「人材争奪戦を勝ち抜くためには〜採用戦線最前線〜」イベントレポート

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5月25日、住友不動産の提供する「SHINJUKU SUMMIT」において、「人材争奪戦を勝ち抜くためには〜採用戦線最前線〜」と銘打たれた、人材採用に関するセミナーが開催されました。今回はそのセミナーの模様をレポートします!

目次

Referral Recruitmentで採用のフローをストックに変える

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まず、登壇したのは、日本最大級の実名型グルメサービスRettyを運営するRetty株式会社 CFO兼人事統括の奥田健太氏。

Rettyさんでは、Referral Recruitmentと言うイギリス等で話題になっている採用方法を取り入れており、実際にかなりの成果を上げているそうです。

Referral Recruitmentとは?

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「考え方としては新しいものではなく、要は縁故採用ということです」と語る奥田氏。既にいる社員の知人・友人などの繋がりを使って採用を進めていく採用戦略です。

人材採用といえばまず思い浮かぶのは求人サイト(海外だと、Job Boardと呼ばれる求人掲示板も有力)ですが、実はそれらは応募数に比べて、実際の採用につながる数が多くはないと言われています。

そこで、新たに検討すべき(見直すべき)なのが、Referral Recruitmentです。

Referral Recruitment(リファラル採用)のメリットとは?

1.実は大きい潜在リーチ数

平均的に社員ひとりひとりにつき150人の友人がいるそうです。社員100人の企業なら、15,000人の潜在リーチ数があることになります。

2.圧倒的なCVR

求人サイトの様に大量に集めて選考するのではなく、最初からマッチした人にリーチしやすいため、効率的です。

3.カルチャーフィッティングに拠る、高確率での活躍、及び離職率の低さ

どういう会社か知ってもらいやすいし、選考する側からしても相手のことを分かりやすいため、高確率で活躍が期待され、離職率も低くなる傾向があります。

Referral Recruitmentが機能する前提

1.当該業界の人材の流動性が高い

人が殆ど動かない業界では、周りにいくら優秀な人がいても、会社を移ることがまれなため、Refferal Recruitmentは難しくなります。

2.社員が自分のはたらく環境に満足している

社員が自分の会社を働きたい会社だと思っていないと、紹介しようとは思えません。

3.社員が自社の採用に積極的である

採用に関わっていない社員にも、採用に対して当事者意識を持ってもらう必要があります。

リファラル採用でRettyが行った施策

実際にRettyさんで行った施策は、大きく2つで、“Wantedlyの徹底活用”と“紹介の最大化”だそうです。

1.Wantedlyの徹底活用

Rettyさんでは、facebookでシェアされることを念頭において募集要項を作ったそうです。

「ターゲットユーザーのペルソナの設定を徹底して行い、こういう人達はこういったコミュニティにいてこういった企画がささるだろうと言うところまで掘り下げることが重要」と奥田氏。

人がシェアしたくなるような話題性がある要項を作ることが重要です。Rettyでおこなった「最終面談は叙々苑食べ放題」と言う営業職の募集は、かなり反響があったそうです。

Wantedlyは直接な紹介ではないですが、擬似的に人の繋がりを可視化して採用していくツールとして非常に有用とのことです。

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2.紹介の最大化

Rettyさんでは、当初、紹介インセンティブを上げたものの、殆ど効果がなかったそう。試行錯誤の結果、導き出したポイントが以下の3つだそうです。

リファラル採用で社員を巻き込むポイント

1.土台を作る
採用に対して、当事者意識を持ってもらうこと。また、紹介したいと思うような会社であることが必要。社内の雰囲気が大事になってくるため、行動規範等を設定。

2.敷居を下げる
いきなり面談に来てもらうのは敷居が高いので、紹介しやすい・されやすい場を作る。Rettyさんでは、「イイゴハンの会」と言う、所謂ピザパーティーのようなものを定期的に開催しているそうです。

3.継続す
採用の一番の肝はタイミング。知り合って終わりではなく、コンタクトを取り続ける事が重要です。そうすることで、ターゲットが転職を考えた時に自社を思い出してもらえるようにします。

