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ハローワークから民間サービスへ?変化する採用市場と、多様化する採用手法を求人ビッグデータで分析

採用難が続くなか、企業の採用手法は大きく変化しています。ハローワークを経由した転職の割合が低下する一方、人材紹介やダイレクトリクルーティングなど、民間サービスの存在感が高まり、採用手法の多様化も進んでいます。

では、実際の求人市場では、どのような変化が起きているのでしょうか。今回は当社が保有する求人ビッグデータを活用し、2023年と2026年の比較に加え、職種・地域別の採用手法を分析しました。最新の採用市場を把握するための参考資料として、ぜひご活用ください。

HRogチャートについて

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トピック

  • ハローワーク経由の転職は2019年から2024年にかけて20.1%から18.2%へ低下する一方、人材紹介など民間サービスの存在感が高まっている
  • 2023年から2026年で採用手法が大きく変化。ハローワークの割合は36.7%から16.9%に低下し、Indeed PLUSが40.7%で最大に
  • ITエンジニアはダイレクトリクルーティングが51.8%、飲食はIndeed PLUSが78.6%など、職種によっても採用手法に大きな違いが見られた
  • 地域によっても採用手法に差が見られ、東京はダイレクトリクルーティングが43.0%、地方圏では現在もハローワークが3割前後を占める

民間サービスの利用が増加!採用手法の変化の背景とは

最初にデータをもとに、採用手法の変化とその背景を見ていきます。

ハローワークの割合が減少!転職者の入職経路

厚生労働省「雇用動向調査」をもとに、コロナ禍前の2019年と直近の2024年の転職入職者の入職経路を比較します。

2019年の転職入職者全体は約541万人で、ハローワーク経由が20.1%(約109万人)、民営職業紹介所が6.0%(約32万人)、広告が30.4%(約164万人)でした。これに対して2024年の転職入職者全体は約492万人で、ハローワーク経由が18.2%(約90万人)、民営職業紹介所が8.4%(約41万人)、広告が32.9%(約162万人)となっています。

5年間で転職入職者全体は、約49万人減少しました。ハローワーク経由は割合が1.9ポイント低下し、人数も約19万人減少しています。一方、民営職業紹介所は割合が2.4ポイント上昇し、人数も約9万人増加しました。広告は割合が2.5ポイント上昇した一方、人数は約2万人減少しています。

こうしたデータから、転職経路におけるハローワークの比重が低下する一方、民営職業紹介所や広告といった民間サービスの存在感が相対的に高まっていることが分かります。

※「ハローワーク経由」は、「職業安定所」と「ハローワークインターネットサービス」の人数を合算して算出しています。割合は、合算後の人数を転職入職者全体で割って算出しています。
※「広告」にはインターネット上の求人情報のほか、求人情報誌なども含まれます。

ハローワークの求人数の変化を解説

ハローワークの求人数について、2019年7月から2026年7月までの推移をグラフにまとめました。

コロナ禍前の2019年7月のピーク時には、求人数が約125万件に達していました。しかし、コロナ禍の2020年6月には約61万件まで半減しました。その後、求人数は回復傾向にあるものの、2026年7月時点では約97万件と、コロナ禍前の水準には戻っていません。 

ハローワークと民間求人サイトの平均月給を解説

ハローワークと民間求人サイトでは、掲載されている求人の給与にどの程度の違いがあるのでしょうか。2019年9月〜2026年7月の約7年間で、それぞれの平均月給がどのように推移しているかを見ていきます。

※民間求人サイトは、doda、type、エン転職、マイナビ転職の4媒体(人材紹介を含む)のデータを集計しています。

ハローワークの平均月給は、2019年9月時点で19万5,615円、2026年7月時点で23万3,392円でした。一方、民間求人サイトの平均月給は、2019年9月時点で25万2,070円、2026年7月時点で29万6,793円です。

