日本政府が特区でビザ緩和を決定、外国人留学生の起業を後押し

政府は10月に召集予定の臨時国会で、国家戦力特区法において「国家戦力特区内での、外国人留学生が保有するビザ(査証)を、起業ができる経営管理ビザに切り替えることができる」という改正案を提出しました。

外国人留学生が、日本ですぐに起業できない現在の制度

日本で外国人が起業するためには、「経営管理ビザ」が必要ですが、外国人留学生の場合には、在学中に「留学ビザ」から「経営管理ビザ」に切り替えることはできず、卒業もしくは退学した上で、母国に一時帰国をしてから「経営管理ビザ」を取り直す必要があります。現在の制度では時間と費用がかかってくるため、日本国内で起業する意欲がなくなることが指摘されていました。

増える外国人留学生 起業支援の背景

日本の大学や日本語学校に在籍する外国人留学生は2018年5月1日時点で約29万9千人と過去最高を更新(日本学生支援機構より)。法務省によると「留学ビザ」などから「経営管理ビザ」に切り替えた例は2012年から2017年の5年間で倍増したことがわかっています。

このような起業意欲の高い留学生が増え続けていることから、今回の起業支援を行うことに踏み切った背景があります。

日本で留学生の起業を後押しする狙いとは?

今回の国家戦力特区法の改正案が成立することで、国家戦力特区内であれば、外国人留学生は在学中であっても「留学ビザ」から「経営管理ビザ」に切り替えることが可能となり、起業意欲が生まれたタイミングですぐに取得が可能となります。

政府は、2019年6月に発表した「成長戦略のフォローアップやまち・ひと・しごと創生基本方針」においても留学生の起業支援について盛り込んでおり、日本での起業を後押しする狙いがうかがえます。起業意欲のある留学生が、新たなビジネスモデルを開発するスタートアップ企業を日本各地で生むことによって、今後、地域経済の活性化や雇用創出へと繋がっていく期待が高まっています。

【参照URL】外国人留学生の起業支援 政府、特区でビザ緩和へ