「Referral Recruitmentは、『紹介してよ』『はい、紹介します』で採用、とすぐに決まるイメージはありますが、実は、工数はかかります。しかしフローをストックに変えられるため、長期的に採用に効いてきます」

体育会採用に失敗しない5つの法則

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次に登壇されたのは、体育会専門就活コーチ:アスリートキャリアカレッジを運営する株式会社バザールのエグゼクティブ キャリア・コーチ 元野勝広氏。

「行動力がある」「素直」「上下関係がわかっている」「チームで動ける」等、企業にとっても魅力的なイメージがある体育会学生。

自身もプロのアメフト選手としてアメリカで活躍されていたという、体育会系出身者である元野氏から、体育会系学生の具体的な採用のコツが紹介されました。

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学生の本音を聞くのは難しい

「体育会系に限らず、最近の学生は、自分をお化粧する技術、ノウハウをとても良く勉強しています」

たしかに、面接のHowTo書籍も非常に多く出版されており、学生にとっては、面接も一つのテストの様に捉えている面があるのかもしれません。学生の本音を聞き出すためには、どのような質問をすると良いのでしょうか。

どういう体育会学生を採るべきか

「私自身、事業責任者として自社の採用も担当していますが、自発的な自己責任の文化(習慣)を持つ人、という点に絞って採用しています」

自発的な自己責任の文化(習慣)とは、自分で考えて・行動して・結果を受け入れて・次に活かせることです。具体的には、以下の様な考え方をする体育会学生は、まさに“自発的な自己責任の文化”を持つ学生でしょう。

「自発的な自己責任の文化」を持つ学生の考え方

自分は運動能力が低いから → 自分にしかない強みはなんだろう?
決められたメニューだからやるしかない → 「この練習から自分が得られるものはなんだろう?」
コーチが正しい評価をしてくれない → 「どうすればコーチは僕を使いたいと思うだろう?」
あの選手は、もっとやるべきだ → 「あの選手のために自分ができることはなんだろう?」

どんな質問をすれば、何を引き出せるのか?

学生の個性・特質を引き出すためにはどんな質問の仕方をすればよいのでしょうか?

自発性/主体性「自分で決めて、自分で動く」

質問例
  • 目標達成のために、自分で決めて、毎日続けていることはありますか? それはどんなことですか?
  • チームの中で、自分から率先して周囲を巻き込んだ経験と、その結果を教えて下さい。
  • 結果が出ない時、具体的に何を考え、どんな行動を取りましたか?

「トップアスリートや、優秀な人は自分で決めたことをとにかくやり抜きます。毎日続けるというのはとても難しいですが、だからこそ、それを聞くことで、その人がどれだけ自発的に行動しているかを知ることができます」

目的/目標「個人>チーム」

「チームの成功は、個人の成功の集合体です。スポーツチームでも弱いチームは、チームをまず考えるところが多いです。なので、個人の欲が強い人がいいと思います」

質問例
  • あなたにいい影響を与えてくれた人(コーチや先輩)を思い浮かべて下さい。その人のどんなところを見習いたいですか?
  • 「私は将来、こんな人(尊敬される、頼られる等)になりたい」。こんな人、の中に入る言葉を、思いつくままに教えてください。
  • なぜ勝つために努力をしているのですか? 何のために勝ちたいのですか?
  • 今年の個人の目標と期限(秋の全国大会で8位入賞等)を教えて下さい。目標達成のためにやるべきことを教えてください。

選択/決断「特にキツイとき、何を考えどう行動したか」

「逆境指数と言うのがありますが、体育会系学生は逆境を経験しやすいです。逆境をどう乗り越えて来たのかを聞くことで、逆境への強さが分かります」

質問例
  • 部活で、一番つらかったこと(怪我やスタメン落ち)の経験を教えて下さい。それをどうやって乗り越えてきましたか。
  • 部活で、自分の存在が真っ向から否定されたような気持ちになったことはありましたか? その時何を考え、どう乗り越えてきましたか?

