ゼロから始める!採用ブランディングからクロージングまで、効果のあがる採用プロセスの構築方法を公開。

special20170630

今回の記事は、株式会社Potentialight(ポテンシャライト)代表取締役の山根一城氏より寄稿いただきました。

株式会社Potentialight 代表取締役 山根一城(やまね かずき)氏
2008年に株式会社ネオキャリアに入社後、人材紹介事業部に4年従事。その後、IT/インターネット/ゲーム業界に特化した人材紹介会社の立ち上げに参画し、2014年に同社取締役に就任。2017年4月に株式会社Potentialight創業。700以上の企業を担当、4,000人以上のキャリアカウンセリングを実施し、転職先支援実績数は600人以上。転職媒体主催のキャリアカウンセラーランキングでは3000人中1位を記録。

母集団形成からクロージングまで、一連の採用プロセスを効果的に行って結果につなげていく方法を、全3回でお伝えします。

初めて採用業務にたずさわる人から、採用プロセスを見直しているベテラン人事担当者まで、ぜひ参考にしてください!

  • 第1回: 欲しい人を集める!採用における自社ブランドを設計するには。
  • 第2回: カイゼンし効果をあげつづける!「検証」を軸にしたオペレーティング設計。
  • 第3回: 欲しい人を逃さない!承諾率をあげるクロージングのコツ。

初めまして。Potentialightの山根と申します。
私は、エージェント業を約10年弱行なっておりまして、採用コンサルティング営業、キャリアカウンセラー、求職者様の集客の全業務を行なって参りました。
その経験を元に、効果のあがる採用プロセスの構築方法をお伝えします。

第1回目は、”マッチ”した人材を”多く”集めるために重要な「採用ブランディング」の構築方法についてお話しします。

採用ブランディングがなぜ重要なのか?

皆様ご認識を頂いているかと思いますが、直近の有効求人倍率が「1.5倍」まで上昇致しました。ちなみに僕が人材紹介を始めた2008年は「0.77倍」でしたので約2倍になってきています。

また、doda様が毎月発表をしております「転職求人倍率」という数字があるのですが、IT/インターネット業界の転職求人倍率は「6.13倍」です。

※転職求人倍率:dodaエージェントサービスの登録者1名に対して、中途採用の求人が何件あるかを算出した数値

6.13倍、採用企業6社が求職者1名を採りあうイメージです。
6社中1社に選ばれなければなりません。

リーマンショック前後の採用活動においては、採用企業様も「待ち」の採用でも成果がでていたのが、今は「攻め」の採用にシフトしなければ採用活動はうまくいきません。
より具体的に言えば、「自社の魅力」を「積極的にPR」して、求職者に訴求し続けていくことが非常に重要になります。
この戦いの魅力をPRしていくための軸になるのが、「採用ブランディング」になります。

採用ブランディングは、

  • 自社をどうブランディングしていくのか
  • 何を重点的に自社の魅力を打ち出していくのか

の2つの問いを軸に、構築していくことになります。
と言葉で言うのは簡単ですが、ブランディングの構築は一筋縄ではいきません。

採用支援をしている企業さんからも、

「当社は魅力・特徴が打ち出しにくいのです」
「競合他社との違いを打ち出しにくいのです」

という言葉をよく耳にしていました。
個人でもそうですが、法人も「自分自身の魅力」を理解するのは難しいことです。
そこで、500社以上の採用ブランディング構築にたずさわった経験を活かし、魅力を考えるためのフレームワークを構築しました。

採用ブランディング設計のフレームワーク

ブランディング構築支援の経験、また、ブランディングが成功している企業のPR内容を紐解いていくと、企業の魅力をあらわす特徴は「15の要素」に当てはまることがわかります。

【企業の魅力をあらわす15の特徴】

  • (1)設立背景
  • (2)社長の想い
  • (3)社長の経歴
  • (4)社名の由来
  • (5)役員・社員の特徴(実体験談)
  • (6)事業に特徴か?あるor競合他社か?いない
  • (7)事業の多面性を打ち出す
  • (8)競合他社と明確に違いか?ある
  • (9)取引先に特徴か?ある企業
  • (10)ビジネスモデル
  • (11)事業方針
  • (12)福利厚生
  • (13)社風
  • (14)プロジェクトX(過去の失敗を改善⇒躍進)
  • (15)調子良いように見えて実態は堅実な企業

これらの要素は、さらに5つの大きなカテゴリに分類できます。

【5つのカテゴリ】

(1)「人」に特徴がある場合

  • ー設立背景
  • ー社長の想い
  • ー社長の経歴
  • ー社名の由来
  • ー役員・社員の特徴

(2)「事業」に特徴がある場合

  • ー競合他社があまりおらず、事業内容そのものが特徴になる
  • ー事業の多面性を打ち出す
  • ー取引先に特徴がある

(3)「ビジネスモデル」に特徴がある場合

  • ー特異なビジネスモデルを持っている
  • ー事業方針が他社と異なる

(4)「福利厚生」に特徴がある場合

  • ー面白い福利厚生がある
  • ー特殊な社風

(5)自社のストーリーを作れる場合

  • ープロジェクトX(過去の失敗を改善⇒躍進)
  • ー調子が良いように見えて実態は堅実な企業

これらの要素をいくつか組み合わせることで、自社の魅力、ブランドを構築することができます。
いくつかの例を見てみましょう。

あるゲーム企業様の話です。

その企業様は数百名のゲーム企業様になりますが、2011年頃のソーシャルゲームバブルで売上を一気に伸ばし急成長をしました。ただ、クオリティを求められるスマートフォンのネイティブアプリに市場の軸足が移ってきた際に序々に売上が芳しくない状態に。