どちらも平均月給は右肩上がりで推移していますが、全期間を通じて民間求人サイトがハローワークを大きく上回っています。両者の差額を見ると、2019年9月時点では5万6,455円でしたが、2026年7月には6万3,401円となり、6,946円拡大しました。期間を通して、民間求人サイトが5万〜6万円以上高い水準が続いており、ハローワークでは給与水準の低い企業が利用する傾向があると推察されます。

民間サービスの採用手法も多様化が進んでいる

民間サービスの採用手法についても、変化が見られます。

求人広告以外の選択肢が広がっている

かつての経験者採用では、求人サイトなどに求人情報を掲載し応募を待つ求人広告が中心でした。しかし、人手不足によって人材獲得競争が激しくなり、求人を掲載するだけでは必要な人材を確保しにくくなっています。

また、技術革新や市場環境の変化に伴い、自社にない専門的なスキルや経験を持つ人材を外部から獲得するニーズも高まっています。こうした変化を背景に、人材紹介やダイレクトリクルーティングなど、採用手法の選択肢が広がっています。

これらの手法は、仕組みだけでなく料金体系やコストのかかり方も異なります。求人広告は、掲載期間に応じて料金を支払う「前課金型」が一般的で、採用の成否にかかわらず費用が発生する仕組みです。一方、何人採用しても掲載料は変わらないため、採用人数が多いほど1人あたりの採用単価を抑えやすくなります。

人材紹介は、採用が決まった時点で料金が発生する「成功報酬型」が中心です。採用に至るまで費用がかからないため利用のハードルは低いものの、紹介手数料は採用者の年収の35%程度が相場とされ、1人あたりの採用コストは高めになります。そのため、ハイレイヤーや専門職など、コストをかけてでも採用したい人材の獲得に活用される傾向があります。

ダイレクトリクルーティングは、企業がデータベースから候補者を探して直接アプローチする手法です。サービスによっては定額料金や初期費用などが発生するほか、企業自身がスカウトを送る場合には担当者の工数もかかります。一方、求める人材へ直接アプローチできる点がメリットで、コストや工数をかけて積極的に人材を獲得したい企業に向いている手法です。

このため、採用人数や求めるスキル・経験、採用難易度に加え、費用が発生するタイミングや1人あたりの採用コスト、採用にかかる工数なども、採用手法を選ぶ基準となっています。

2024年に登場したIndeed PLUSが転機に

さらにリクルート社が運営する求人媒体を見ると、2024年1月にスタートした「Indeed PLUS」の登場を境に、求人の出稿方法が大きく変化しています。 

Indeed PLUS開始前のリクナビNEXT・タウンワーク・フロムエー・リクナビ派遣の求人件数は、2019年7月の合計122万9,463件から、コロナ禍の2020年7月には65万7,825件まで減少しました。その後は回復したものの、2023年7月は125万5,529件と、コロナ前と同等の水準に戻るにとどまっています。

2024年にIndeed PLUSがスタートすると、リクルート社が運営する媒体では、従来の掲載課金型の求人広告から、Indeed PLUSを通じて複数の連携求人サイトへ求人を配信するクリック課金型の仕組みへの移行が進みました。2026年7月のIndeed PLUSの求人件数は、正社員141万5,953件、アルバイト59万8,287件、派遣168万5,282件の合計369万9,522件に達しています。2023年7月のリクルート社の主要媒体の合計125万5,529件と比較すると、約3倍の規模です。※

こうした求人件数の増加には、Indeed PLUSへの移行に伴う料金体系の変化も影響していると考えられます。従来の掲載課金型では、採用の成否にかかわらず掲載時に費用が発生していました。一方、Indeed PLUSでは、求人がクリックされた分だけ費用が発生するクリック課金型が採用されています。こうした仕組みによって求人を出稿するハードルが下がったことも、求人件数が増加した背景の一つと考えられます。

