【#07】優秀な人材に社内で長く活躍してもらうためには

成長し続けるミドルベンチャーを支える人事部の挑戦

2019年創業から20期目を迎えたインターネット企業、株式会社インタースペース。アフィリエイトサービス「アクセストレード」を主力事業に2006年9月東証マザーズに上場を果たす。その後、順調に右肩上がりに成長を続け、毎年過去最高売上を更新し続けている。今回HRog編集部では、成長し続けるミドルベンチャーの人事部にスポットを当てた。

田代 弓人 氏
株式会社インタースペース 人事部 サブリーダー

たしろ・ゆみと/前職ではゲームアプリの製作・運営会社にて中途採用担当として従事。2017年に当社に入社し「営業・営業事務・デザイナー」を中心に採用を行う。同社にリファラル採用を普及させたこと、内定承諾率の大幅な引き上げに貢献したことで全社表彰を受ける。採用以外にもオンボーディングの啓蒙や制度企画に従事。

「キャリアチェンジ」といえば、転職を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。しかし、転職以外の方法もある。今回HRog編集部では、社内でキャリアチェンジができる「ISジョブチャレ」制度を導入している、インタースペース人事部の田代氏と、実際に制度を利用してキャリアチェンジをした社員2名に話を聞いた。

社員が社内キャリアチェンジを実現するには心理的安全性の担保

 「ISジョブチャレは、簡単に言うと社内で自身のキャリアを広げることができる制度です」と田代氏。

キャリア選択の幅が広がり続けている今の時代、優秀な社員が社外に出て行ってしまうのを防ぐことは会社の成長に対し重要だと考え、誕生した制度がISジョブチャレである。

「元々社内からの要望があったわけではなかったんです。しかし、人事として『優秀な人材には社内で長く活躍してほしい』という考えは持っていました。そこで、キャリアチェンジを社内で実現できるのであれば会社と社員双方にメリットがあると考え、制度の導入に至りました」

「社員の応募意思が周囲に漏れないよう細心の注意を払っており、制度運用を担当している人事と応募先の上長以外には応募の事実は知らされないようにしています。理由として、異動が実現しなかった場合に周囲のメンバーや現在の上長と気まずい思いをしないようにするためです」

「また、応募者に対しては異動の可否に関わらずフィードバックの時間を設けています。自身が希望する職務に対し、現状のスキルや経験がどう活きるのかや何が不足しているのかを認識することでさらに視座を上げることに繋がると考えています。それもあり、異動が叶わなかったことを理由に退職をしたというケースはありません」

社員が自由に意志を示すためには、組織として心理的安全性を担保することと詳細のフィードバックが重要だ。

社内異動が社員にもたらす効果

内山 貴裕 氏
株式会社TAG STUDIO メディアプランナー
うちやま・たかひろ/2015年新卒入社。3年間、Eコマースジャンルを中心にアフィリエイトメディアへの営業を担当。自身で動画制作などを行った経験から、より幅広い業務を求めISジョブチャレでTAGSTUDIOへ。現在はサイト制作・広告運用などの業務を行う。

五十嵐 千裕 氏
株式会社TAG STUDIO メディアプランナー
いがらし・ちひろ/2016年新卒入社。3年間、人材や格安SIM、ふるさと納税などサービス商材を中心にアフィリエイトメディアへの営業を担当。その後、ISジョブチャレでメディアプランナーとしてキャリアチェンジ。主にSEOのWEB編集を担当している。

株式会社インタースペースの子会社である株式会社TAG STUDIOに異動した内山氏と五十嵐氏は、ISジョブチャレを利用してキャリアチェンジをした。

内山氏は、1年半前にISジョブチャレを利用して子会社に異動した。

「私は元々営業でしたが、業務もある程度納得行くレベルで習得したこともありクリエイティブ要素が高い仕事がしたいと思うようになり転職を検討していました。しかし、ISジョブチャレで希望に近いポジションにチャレンジできると知り応募をしました」

「異動が叶った今では動画編集やWEB制作など、クリエイティブな仕事をしながら、これまでの経験を活かし営業活動にも主体的に取り組んでいます」

五十嵐氏も、営業からメディアプランナーにキャリアチェンジをした一人だ。

「もともと転職は全く考えていなかったのですが、同じ職種を3年間続けていたため何か新しいことがしたいとぼんやり考えていました。そこで、ISジョブチャレなら転職よりも気軽にチャレンジができるという考えもあり応募しました。元々社内で知っている人との面談な上、異動が叶わなかった場合も周囲に知らされることがない事もチャレンジをした一つの理由です」

五十嵐氏は、異動後にTAG STUDIOが運営するアグリゲーションメディア「派遣サーチ」のSEO集客を任された。

「それまではSEO集客をしているサイト運営者に広告を提案する仕事でしたが、逆に今度は自分がSEOを実践する立場になりました。逆の立場になったことで視野が広がりましたし、以前の経験を今の仕事に生かすこともできています。実際にサイトのアクセス数も伸びてきて、自信につながりました」

ISジョブチャレは、個人の能力開発にも一役買っているようだ。

ISジョブチャレ導入後の副次効果

ISジョブチャレを導入したことによる、想定していなかった副次効果はあったのか田代氏に話を伺った。

「ISジョブチャレを導入したことで、社員の意識に変化が現れてきたなとは感じます。全社的に募集要項を公開するため、他部署の状況や何をしているのかを知る機会が増えます。

その結果、社員は自身の業務範囲から得られる情報に限らず視野を広げられています」

「また、グループ内の風通しの良さが垣間見えることもあります。異動決定まで、応募の事実は非公開のルールにしているとお伝えしましたが、応募する事実を先に上長に伝えたいと申し出てエントリーする社員もいます。自らそう動くのは日頃のコミュニケーションや双方の関係値が築けているからでしょう」

インタースペースでは、シャッフルランチなど部署を超えた交流を促す様々な施策を行っており、その施策との相乗効果もあったようだ。

 「部門を超えた交流を増やすことで、社員個々人に知識や経験がたまって、新しい発想も生まれてきます。それは事業にプラスの効果を与えると考えています。今後もISジョブチャレを促進していくことで、会社と社員双方にプラスの影響を与えていきたいです」

(HRog編集部)