ただ、あるIPのゲームが大ヒットし会社は好調になりました。ゲームが大ヒットしたという事実がすごいのではなく、このゲームは「顧客満足度が高いゲームランキング」で1位を獲得したのです。App storeやGoogle playでランキングが高いゲームは基本的には課金をしつつ進めていくゲームですが、同社のゲームは課金を急かすことなく進めることができるゲームで顧客からの満足度が非常に高い。

且つこのゲームのヘビーユーザーである方は今まで無課金でゲームをプレイしているほど。

ここ最近リリースされるゲームは「いかに課金させるか」という視点があるゲームも多いですが、同社はそうではなく「顧客満足度をいかに上げていくか」という視点でゲームを作っておりこの会社の文化はすごく良いと思っています。

あるネット系企業様の話です。

10年ほど前にすごく成長をされていた企業様で、僕は当時人材紹介会社としてその企業様を担当していたのですが、企業様が好調であることもあり人事担当の方がそこそこ上からなお方だったのです。僕もその企業様が好きになれなかったりしていました。

ただ、トレンドも変わってきて同社が運営しているサービスは下降線を辿り売上は序々に下がっていきました。下がるところまで下がり、ただあるサービスをリリースしてから売上が大幅に上昇をしてきたのです。

その際に僕は本音ベースで言うと、「この企業様、また上からくるのかな」と思いました。ただその当時コミュニケーションを取った際にものすごく謙虚なんです。え、何この謙虚さは。と思ったのですが思い切って聞いてみました。「少し会社としての雰囲気(対応)変わられました?」と。するとこういった返答がきました。「会社が下降してしまった時、謙虚さが足りなかった。また同じようなことにならないように謙虚さを大事にしているんです」とのこと。

あ、この企業様変わったんだな!世間的には物凄く儲かっている企業様と見えているのですが社内は謙虚な雰囲気なんだな。と感じました。

あるWeb系の企業様の話です。

約10年前頃、激務であることは業界の中では知れ渡っており、エージェントとして働いている私としてもその企業様を紹介すると、「この企業様は激務なので紹介しないでください」と言われてしまうほど。どうにか改善できないかな、と思っていました。

その企業様は求職者様からそういった目線で見られてしまっていることを理解されており、改善に勤しみました。少し期間は要しましたが現状は当時の平均残業時間の半分以下に収めることができ、且つ研修制度も50以上準備。また女性の産休復帰率も非常に高く、その業界の中では働きやすい企業に変化を遂げたのです!

直近その企業は働きやすい企業様として認識されていますが、働きやすい、逆に激務である、というのは事実に過ぎないのですが、僕が感銘を受けたのは、「世間からそういった見られ方をしている。では改善しよう」と、社員数がすごく多いのにも関わらず会社全体を巻き込んで改善をしたことです。
会社は生き物ですのでまた異なる壁にぶつかると思うのですが、そうなった時にスムーズに改善できる素養がある企業様なんだな、って思いました。

大手企業様の話です。

その企業様は非IT業界の企業様でした。それ故エンジニアは一人もおらず僕の知人がエンジニア第一号として入社。その方は他ネット企業で非常に活躍をされており、正直なぜその企業様に入社するのか?と疑問に思ったほど優秀な方でした。

その方とは前職、前々職の頃から仲良くさせて頂いており、なぜその企業様を選択したのか聞いてみました。

すると、「ネット系有名企業からのオファーは多数ありました。ただ、ネット系企業を選ぶと今までと一緒ですし、何より「裁量権」を与えられるとは言っても自分が好きに開発できるわけではない。であれば非IT業界のこの企業に入社して、自分が会社自体をエンジニアリング企業としてブランディングしていったほうが面白いのではないか、そう思ったんです」と仰っていました。

確かにその通りだな、と。ベンチャーに入る理由って「裁量権」とよく仰ってる方がいらっしゃるのですが、本質的にはその方にとって砂漠のような環境に飛び込んだほうが見える景色がありますよね。そういった面白い企業様なんです、とその企業様の話は一切せずに一人のキーパーソンの話だけするパターンもあります。

いかがでしたでしょうか?

自社の沿革や社員の想い、福利厚生制度の設立目的などに目を向けることで、その会社独自の、ブランディングの要素になる事柄が見つかると思います。

採用環境が激化していくなかで、求職者を集め続けるためには「自社がなにものであるか=採用ブランディング」が必要になってきています。
ぜひフレームワークを活用して、自社の魅力を整理して発信してみてください。