人材紹介やダイレクトリクルーティングなどに加え、求人広告でも新たな出稿方法が広がり、企業が選択できる採用手法はさらに多様化しているといえるでしょう。

※2026年の数値には、リクルート社以外が運営するIndeed PLUS対応媒体も含まれるため、2023年以前とは集計対象が一部異なります。

実際のデータで見る採用手法の変化

次に実際の求人データをもとに、正社員の採用手法がどのように変化したのかを見ていきます。

2023年7月と2026年7月の採用手法を比較

採用手法別の求人件数の割合を見ると、Indeed PLUSが始まる前の2023年7月と2026年7月では、その構成が大きく変化しています。2023年7月は、ハローワークが36.7%と最も高く、ダイレクトリクルーティングの32.1%、人材紹介の28.0%を上回っていました。

一方、2026年7月はIndeed PLUSが40.7%と最も高く、次いでダイレクトリクルーティングが24.5%、人材紹介が17.1%、ハローワークが16.9%となっています。Indeed PLUSの登場によって採用手法の構成が大きく変わり、Indeed PLUSやダイレクトリクルーティング、人材紹介といった民間の採用サービスの存在感が高まっていることが分かります。

背景には、人口減少や人手不足があります。人材の確保が難しくなるなか、無料で利用できるハローワークや前課金型で利用する求人広告で応募を待つだけでなく、企業側から候補者へ直接アプローチするダイレクトリクルーティングや、コストをかけて人材紹介を利用する動きが広がっていると考えられます。採用に手間や費用をかけて、必要な人材を積極的に獲得しようとする企業の姿勢が、採用手法の構成にも表れているといえるでしょう。

また、従来型の求人広告の割合は2023年7月の時点で3.2%と低く、2026年7月には0.8%へとさらに縮小しました。従来型の求人広告の多くは掲載料を前払いする仕組みであり、採用できなかった場合でも費用が発生します。特に正社員採用は、大量採用を行うことも多いアルバイトと比べて1人あたりの採用単価が高くなりやすく、企業にとって費用面の負担も大きくなります。加えて、リクナビNEXTが従来型の求人広告からIndeed PLUSへ移行したことも、求人広告の割合が低下した大きな要因のひとつといえるでしょう。

職種別の採用手法の違いについて解説

続いて2026年7月時点のデータを職種別に比較すると、採用手法の構成にはそれぞれ異なる特徴が見られます。

特に特徴的なのがITエンジニアです。ダイレクトリクルーティングが全体の51.8%と半数を超え、Indeed PLUSの19.3%、人材紹介の23.1%を大きく上回っています。採用難易度が高く、求めるスキルも明確なため、企業側から条件に合う人材へ直接アプローチできるダイレクトリクルーティングとの相性が良いと考えられます。

一方、営業/事務や製造/工場では、いずれもIndeed PLUS、ダイレクトリクルーティング、人材紹介の割合に大きな偏りはなく、特定の手法が半数を超えるITエンジニアとは異なり、複数の採用手法が活用されていることがわかります。

また、飲食ではIndeed PLUSが全体の78.6%を占め、今回比較した職種のなかでも最も高い割合となりました。多店舗を運営し、多くの人材を採用する企業も多いことから、採用活動の効率化やコストを重視し、Indeed PLUSを活用する傾向が強いと考えられます。

これに対して公務員/団体職員では、ハローワークが37.8%と最も高くなっています。Indeed PLUSは14.2%、ダイレクトリクルーティングは5.7%にとどまっており、ほかの職種と比較して、民間の採用サービスよりもハローワークの利用が多い傾向にあります。

地域差はどれくらい?エリア別の採用手法を比較

最後に2026年7月時点のデータを地域別に比較すると、採用手法の構成はエリアごとに異なる特徴が見られました。

特に特徴的なのが東京です。ダイレクトリクルーティングが43.0%と最も高く、人材紹介も20.7%を占める一方、ハローワークは5.5%にとどまっています。IT企業や大企業の本社などが集まり、ホワイトカラーや専門職の求人も多いことから、求める人材へ直接アプローチできるダイレクトリクルーティングや、専門性の高い人材の採用に強みを持つ人材紹介が活用されていると考えられます。

