【先端テクノロジー人材採用#07】特定分野の動向分析「機械/電気/組込み系」データ分析から読み解く、これからの採用戦略。

母集団は築けない。先端・専門テクノロジー領域の人材採用特集

AIやVR/AR、アバター、ドローン、Fintechという今話題のキーワード。最先端テクノロジーをメディアで見る機会は多くなりましたが、採用マーケットにおいてその経験者はほぼいないでしょう。母集団を作ることが難しい状況で企業はどのように採用していけばいいのでしょうか。本特集では、先端・専門領域の採用にフォーカスし、実情を掘り下げていきます。

事業成長に伴い、各社では採用計画が立案されています。「さあ、人材を採用しよう」そうなった際に、戦略として練られるのはチャネル戦略だけのケースが非常に多いです。どの媒体?どこの紹介会社?肝心な、どんなポジションの人材で、どれくらいの年収レンジなのか。というのは自社データしかありません。

今回は、アスタミューゼ転職ナビに登録された直近6ヵ月の登録者約5,000名の情報を分析した結果をもとに、データドリブンな採用戦略の提案をサポートするきっかけをお届けします。

【技術職限定】役職×年代の登用比率

まず最初に、「どのポジションで採用」するのか「どの年代の方を採用」するのか。といったことを検討する際に利用するデータです。

「なかなか採用ができない」という声が多いのは、そもそもターゲット人材が存在しない、または絶対数が少ない。そんなゾーンにアプローチしている可能性があります。

下記データを参考にすると、技術系人材で中途採用においてアプローチしやすいゾーンが明確になっています。技術系人材を採用する為のアプローチチャネルや、アプローチメッセージは、ターゲット訴求できる仕様になっているか。いま一度確認する必要があります。

図1 ※アスタミューゼ転職ナビ登録者分析から、ターゲット設定しやすい年齢×ポジションをカラー。

【技術系限定】役職×年代での平均年収

続いてのデータは、先ほどのデータに平均年収のパラメーターを付与したものになります。こちらも、中途採用において獲得予算の参考になる数値かと思います。

せっかく、アプローチゾーンに訴求できていても、各転職希望者の年収ゾーンを知らなければ、戦略を立てることはできません。

  • 前職給与を大きく上回る予算を使い、採用するのか。
  • 前職給与を保証し、採用するのか。
  • 前職給与を基準とせず、自社基準により採用するのか。

採用手法によりアプローチは変化します。どこに自社の魅力を持たせ、「応募したい」と思ってもらえるか。戦略的採用アプローチは、このようなデータ分析から導き出すことができます。

図2 ※図1のターゲット設定における、年収分布。

【技術系限定】学歴×年代別の年収分布と、年収の中央値

ポジション、年代、年収、とアプローチポイントを明確にしたら、実際に採用メッセージをどう構築していくかというフェーズに移行します。その中でも、プレイヤーフェーズを必要としているか、マネジメントフェーズを必要としているか、また様々です。

そこで、学歴の要素をデータに加え、バブルチャートにした所、興味深い結果になりました。縦軸に年収、横軸に役職のパラメーターを付与した所、

大学卒以上では、年齢を重ねると共に役職、年収が上がる傾向があり、熟練のプレイヤーフェーズ層は減少していく傾向にあります。一方、高専卒では、年齢を重ねると共に二極化していく傾向があり、短大卒以下では、プレイヤーフェーズ層に比率が集まる傾向があります。

この学歴別のフェーズ移行も採用戦略に盛り込むことにより、一元的に「大学卒以上」という戦略は、採用確度を押し下げる結果になることがわかります。

まとめ:リーチポイントを見極め、戦略構築をすることが重要

やみくもに、メディア露出をしたり、紹介会社を増やすだけでは、技術系人材の採用は困難を極めます。ポジション・年代・年収・学歴から、アプローチメッセージを明確にし、事業戦略と照らし合わせた提案が必要になります。

編集後記

アスタミューゼ株式会社の嶋崎です。最後までご覧いただき御礼申し上げます。

全7回に渡り、弊社「アスタミューゼ転職ナビ」のデータを元にお送りしてきた「先端テクノロジー人材採用特集」いかがでしたでしょうか。インダストリー4.0の時代。IoTやロボティクス、AI、Fintechと次々に新しいテクノロジーが世に出てきます。新規事業の企画や、既存事業のアップデートで、技術系人材の採用を加速する企業や、新たに参入する企業が増えてくると思います。

そんな希少人材はマーケットにいない。我々、採用を支援する側がそんなことを思っては採用できません。人材は間違いなく、存在します。ただ、どんな人材を採用していくのか。それは一般総合職の採用戦略と一緒にしてしまうと、困難を極めます。

日本のモノづくりをこれからも支え続ける技術系人材の採用は、これからの日本の経済成長にも大きく寄与してきます。採用業界を是非一緒に盛り上げられたらうれしいです。

最後に、長期にわたり取材・記事出稿にご協力いただいたHRog編集部のみなさま、本当にありがとうございました。

アスタミューゼ株式会社
執行役員 事業推進本部 本部長
嶋崎 真太郎

(HRog編集部)