【人材派遣営業MVP特集#01】『褒める・認める・励ます』 4ヶ月で支店の売上を倍にしたマネジメント心得とは|ウィルオブ・ワーク・小濃義広氏

株式会社ウィルオブ・ワーク
ファクトリーアウトソーシング事業部 戦略推進部 マネージャー
小濃 義広 氏
おのう・よしひろ/人材派遣会社にて3年経験後、半導体企業で現場管理者として派遣と請負の管理を12年経験。東日本大震災にて関東への引っ越しをきっかけに前職で培ったノウハウを活かすべく、2015年9月に株式会社ウィルオブ・ワーク(旧エフエージェイ)に入社。外国人留学生等の導入プランの考案や管理サポート業務を現場にて経験し、現在は戦略推進部マネージャーとして西日本全域の営業を指揮している。

人材派遣営業MVP特集

大きな組織成長の裏には、それを支えるハイパフォーマー営業の存在がある。人材派遣会社で働くハイパフォーマーたちの共通点とは何なのだろうか。本特集では人材派遣企業各社のMVP受賞者にスポットをあて、彼らのストーリーから活躍の秘訣を紐解いていく。

人材派遣営業のMVP特集の第一回目は、業種・職種に特化した人材サービスを手掛ける株式会社ウィルオブ・ワークの小濃義広氏を取り上げる。東日本大震災を機に同社へ転職後、神奈川支店長時代の功績が認められMVPを獲得。その後、挫折を乗り越え、営業リーダーなどを経験し、現在は西日本のエリアマネージャーとして活躍している。そんな小濃氏に、業務に取り組む上での工夫やマインドをうかがった。

顧客の課題に寄り添った提案で、売上が約4ヶ月で倍に

入社当時はコーディネーターとして、求職者と企業とをつなぐ仕事に従事していた小濃氏だったが、約1年半後に異動となり神奈川支店長に就任した。

「私が着任した当時の神奈川支店は、売上が底を突くぐらい低下していました。そのような中、着任して早々に、とあるお客様から『派遣社員を雇用するのが難しくなった』という理由で、取引をやめたいというお話があったんです。大口のお客様でしたし、経営上の課題感も聞いていたので、我々も何か別の方法で対応できないかと考えて『業務請負』を提案しました。業務請負の提案は当時の神奈川支店メンバーとして初の試みでしたが、それが顧客の課題にマッチし、無事問題を解決できました。さらにはこれが自信となり、支店メンバー全員が各担当顧客に対して様々なチャレンジ提案ができる様になりました。このような働きかけにより売上が順調に伸び、着任当時と比較すると、ほぼ倍の売上にまで成長させることができたんです。後にMVPがもらえたのも、この成功が認められたからだと思います」

神奈川支店初の業務請負を提案し、見事ロールモデルを確立させた一方で、人材派遣とは異なる面も多く、苦労したことも多かったと小濃氏は続ける。

「業務請負の特徴として、働く人材は企業ではなく我々が雇用します。なかなか人数が集まらず、外国人留学生を300名ほど雇用したのですが、その管理が何より大変でした。出勤予定じゃない人が来たり、それとは反対に出勤予定の人が来なかったりするのです。このようなトラブルに対応するためには現場リーダーの力が必要になりますが、リーダーの採用もうまくいかず、採用できてもすぐに辞めてしまうなど、とにかく管理者が足りていませんでした。当時は、とにかくガムシャラに働いていましたね」

さまざまな困難やトラブルに直面するなか、小濃氏はどのような行動に出たのだろうか。

「これは自分だけでは解決できない問題だと思い、上長に相談して全国から人を集めてもらいました。それと同時に、自分では『なぜ採用しても辞めてしまうのか』という点をじっくり考え、同僚や部下と一緒にさまざまなアプローチをして改善を進めていきました。

