つの課題から、人材営業は『キツイ、激務』のようなイメージを持たれてしまうんですよね。私自身も15年以上人材業界で営業をやってきているので、このイメージを少しでも払拭し、生産性高く営業に対してやりがいを持つ営業を増やしていきたいと思っています。


テレアポで成果をあげる3つのポイントを最低限押さえておくことで、成果につながりやすくなります。 とはいえ、近年の人材業界におけるテレアポ競争は熾烈を極めています。では、そんな業界で勝っていくためにはどうすればいいのか。
まず取り組みたい1つ目は『声の印象をよくする』こと。 電話営業では視覚情報が使えないため、相手の印象は“声”がすべて。『メラビアンの法則』によると、コミュニケーションで言語が相手に与える影響はわずか7%、一方で聴覚からの影響は38%にもおよぶとされています。つまり『声の印象』を変えることが、いかに重要かが分かります。
改善方法としては、まず“声の印象が良い人”の音声を聞き、その後に自分の声を録音して聞き返してみる。そのうえで、気づいた点をすべて書き出し1つずつ改善していくことで、着実に成果が変わっていきます。


2つ目のポイントはNG質問を避けること。テレアポ時に『採用やっていますか?』『お困りのポジションはありますか?』といった“誘発質問”をしてしまうと、相手に“断る理由”を与えてしまいます。顧客側は営業電話が多く、できるだけ早く切りたいと思っている状態です。そんな中で余計な質問を挟むと、断られる確率が高くなります。キーマンにつながるまでは、ストレートに「アポをください」と伝える方が、成功率は高まります。そして、3つ目は相手の反応を受けて会話を好転させる『応酬話法』を使いこなすこと。テレアポで特に使えるのが「Yes So That」という切り返し話法。顧客のネガティブな回答に対しても「そうだったんですね(Yes)、ちょうどよかったです!(So That)」などの言い回しで相手の言葉を否定せずに会話をつなぐことをクセづけていくようにしましょう。


人材業界の商談には、アポイントを受注に結びつけるための“4つの重要なポイント”があります。その中でも、特に重要なのが『ネックを引き出す』というポイントです。契約上のネックを引き出すためには『ご契約いただけますか?』といった、契約や購入意思を直接確認する質問が非常に有効です。この質問を投げかけたとき、相手がYESであれば契約に進めますし、NOであれば『なぜそう思われましたか?』などと理由を深掘りすることで、ネックを明確にすることができます。ハイパフォーマーはこのプロセスを徹底して実行しています。一方、ローパフォーマーは『ご検討いただけますか?』『ご不明な点はありますか?』といった曖昧な聞き方をしてしまい、『検討します』『質問します』といった反応しか得られず、そのまま失注してしまうケースが多いのです。
さらに、ネックを引き出した後は、4つ目のポイントである『ネクストアクションを明確に決める』が鍵です。ハイパフォーマーは、ネクストアクションを曖昧にせず、具体的な日時や内容までしっかりと決め切ることを意識しています。ぜひ、皆さんの商談もこの4つの観点から振り返ってみてください。

今回のウェビナーは「がむしゃらな営業からの脱却」をテーマに、これからの人材営業に求められる【戦略的な成果の出し方】を考える時間となりました。
営業リストひとつ取っても、量よりも“鮮度×精度”が成果を左右することや、商談では「ネックを引き出す」質問がカギになることなど、参加された方々からも「基本に立ち返ることができた」「体系立てて振り返るいい機会になった」と感想をいただけました。
改めまして、ウェビナーにご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
当日ご参加が難しかった方も、こちらのダイジェストやアーカイブ動画を通じて、日々の業務に少しでもお役立ていただければ幸いです。今後もHRog編集部では、人材業界で活躍される皆さまに向けて、現場で「すぐに使える」ノウハウやリアルな実践事例をお届けしてまいります。
「こんなテーマを取り上げてほしい」などご意見・ご要望がありましたら、ぜひお気軽にお寄せください!