HRog編集長が予測!2023年の人材業界はどうなる?

みなさま、あけましておめでとうございます!2023年が始まりましたね。昨年はコロナ禍の行動制限が緩和され、飲食・宿泊業を中心に求人数の回復が進むなど、人材業界も前向きに進んだ1年となりました。今年はどんな1年になるのでしょうか?

今回は、HRog編集長の菊池が2023年の人材業界を予測します!

2022年の振り返り

ーー2022年は、人材業界にとってどんな1年だったと思いますか?

菊池:2022年を一言でいうと、やはり「コロナ禍からの回復の1年」だったと思います。2020年3月から影響が出始め、5月には求人数が半分程度にまで減りました。そこから徐々に回復をしていったものの、2021年はまだまだ各社苦戦していた印象があります。

しかし2022年に入り、緊急事態宣言や水際対策などの緩和が行われたことにより、回復の遅れていた飲食・宿泊業などでも求人数が戻ってきました。運輸・物流や製造業など立ち直りの早かった業種はさらに求人数を伸ばし、今では各領域でコロナ前以上の水準になってきています。

中でもハイクラス向けの転職サイトや人材紹介は顕著に伸びていますね。全体的な傾向として、年収帯の高い領域ほどコロナによるダメージが少なく、年収帯の低い領域ほど回復に時間がかかっていると言えます。これには、コロナ禍がある程度落ち着いてきて、各社で成長戦略の見通しが立ってきたことが関係しています。コロナを経て生活様式が一変したことにより、企業は新事業・新業態への転換を余儀なくされました。これまでと同じビジネスでは生き残れない。新業態にいち早くフィットできるよう、即戦力人材が必要になっています。

これに伴い、DXの必要性も一気に増しました。新業態の仕組みをつくる人材が不足しているんです。そのため、これまで新卒採用を中心に行っていた企業でも中途人材を採用するようになっています。人材業界ではこの流れを受けて、ハイクラス領域へ注力する企業が多く見られています。

ただ、需給ギャップが発生しているのも事実です。厚労省が発表した2022年11月の有効求人倍率は1.35倍ですが、肌感覚ではそれ以上に採用しにくいと感じている人事の方は多いのではないでしょうか。正社員のみに絞ると、市場はさらに過熱していると言えます。

こうした背景から、企業でも今までと同じ人材の育て方をしていてはダメなのだという意識が生まれてきています。近年、「従業員エンゲージメント」や「リスキリング」という言葉をよく聞きます。採用するだけでなく、既存の社員をいかに定着させ、時代に合ったスキルを身につけてもらうかという方向に考え方がシフトしてきていますね。副業などもこの一環だと考えられます。

ーー2022年、特に注目していたニュースはありますか?

菊池:一つは職業安定法の改正ですね。これにより、これまで誰でも自由に運営できていた求人メディアが届け出制になりました。求人情報と実態の乖離などによるトラブルが増えたことを受け、国が求職者を守ろうと動いたわけですね。これは業界にとって大きな変更でした。

背景には、企業側が求人メディアなどに頼らず自社で採用するようになった「オウンドメディアリクルーティング」の流れがあります。

求人メディアを利用して求人を出す場合には多くの場合チェックが入り、メディアごとの一定の基準をクリアした求人のみが掲載可能となります。しかし、自社の採用ホームページなどでは、禁止事項を知らずに求人を書いている企業などもあり、求人のクオリティが担保されていないわけです。これがトラブルの元になっていたため、求人メディアの届け出制の他にも「的確表示」などの内容を盛り込み、今回の改正が行われました。

もう一つ、最低賃金の引き上げも大きなニュースでした。2022年は30~33円の上昇と、過去最高の引き上げ幅となりました。直近5年で最低賃金の全国加重平均額は82円上がっており、今後も上がっていく見通しです。こうした潮流の中で、企業はより一層「勝てる」事業を作ることを求められそうです。

2023年、人材業界はどうなる?

ーーーズバリ、人材業界の2023年はどんな1年になると思いますか?

菊池:2023年を一言で表すと、「勝ち組がハッキリする1年」になると予想しています。

コロナの出口も見え、求人の需要は引き続き高く、いろいろな形で人材ビジネスへの新規参入も行われています。マーケットが変化しながら成長するなかで求職者、求人企業から選ばれる理由は何なのか?またその強みをどう作り直してフィットさせていくのか?判断が問われる1年になると思います。

先ほど述べた通り、自社採用が増えてきている今、改めて人材会社・人材営業の価値が問われているのだと感じます。ただメディアに掲載するだけであれば、自社で簡単にできる時代。そんな中でどんな付加価値を提供できるかを考えていく必要があるでしょう。

例えば、先ほどの最低賃金の話題。賃上げの動きはこれからも続きますし、近年では「人的資本経営」などの考え方も広まり、従業員の待遇を上げていこうという流れが強まっています。逆に言えば、それが出来ていない企業は今後、採用が難しくなることが考えられるわけです。

この動向を理解した上で、人材業界も企業と一緒に待遇改善に取り組んでいければよいのではないかと考えます。今後はそうした取り組みも人材会社の介在価値として評価され、ブランドの一部になっていくでしょう。

採用課題は企業によって様々です。人事の中にも採用に詳しい人、そうでもない人がいます。これからは量より質の時代。人材営業のみなさんには、個々の悩みに対して人材のプロフェッショナルとしてどう動くか、どうすればクライアントの採用を成功させられるかを考えていっていただきたいですね。

HRogは2023年も人材業界や採用に関する情報をたくさんお届けします!一緒に今年1年を盛り上げていきましょう!