改善策としては、まず300人のスタッフ一人ひとりに、都度シフトの確認をしました。また出勤曜日や時間を固定することでややこしさを軽減し、ネームプレートにも時間を記載することで『この日のこの時間から出勤する』ということが本人も一目で分かるようにしました。ネームプレートは時間によって色分けされているので、管理者からも視覚的に把握できるようになっており、管理工数の削減に成功しました」

小濃氏は課題を分析し、自分ひとりで全てを解決するのではなく、上長や部下、同僚に頼りながら解決策を探っていった。その結果、支店長となるのは初めてだったにも関わらず、売上計画を大幅に超えて達成できたのだ。この経験は小濃氏に大きな達成感と自信をもたらし、その後の活躍の糧となっている。

「それまでは正直、他の支店長と自分を比べてしまい、自信を持てないでいました。しかし、神奈川支店全員で設定した目標をちゃんと達成したことで、自分がやっていたことは間違ってなかったと思えたのです。自信がついたことで、マネジメントや数字周りなどの自分の弱点にも向き合えるようになり、新たな勉強を始められたことも良かったと感じています」

「褒める」「認める」「励ます」を心に業務に邁進

さまざまな業務経験を積んできた小濃氏だが、どのようなマインドを持って日々仕事に臨んでいるのだろうか。尋ねたところ、20年間大切にしている3つのマインドを教えてくれた。

「『褒める、認める、励ます』という3つの行動を、20年以上大切にし続けています。これは以前、派遣社員として働いていた時に人から教えてもらった言葉です。260人程度の派遣社員をまとめるグループ長をやらせてもらった時期があったのですが、当時の私は若かったこともあり、すごく尖っていました。グループをまとめるために、部下に対してとにかく厳しく接してしまいがちだったのです。

そんなとき、派遣会社の顧問の方に、『人を褒めて、認めて、励ませるような気持ちを持って部下に接することができたら、君はもっともっとすごくなれる』と言われました。当時はパワハラという言葉もまだ存在していないような時代だったので、この言葉を聞いたとき、雷に打たれたような衝撃があったのを今でも覚えています」

顧問の言葉を素直に聞き入れ、その日からはとにかく怒らないように心掛けた。言いたいことは、怒る代わりに『褒める、認める、励ます』という形で伝える。そうしたところ、それまで上手く捌ききれていなかった260人をしっかりとまとめられるようになったという。この成功体験をもとに、今でも小濃氏は『褒める、認める、励ます』を常に心掛けている。

人材会社のプロとして、自走できるチーム作りを目指す

このときだけではなく、ウィルオブ・ワークに入社してからも上司に恵まれていると話す小濃氏。自分が成長できたのは環境のおかげも大きいと考えている。

「弊社は、上司がしっかり責任を持ってくれるという点において本当に心強いです。『強みを伸ばしつつ、弱点も克服しなさい』と求めることは、人材育成の場では普通のことだと思います。しかし私の上司は、『弱点は放置していいから、強みだけを死ぬほどやってくれ』というアプローチをかけてくれるんです。部下一人一人に対して強い信頼を持ってくれて、足りない部分は上司が責任をもって巻き取ってくれるという所は、この会社の素晴らしいところだと思います」

小濃氏は、現在は営業戦略推進部に所属し、東海から九州までを管轄するエリアマネージャーとして活躍している。西日本地域を広く見据える立場としての、今後の抱負を伺った。

「シンプルですが、私が担当している西日本エリアを今期必ず計画達成に乗せます。具体的には外国人特定技能や技能実習生のオーダー数の達成ですね。新しい提案はなかなか説明が難しく、また営業自身にバイアスがかかっていることも多いので、まずは私自身が営業に同行して、見て覚えてもらおうと思っています。

また、私がずっと理想として掲げていることとして、『プロとして、一人一人が自走できるチーム』というものがあります。社内メンバーにはもちろん得意不得意がありますが、それは顧客企業や派遣スタッフの方々にとっては全く関係ないことです。当然、皆さんは我々全員がプロだという認識で関わってきますよね。その時にしっかりプロとして振る舞えるよう、一人ひとりが自走力を付けて対応できるチームを作っていきたいと思っています」