信頼関係「相手を理解しようとする姿勢」

「『相手のことを理解していますか』と聞いても中々答えにくいと思います。“理解した結果”を聞くことで答えを引き出せます」

質問例
  • 最近チーム関係者(チームメイト、監督、OB、寮の管理人等)に感謝されたことはありますか? それはどんなことでしたか?
  • 最近気づいたチームメイトの小さな変化(元気がない、イライラしている等)があれば教えて下さい。
  • チームメイトや友人から悩みを相談された経験はありますか? どんな相談を受けて、あなたはアドバイスをしましたか?
  • 人を傷つけてしまった経験について教えて下さい。またそこから気付いたこと、今心がけていることがあれば教えて下さい。

チームワーク「依存しない、妥協しない」

質問例

チームメンバーとチーム作りや方向性で、違った意見が出た経験はありますか? その時どんな話し合いをして、どんな行動を起こしましたか?

「体育会系学生は、自発的に行動する経験をしやすい環境にあります。そういった経験を引き出す質問をすることで、作られた回答では見えない、学生自身を理解することができると思います。」と、体育会系学生の採用のコツをまとめられていました。

採りたい人を採る 採用ブランディングの創り方

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最後に登壇されたのは、就活生のすべてを支える就活サイト「レクミー」を運営する、株式会社リーディングマークの代表取締役 飯田悠司氏。採用ブランディングを作るポイントについて説明されました。

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ブランドとは?

ブランドとは、消費者の心に気づかれる“知覚”のこと。ブランドづくりのために、効果的な知覚変動を起こすことが不可欠です。

採用ブランディングを作る5つのステップ

1.目的とゴールを設定する

採用人数や、新卒、中途、国内国外等含めて、目標を明確に設定する。

2.自社ブランドの定義(自社に学生が来てくれる理由を決める)

「全部で勝つのは無理です。打ち出すポイントを絞りましょう」と某商社へ提案した事例を紹介する飯田氏。採用ブランディングを作る上では、自社のPOD、POP、POFを決めることが大事だと説明しています。

POD・POP・POFとは

POD:Points of Difference(自社に来る理由)
商品やサービス、企業に固有するブランドの価値であり、他ブランドにはない差別化のポイントのこと

POP:Points of Parity(他社と同点にしておきたい点)
商品やサービス、企業のブランドは特にユニークではないが、マーケットに存在するために必須なポイント、あるいは競合の差別化ポイント(POD)を打ち消すためのもの。

POF:Points of Failuer
この理由で他の会社に行かれるなら諦めましょうという点

「この3つを決めることは当たり前のことのように思うかも知れませんが、実は殆どの会社でできていません」

「例えば『給料はどうですか?』と聞かれて、平均給料が高くないにも関わらず『成功している人もいて、年収800万貰ってるよ』と答えたり、若い人に権限を与えてない会社でも『30歳で課長になった人もいるよ』と言ってしまったり、なんでもかんでもできるよ、とやりがちです」

3.ターゲットを設定し、理解する。ターゲットが来ない理由を理解する

実際に学生にインタビューするなどして、“何で来ないのか”を理解します。

4.どんなメッセージを伝えればいいのか決める

PODを感じてもらうためのキーメッセージを決めます。

5.PODを感じてもらう施策・採用ソリューションを決める

「学生さんの心の中には、『確かにいい仕事できるというけど、それってそんなに重要?』『本当に心の底からいい仕事をしていると感じているの?』等の疑いの眼差しが出てきます。それを打ち破るために、具体的な採用ソリューションが必要です」

PODを感じてもらうための施策

・PODを体感するプログラム、PODを体現している社員と話す会を作る
・採用ページも、PODを伝えることに専念する

「採用ブランディングというと大企業の話に思えるかもしれませんが、学生に認知されていない中小企業・ベンチャー企業は、自由に採用ブランディングを設定できます。ベンチャー企業こそ、採用ブランディングを明確化して伝えていくことをお勧めします」


いかがでしたでしょうか。
三者それぞれの視点からの採用に関するお話が聞けて、内容の濃い講義でした。
「SHINJUKU SUMMIT」では、大企業からベンチャー企業まで様々な企業が集まる新宿でイノベーションの生まれる場所を作ることを目的として、月1回のペースでイベントを開催されているそうです。興味のある方は参加されてはいかがでしょうか。

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