一方、地方圏ではハローワークの割合が3割程度と高く、九州・沖縄で30.3%、中国・四国で30.1%、北海道・東北で28.4%を占めています。地方では中小企業も多く、無料で利用でき、地域の求職者にアプローチできるハローワークが、現在も重要な採用手段となっていることがうかがえます。

また東京を除く多くのエリアではIndeed PLUSの割合も高く、関東(東京以外)では52.0%、近畿では45.9%、中部では45.2%と、それぞれ最も高い割合を占めました。クリック課金型で予算を調整しやすく、掲載料を前払いする従来型の求人広告と比べて、採用に至らなかった場合の費用負担を抑えやすいことも、幅広い地域で活用されている背景の一つと考えられます。

まとめ

今回は当社が保有する求人データを活用し、2023年と2026年の比較や、職種・地域別のデータから採用手法の変化を調査しました。

全体を見ると、ハローワークの割合が低下する一方、Indeed PLUSやダイレクトリクルーティング、人材紹介など、民間の採用サービスの存在感が高まっています。背景には、人手不足が深刻化するなか、求人広告を掲載して応募を待つだけではなく、手間をかけて候補者へ直接アプローチするダイレクトリクルーティングや、コストをかけて人材紹介を利用するなど、より積極的な「攻めの採用」が求められていることがうかがえます。

Indeed PLUSの登場によって採用手法はさらに多様化し、人事・採用担当者が選べる手段も増えてきました。採用手法は時代とともに変化しているからこそ、最新のデータから動向を把握し、自社に適した手法を選択していくことが重要です。

調査概要

当社が収集した「ハローワーク」「マイナビスカウティング」「AMBI」「エンミドルの転職」「doda」「エン転職」「マイナビ転職」「type」「リクナビNEXT」「リクルートエージェント」「IndeedPLUS(正社員)※」に掲載の求人媒体より、「正社員」の求人情報を抽出し、集計した。

※Indeed PLUS連携サイトより雇用形態が「正社員」で掲載されている求人を合算

<集計対象期間>
2019年7月1日~2026年7月6日
※各月第一月曜日を抽出

<平均月給の計算方法について>
求人情報の給与項目内にある給与情報を数値に変換し、月給の下限金額を合算して平均値を算出した。

<職種分類について>
複数の求人媒体の情報をまたいで集計するため、媒体記載の職種カテゴリーを使用せず、独自のキーワードマッピング処理に基づいた業種・職種カテゴリーを使用して求人情報を分類・集計した。

<都道府県・市区町村について>
求人情報の勤務地情報を取得し集計をおこなった。1求人に対して2つ以上の勤務地都道府県が紐づいている場合、最初に記載されている都道府県を採用した。

<採用手法の分類について>
それぞれ下記の分類にて媒体を選定。1企業が複数の求人を出稿している場合も、重複は削除せずに集計した。

・ハローワーク:「ハローワーク」
・ダイレクトリクルーティング:「マイナビスカウティング」「AMBI」「エンミドルの転職」
・人材紹介:「doda」「エン転職」「マイナビ転職」※1「type」「リクルートエージェント」
・求人広告:「doda」「エン転職」「マイナビ転職」「リクナビNEXT ※2」
・Indeed PLUS:「IndeedPLUS(正社員)」

※1 「doda」「エン転職」「マイナビ転職」については、それぞれ人材紹介案件と求人広告案件を分けて算出
※2 「リクナビNEXT」については、従来の求人広告型の掲載のみを算出

HRogチャートについて

今回の調査で使用したように、「HRogチャート」では様々な求人媒体の求人データを横断して、媒体・地域・職種など様々な軸で集計できます。時給だけでなく、求人数や広告出稿金額なども調査することが可能です。

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(執筆:川瀬ゆう)