【HR Tech特集】「いきなり転職活動はしない」危機意識を持つ20代の転職事情の変化

HR Techの正体にせまる!今話題のHR Techサービス特集

ここ数年ですっかりなじみの言葉となりつつあるHR Tech。「言葉は知っているけれど、その本質は今いち、よく分かっていない…」「日々登場し続けるさまざまなサービスを把握するのは一苦労…」 この記事ではそんな人に向けて、今話題のHR Techサービスを掘り下げてご紹介します!

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[Sponsored by Carat]

株式会社Carat
代表取締役社長
松本 直樹氏

まつもと・なおき/2014年に同志社大学を卒業し、ソフトウェアテスト事業を行うSHIFTに入社。外資系大手SIer案件にてオフショアへのテストアウトソーシングのコンサルティングを行う。 新卒1年目から部署の立ち上げを行い、営業/顧客折衝/提案/プロジェクト管理/予算管理/採用と幅広い業務を経験後、 海外に設立した子会社の立ち上げ支援を行う。

2017年8月、AIリクルーティングサービス『GLIT』がリリースされた。複数の求人サイトから集めた求人情報を「興味あり・なし」にスワイプで分別していくと、AIによってスクリーニングされた最適な求人が届く仕組みだ。

従来の転職サービスはWebサイトが主体だが、GLITはスマホアプリのみでの提供となる。マッチングアプリのようなデザインは、従来の転職サイトのイメージとは全く異なる。

なぜこのようなサービスを開発したのか。GLITを運営する株式会社Caratの代表取締役社長である松本直樹氏に聞いた。

暇つぶしのツールとして楽しめるサービスにしたい

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サービス誕生の背景にあるのは、松本氏自身の体験だ。新卒での就職活動に専念できる学生とは異なり、仕事をしながら行う転職活動はとにかく時間がない。「PC向けが主で、スマホで使いやすいサービスがなかった」ことが、スマホアプリのみでGLITを提供している理由だ。そしてサービスの一番の特徴は「仕事探しを“楽しめる”」と謳っている点にある。

「転職活動をする理由を突き詰めれば、『現状に満足できていない』ということ。どちらかというと根本にはネガティブな側面があると思っています。求人情報を見て、応募して、企業とやり取りをして……という一連の流れも無機質になりがちです。だからこそ仕事探しにワクワク感を持てるようにしたかった。極端な話、暇つぶしのツールとして楽しんでもらえるようなサービスにしたいんです」

実際、隙間時間に暇つぶし感覚で見ているユーザーは多いという。ゆえにリクルーティングサービスにも関わらず、今すぐに転職を考えていないユーザーも多い。

「『見ているうちに転職したくなってきた』という反響はありますが、アクティブに転職活動をしているのは2割くらいですね。『こんな会社あるんだ』という新しい発見に繋げてもらうだけでもいいと思っています。他社の求人情報を見た結果、現職の方がいいと思えたら納得度が上がって今の仕事をより頑張れますしね」

ユーザーはベンチャーや中小企業で働くIT系職種の人が主だ。ユーザーからはいい反響が多く寄せられており、「今のところ狙い通り」と松本氏。

「『Tinder』などのマッチングアプリは、とりあえず『興味あり』にしておいて、マッチングしてからどうするかを考える人が多い。GLITもその点を懸念していましたが、蓋を開けてみたら『興味あり』は全体の25%で、『興味なし』が75%なんです。ユーザーに聞いてみても、ちゃんと見て判断してくれています」

興味ある・ないで分けた求人情報は履歴として確認ができる。自己分析や職探しのログとして使用するユーザーもいるという。

「キャリアやスキルを身に付けなければ」20代が持つ危機意識

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GLITのメインターゲットは、25歳の第二新卒。この世代には危機意識があると松本氏は話す。

「大手銀行が人員削減を発表しましたが、世の中の変化が激しいから、長期的に会社が安定しているのかなんて誰にも分からない。そういったリスクへの危機意識があります。多くの人が入社3年目の25歳前後で次のキャリアを考えますが、30歳までに転職しようとか、少し先のことを考えながら最初のキャリアを築いている人が多い。1社にずっと勤めるというよりは、ある程度転職を前提にしている印象です」

常に危機意識があるからこそ、転職活動の仕方にも変化が見られる。

「いきなり転職をするのではなく、副業やパラレルキャリアで経験を積む流れにあります。働き方改革を受けて企業側が残業時間削減のために従業員を早く帰らせますが、バリバリ働こうと思っていた若手にとっては物足りないんですよ。そういう人にとって、他社のことを見ることができて、さらに経験も積める社外活動はいい選択肢なんです」

「最近はキャリアやスキルを身に付けなければいけないという意識の人が増えている」と松本氏は続ける。

「20代になると、親や親戚に定年を迎える人が出てくる。『再雇用で給料が下がった』といった話を聞いているんですよ。だからこそ自分が高齢者になった時の雇用のリスクを考えるし、働き続けるために必要なスキルを今から身につけようとする。ユーザーの話を聞いていると、リスクヘッジを意識している印象を受けます。次のキャリアを視野に入れながら、どのように経験を積むべきかを考える人は増えてきているように思いますね」

実際に「次のキャリアを考えるきっかけづくりに使っている」というユーザーは少なくないという。 社外に知り合いを増やす、良さそうな会社をピックするといった形で”キャリアの選択肢”を持っておこうとする人も多いのだとか。

若手はお金よりも「責任ある仕事」を欲している

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20代の若手は、各社が喉から手が出るほど欲しい層だ。こうした意識の変化を踏まえ、若手を採用するためには何が大事になってくるのか。松本氏は「短期的に成果を出せる仕組みを作ること」と答える。

「『入社したものの、やりたい仕事がいつになったらできるのかが分からない』という動機で転職を考えている人の話をよく聞きます。多くの会社の研修やキャリアの制度は長期雇用が前提となっていますが、人材の流動性が高くなっている今、短期的に成果が出せない環境ではモチベーションが上がらないですよね」

新卒1年目で事業責任者として約30人のメンバーをマネジメントしていたという松本氏。責任あるポジションだったが、年収は他の新卒とほぼ同じ。でも「得られる経験が大きいから、年収が低いことは全く気にならなかった」と振り返る。

「バリバリ仕事をしたいと思っている若手は、お金よりも責任ある仕事が欲しいんですよ。その一方で少し上の世代の中には、家庭や介護などのさまざまな事情からプライベートを優先したい人もある。それなら若手に上のポストを与えて、チームメンバーにプライベートを大事にしたい40代の社員を置いたっていい。例えば能力と役割で分けて評価や年収の設計をすれば、そういう組織は実現できると思うんです」

従来は年功序列で年齢に応じたポストを与えるのが当然だったが、働く環境や社会が変わっているのであれば、その前提は見直したっていい。時代が変わりつつあること、そのスピードが早いことを念頭に置く。そんな視点で社内を見渡せば、”若手から選ばれる会社”にするために改善すべきことは見えてくるはずだ。

◆AIリクルーティングサービス『GLIT』概要はコチラ

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(文・撮影/天野 夏海)