
株式会社パソナグループの2025年5月期第3四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすく解説・分析し、業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!
2025年5月期第2四半期
2025年5月期第3四半期(当記事)
2025年5月期第4四半期(2025年7月頃発表予定)
パソナの2025年5月期の第3四半期決算における売上高や純利益の増減率とその要因について、グラフィックで分かりやすく見てみます。

パソナの第3四半期決算における業績を、セグメント別に詳しく解説・分析します。

HRソリューション事業
パソナグループの主要事業であるHRソリューション事業は、以下のサービスを展開しています。
・BPOソリューション(委託・請負)
・エキスパートソリューション(人材派遣)
・キャリアソリューション(人材紹介・再就職支援)
BPOソリューションではサステナビリティ経営を支援する株式会社パソナサステナビリティを設立する等、専門領域での新規受託拡大に取り組んだ一方で大型受託案件のピークアウトが影響し減収減益。エキスパートソリューションもコロナ特需の終了や営業日数の影響で減収減益となりました
キャリアソリューションはハイキャリア領域で安定した需要が継続したことや、再就職支援のニーズが増加したことから、売上高は107億円(前年同期比8.8%増)、営業利益は37億円(前年同期比27.4%増)で増収増益を確保しました。
その他事業
パソナグループでは他にもこれらのソリューションを提供しています。
・グローバルソリューション(海外人材サービス)
・ライフソリューション(子育て支援、介護等)
・地方創生・観光ソリューション
グローバルソリューション事業は、新規採用や処遇改善によって販管費が増加しましたが、アジアや北米での人材需要の高まりや円安効果により売上高は82億円(前年同期比3.9%増)、営業利益は1.8億円(前年同期比63.3%増)となりました。
ライフソリューション事業は、学童クラブや家事代行など自治体向け受託が堅調で増収となったものの、施設数増加に伴う人件費やシステム投資により利益は減少しました。
地方創生・観光ソリューション事業は、インバウンド需要や繁忙期に応じた料金体系の導入により来客数・平均単価が上昇し増収となり、営業利益の赤字幅も前年同期から縮小しました。
2025年5月期の業績予想に変更はなく、売上高は3200億円(前年同期比10.3%減)、純利益は43億円の赤字を見込んでいます。

パソナグループは「アウトソーシングセグメント」を担っていたベネフィット・ワンを売却したことにより、2025年5月期からセグメントを一部変更しています。

その影響により前年同期から売上総利益率は低下していましたが、アウトソーシングセグメントの廃止影響を除いて計算すると粗利率は前年同期比で1.3ポイント改善しました。

大阪・関西万博も4月13日に開幕しました。パソナが出展する「PASONA NATUREVERSE」内の『未来のわたし』展示では、人の動きを遠隔操作で再現する新型リモートロボが展示されており、一人が複数のロボを操作して複数作業を担うなど、人手不足解消や人材派遣コストの削減に期待が集まっています。
日本経済新聞「ロボットを企業に『派遣』 CYBERDYNEとパソナが構想」によれば、共同開発のサイバーダイン社長の山海嘉之氏は「パソナはロボットを派遣する企業になりうる」と発言し、パソナグループ代表の南部靖之氏は「ロボットの派遣を研究するよう社内に指示する」と応じたといいます。
また、同社は決算発表日の4月14日に、創業者である南部代表の退任を発表しました。創業50周年を節目に、次の50年に向けては新体制のもとで新しいパソナグループを築いていって欲しいとの想いから辞任を申し出たとのことです。
6月1日からは岩本博隆氏が代表取締役社長を、8月22日からは岩本氏が代表取締役会長を、中尾慎太郎氏が代表取締役社長を務めます。
パソナグループは、人材サービスの枠を超え、社会課題の解決を見据えた多角的な事業展開を進めています。主力のHRソリューション領域では一部減収となったものの、キャリアソリューションおよびグローバルソリューション事業では前年同期を大きく上回る増収増益が見られました。
そして今期最も象徴的だったのが、創業50周年という節目に創業者の南部氏が退任を発表し、新体制への移行を決断したことです。ベネフィット・ワン売却後の事業再編や次のフェーズに向けた積極的な投資も進む中、長年グループをけん引したリーダーから次世代経営陣へとバトンが渡されることで、次の50年に向けた新たなパソナグループの成長が期待されます。
大阪・関西万博もスタートし、今後さらに注目が集まるパソナグループ。HRog編集部では引き続きその動向を追っていきます!
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2025年5月期第3四半期(当記事)
2025年5月期第4四半期(2025年7月頃発表予定)